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小栗康平監督、映画は「分かりやすさ」よりも「豊かさ」とキッパリ

小栗康平監督、映画は「分かりやすさ」よりも「豊かさ」とキッパリ
美術史などを紐解きながら藤田嗣治や映画について語った三人(左から)椹木野衣、会田誠、小栗康平

 美術家の会田誠と美術批評家の椹木野衣、映画監督の小栗康平が12日、都内で行われた映画『FOUJITA』公開・「戦争画とニッポン」刊行記念講座「もっと知りたい藤田嗣治」に来場、本作の題材となった画家・藤田嗣治や映画が持つ豊かな魅力について語った。

 『死の棘』などで国内外の映画賞を多数受賞している小栗監督10年ぶりの新作となる本作。1920年代よりフランスを中心に活躍した画家・フジタ(オダギリジョー)は「乳白色の肌」と称賛された裸婦像で一躍時の人となる。しかし第2次世界大戦を機に、日本に戻ったフジタは一転して戦争画を描くように……という彼の半生を描いた物語だ。

 藤田が戦争画を描いていたことに「そのギャップが興味深かった」という会田。自身の初期の代表作「戦争画RETURNS」シリーズを発表する際に、多数の戦争画を調べたという会田は、「数ある戦争画の中で一番変わっていたのが藤田嗣治。この変わった感じは何だろうと思った」と振り返る。

 本作の公開や、東京国立近代美術館で展覧会「藤田嗣治、全所蔵作品展示。」が開催されるなど、再評価の機運高まる藤田嗣治。しかし会田が美大生だった1980年代には、「藤田嗣治について語る学生はほとんどいなかった」状態だったという。しかし、会田自身は、フジタの裸婦像などから影響を受けたことを明かす。

 小栗監督が「ヨーロッパ社会で受け入れられる油絵は何かというところで、彼は非常に戦略的で巧みだった。でもそれは悪いことではない」と指摘する通り、1920年代、洋画スタイルに日本画の手法を織り込んだ藤田を「グローバル戦略にたけた人物」と評する3人。その流れから、海外映画祭での賞を多数獲得するも、静謐な映像美や豊かな心象風景などが特色の小栗作品について司会者から「もう少し分かりやすい映画を作るつもりはないですか?」という質問が投げられる一幕も。

 それに小栗監督は「僕は戦略がないからこういう(アート指向の強い)映画になるんですけどね」と笑いつつ、「最近はそういうことにひるまなくなりましたね。バカバカしいほどに分かりやすい社会になっている時代。映画がこれほど豊かなディテールを持っているのに、なぜ分かりやすいものへと落ちていかないといけないのか。そこは確信を持っていますね」とキッパリ。会場はそんな3人の話に熱心に耳を傾けていた。(取材・文:壬生智裕)

映画『FOUJITA』は11月14日より全国公開


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