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不倫騒動、舛添都知事問題…二極化するムードに『葛城事件』監督苦言

不倫騒動、舛添都知事問題…二極化するムードに『葛城事件』監督苦言
無差別殺傷事件をモチーフにした衝撃の家族ドラマ『葛城事件』 - (C) 2016『葛城事件』製作委員会

 劇団「THE SHAMPOO HAT」の赤堀雅秋が、前作『その夜の侍』と同じく自らの同名戯曲を映画化した監督第2作『葛城事件』で、実際に起きた無差別殺傷事件をモチーフにした理由を明かした。

 本作は、三浦友和ふんする家長の葛城清による家族への抑圧的な振る舞いが、対人関係に悩む長男(新井浩文)、精神を病む妻(南果歩)、そして、無差別殺傷事件を起こす次男(若葉竜也)を生むこととなる一家の姿を、死刑制度への反対から獄中結婚する女性(田中麗奈)の存在も絡めて描いた衝撃的な物語で、2013年に上演した同名舞台では赤堀自身が作・演出・主演を務めている。

 実際に起きたある事件をモチーフにした理由については、「作品にしようとか賛否ではなく、死刑制度について個人的に調べていたりしていて、そういうことが根底や背景にある作品をこれまでにも何作品か作っていたんですが、もう少し踏みこんだ作品を作れないかと思った」と説明。映画化にあたってはさまざまな事件を調べて複合化し、現代社会とリンクしたどんな家庭にも起こりそうな普遍的な物語にしている。

葛城事件
赤堀雅秋監督

 実際の事件をモチーフにすることにはリスクもあるが、それでも「こういう事件やアンタッチャブルな部分の裏側に何があるのかということに、無自覚に触手が伸びてしまう」という。劇作家を20年続けてきた中で、「最初の10年は自分の内面世界を描いていたような気がしますが、物を作っていくことを続けようと想像したときにそれでは広がりが出てこない。実際の事件を入り口にして、そこから想像を膨らませてどんなフィクションを作れるか」と感じたことが現在の作劇スタイルにも影響していると振り返った。

 あくまで事件を描きたいのではなく、「人間というものに興味があって、人間を描きたい」という赤堀は、平凡な人や市井の人の現実を描くことにこだわりをみせる。それだけに、難解な作品ではないものの、鑑賞後に何かが残り、観る人によって解釈の違う作品となっているが、「ありのまま素直に感じればいいし、どう解釈してもらってもいい。映画でも舞台でも、観客の感想で『よくわからなかった』=『つまらなかった』という風潮があるのがとても寂しい」と語る。

 それだけに、昨今の不倫のニュースや政治家のモラルにまつわる問題を皆がヒステリックに騒ぐムードにも、「不倫騒動だとか、舛添都知事の政治資金流用問題等で、黒だ白だ、善だ悪だとか言われていますが、曖昧でもいいんじゃないかと思うし、いろんな価値観が混在していることが健全な世の中だと思っている」と苦言を呈する。「人間や人生自体が曖昧模糊としたものなので、自分の想像力を駆使せずに何でもカテゴライズしようとすることは危険だと思う。どう表現したらいいかわからない曖昧模糊とした作品があってもいいと思うし、そういう作品が広く浸透していったら面白い世の中になるだろうなって、勝手に思っているんです」と、確かな手応えを感じている自作の意義もアピールした。(取材・文:天本伸一郎)

映画『葛城事件』は6月18日より新宿バルト9ほか全国公開


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