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あまりにもドラマチックだった最後の1日…新鋭監督が語る、黒人射殺事件の舞台裏

あまりにもドラマチックだった最後の1日…新鋭監督が語る、黒人射殺事件の舞台裏
ライアン・クーグラー監督

 2009年1月1日にアメリカ・サンフランシスコで実際に起こった射殺事件を題材にした映画『フルートベール駅で』は、主人公オスカーの最後の一日を追った作品だ。黒人の青年が無抵抗なままに白人の警官に射殺されたというショッキングな事件は波紋を呼び、社会問題としても取り上げられたが、本作のライアン・クーグラー監督は、そうした文脈から外れたところで事件にスポットを当てた。

 クーグラー監督は事件が起こった当時、22歳。亡くなったオスカーと同い年だった。それだけではない。クーグラー監督はオスカーと同じサンフランシスコのベイエリアに生まれ育った。また、オスカーの母親と監督の母親は同じアパートに住んでいた。クーグラー監督が「僕がこの映画を作りたいと思ったのは、オスカーの物語につながりを感じたからです」と語ったように、多くの共通点が彼らの間にはある。

 だからこそ、クーグラー監督は本作での事件を、事件直後に多くの人がそうしたように人種問題と絡めることはせず、オスカー・グラントという一人の青年の日常に寄り添うように徹底した。「映画の中で描かれることのほとんどは、僕がインタビューを通して知ったオスカーの日常そのままです。正直なところ、この映画を作ろうと思ってリサーチを始めるまでは、もっと平凡なものになると思っていたんですよ。でも皮肉にも、オスカーの最後の一日はとてもドラマチックなものでした」とクーグラー監督は言う。

 ただし、どんなにリサーチをしても、オスカーが一人で過ごしていた時間については、彼が何をしていたのかわからない。「そこは、僕の弟が経験したことをオスカーの出来事としてストーリーに織り込みました。具体的に言うと、犬をみとるシーンです。完全にフィクションだと言えるのは、あそこくらいですよ」。そのように丁寧にささいな出来事が積み重ねられると、観客はやがてオスカーに共感するようになる。それこそが、クーグラー監督の狙いだった。

 「僕は、自分がそうだったように、みんなにオスカーの物語につながりを感じてほしかったんです。それは人種的・社会的にという意味ではありません。一人の人間としてです。この作品が成功しているとしたら、それはみんながオスカーにつながりを感じてくれたからでしょう」と語ったクーグラー監督は、まだ27歳。オスカーがつかむことはできなかった輝かしい未来が、彼には待っている。そんなことを確信できるデビュー長編となっている。(編集部・福田麗)

映画『フルートベール駅で』は3月21日より全国公開


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