[シネマトゥデイ映画ニュース] メタリカに影響を与えたことで知られるも、ブレイクすることなく、現在も地道に活動を続けるヘビメタバンド、アンヴィル。その栄光と挫折を描いたドキュメンタリー映画が完成し、50歳になってもなお精力的にバンドを引っ張るボーカル・ギターのスティーヴ“リップス”クドローに話を聞いた。
デビュー当時、スラッシュメタルバンドとして業界から一目置かれたアンヴィル。メタリカのラーズ・ウルリッヒやアンスラックスのスコット・イアン、モーターヘッドのレミー・キルミスターらが、本作の中でアンヴィルから影響を受けたと語っている。であるならば、なぜ彼らは前座バンドに成り下がってしまったのか?
その勢いを止めたのはマネージャーの人選ミスにあったと語る、スティーヴ。「二人いるマネージャーのうち、どちらか一人を選ばなきゃならなかった。駆け出しのマネージャーと、AC/DCやエアロスミス、ボン・ジョヴィ、スコーピオンズなどを抱えた敏腕マネージャーのデヴィット・クレブスのどちらかをね。おれたちは当然のように後者に決めた。だが、駆け出しのマネージャーこそ、後にメタリカを発掘するジョニー・Zだったんだ! ジョニーはおれたちに『君たちの演奏こそ、ヘビーメタルの未来だ!』と言ってくれたんだけど、おれたちは敏腕マネージャーを選んだのさ……」。
敏腕マネージャーのデヴィットは音楽作りに対して意見をし、メンバーたちは思うような楽曲を作ることができなくなってしまった。そしてメタリカの世界的大ブレイク。メタリカの存在によってアンヴィルは、目新しいバンドではなくなってしまったのだ。「どうでもいいようなバンドになってしまった。だからといっておれたちがヘタクソというわけじゃない……そう自分を納得させながらここまで続けてきたんだよ。メジャーでの活躍はないけどね」とスティーヴ。
1984年の来日以来、約22年ぶりに日本を訪れ、メタルフェス「ラウドパーク06」でライブを行ったアンヴィル。「ファンが、今でもおれたちを忘れずにいてくれたことがとてもうれしかったよ。だからその感謝の意味を込めて、次に来日する際には、この映画を流して、その後でおれたちがライブするという企画もあるのさ!」とスティーヴは熱く語った。
最後に、あのときもしブレイクしていたら? と尋ねると、スティーヴからは意外な答えが返ってきた。「きっと数枚のアルバムを出して消えてしまっていただろうね。あのとき成功しなかったからこそ、これまで10枚以上のアルバムを出して、活動し続けることができたと思うんだ」。2年間の撮影の後、1年をかけて編集され、完成した本作。批評家たちからは傑作との呼び声が高い。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)
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