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自爆テロを防ぐための巨大な壁はパレスチナの葛藤そのもの 『オマールの壁』の主演俳優が初来日(1/2)

自爆テロを防ぐための巨大な壁はパレスチナの葛藤そのもの 『オマールの壁』の主演俳優が初来日
難しい役どころを振り返ったアダム・バクリ

 パレスチナ自治区で、「分離壁」に囲まれた現実を生きる若者たちの愛を描いたハニ・アブ・アサド監督の衝撃作『オマールの壁』公開に合わせて、主演の俳優のアダム・バクリが初来日し、16日、東京・角川シネマ新宿での初日舞台あいさつに登壇。物語の重要なモチーフである「分離壁」について、アダムは「撮影で初めて、真下から分離壁を見ました。太陽が隠れるほど巨大で、人の心を圧倒し、パレスチナの葛藤を象徴するものでした」と語り「本作は、今のパレスチナそのもの。だから演じるのに大変な責任も感じました」と、映画初出演で主演した難しい役どころを振り返った。

 本作は、パン職人として働きつつ、反イスラエル活動を行うパレスチナ人青年オマール(アダム)を主人公に、分離壁をよじ登り、壁で分断された恋人の元に通う日々を送る彼が、イスラエル兵の殺害容疑で捕らえられ、釈放する代わりに、スパイとなって同胞を裏切るように迫られる姿から、占領下を生きる人々の運命や仲間との絆を描く。「分離壁」とは、イスラエルが「自爆テロを防ぐためのセキュリティフェンス」と称し、パレスチナのヨルダン川西岸地区に建設する高さ8m、全長700Kmの巨大な壁のこと。だが実際には、パレスチナ側に大きく食い込み、イスラエルの領土拡大と、パレスチナの分断が目的とも言われている。

 現在27歳で、著名なパレスチナ人俳優のモハマッド・バクリを父に持つアダム。「撮影から3年が経ち、やっと自分の演技を冷静に観られるようになりました」と苦笑する彼だが「父と兄たち(2人の兄も俳優)が本作を観に来てくれて、(上映後)彼らの目を見ただけで、とても感動していることがわかり、合格点をもらったようでうれしかった」と微笑む姿には、まだ新人の面影も。

 この日の進行役で、現代アラブ文学が専門の岡真理さん(京都大学大学院教授)が「本作には、深い人間ドラマと同時に、壁を軽々と飛び越えていくアクションや、若者の恋愛劇、ハラハラのサスペンスもあって、エンターテイメントとしても一級品」と感想を述べると「ぼくはやりたいと主張したんですが、壁はサーカス並みの高さなので、やはり危険だと、スタントマンに協力してもらいました。残念ですが」とアダム。さらに「パレスチナでは10歳の子どもも本作を知っていて、それは娯楽的要素があるからでしょう」と話した後「アサド監督の作品には、パワフルな物語、娯楽性、観る人にオープンな解釈を許す自由さがある。繊細なメッセージが散りばめられていて、繰り返し観ると、いろいろなニュアンスを発見できると思います」と、アサド監督の手腕を讃えていた。


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