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ベネチアで福島第一原発事故後の未来を描いた8分の『663114』上映!世界三大映画祭を制した平林勇監督【第68回ベネチア国際映画祭】

ベネチアで福島第一原発事故後の未来を描いた8分の『663114』上映!世界三大映画祭を制した平林勇監督
世界三大映画祭を制した平林勇監督-第68回ベネチア国際映画祭にて - Photo:Harumi Nakayama

 第68回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門に短編『663114』で参加している平林勇監督が現地時間8日、インタビューに応じた。暗号のようなタイトルが意味するのは“戦後66年の3月11日に起こった4基の原子力発電の事故”を指しており、福島第一原発事故後の未来を描いた8分のアニメーションだ。平林監督は「不謹慎と言われるかもしれないが、映像作家としてその時の心情を作品として遺しておきたかった」と作品に込めた思いを語った。

 作品のアイデアが浮かんだのは東日本大震災から2週間後ほどのことだった。お茶の間にACジャパンのCMが大量に流れていた裏側で、CMディレクターが本業の平林監督は企画していたCMが軒並み制作中止となり、スケジュールが白紙状態になってしまった。その一方で、1歳と5歳の幼子を抱えた父親でもある。平林監督は放射能汚染の恐怖が広がる中、夫人の実家のある兵庫県に一時避難した。その隠遁生活中の約2か月半、一人で黙々と制作したのが本作だ。

 セミの幼虫を主役にした内容は一見愛らしく見えるが、中身はアイロニーに満ちている。幼虫が羽化しようとしたその瞬間、地震と津波に見舞われる。なんとか生きながらえたセミだったが直後に黒い雲にのみ込まれてしまうのだ。そして物語はさらに66年後の世界。セミの子孫は生きていたが、えも言われぬ姿に変ぼうしているのだ。

 平林監督は「セミの言葉は、日本語のセリフを逆回転させて新たな言語を作ったのですが、実はその中に、字幕翻訳されていないメッセージが入っているんです。『子どもたちを救え』と。広告業界にいると、脱原発・反原発をいまだ大きな声で言えない空気があるけれど、そのメッセージだけは願いを込めて作品に入れました」と力を込めて語った。

 平林監督はこれまで「祭」と称して本業の傍ら、仲間たちと自主映画作りに励んできた。短編『aramaki』(2009製作)はベルリン、同『Shikasha』(2010製作)はカンヌ国際映画祭に選出されており、今回で世界三大映画祭を制したことになる。その勢いは衰えることを知らず、「ショートピース!仙台短篇映画祭」(9月17日~9月19日)が企画した3.11映画製作プロジェクト「明日」に参加しているほか、短編「5+CAMERA」は第1回グアム国際映画祭(9月30日~10月2日)への出品が決まった。

 平林監督は「震災以降、作品を作るペースを考えないと、と思いました。僕には作りたい作品がまだまだいっぱいあるものですから」とさらなる意欲を見せる。近々、長編映画制作にも乗り出す予定だという。(取材・文:中山治美)


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