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中国でチケット完売!綾野剛×松田龍平『影裏』コンペ選出の理由

『影裏』ワールドプレミア後の舞台あいさつに登壇した松田龍平&綾野剛
『影裏』ワールドプレミア後の舞台あいさつに登壇した松田龍平&綾野剛

 俳優の松田龍平が『影裏』(2020年2月14日公開)で最優秀男優賞に輝いた第2回海南島国際映画祭。12月1日から8日まで、中国のリゾート地として知られる海南省・三亜市で行われた同映画祭のアーティスティックディレクターを務めたロジャー・ガルシア氏に、『影裏』がコンペティション部門に選出された理由を聞いた。

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 本映画祭は、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ)と海南省人民政府の共催により、昨年初めて開催された。今年は、金椰賞(最優秀作品賞)を決定するコンペティション部門が新設され、長編映画のカテゴリで日本から『影裏』が選出された。同作は『るろうに剣心』などの大友啓史監督が、沼田真佑の芥川賞受賞作を原作に、故郷である岩手・盛岡を舞台にメガホンを取った。

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 そもそも、開催地がなぜ海南島だったのか。ロジャー氏いわく、同地に来年自由貿易圏が設置されることが主な理由で「そのため、物理的、文化的なインフラを整える目的がある」という。コンペティション部門の作品選定については「応募作品は40から50本。プラス、われわれ選考委員も映画祭に作品を探しに行ったりしているので、100本以上の映画を観て決めている」とのこと。審査員は、監督、俳優、批評家など異なるジャンル、国のメンバーで構成。今年は、昨年マスタークラスに招待したイザベル・ユペールが国際審査委員長を務めることになった。

ロジャー・ガルシア
アーティスティックディレクターのロジャー・ガルシア氏

 コンペティション部門の作品選定の指針になるのはどんなことなのか。ロジャー氏は「一つは現代的、新しい映画であること、もう一つは監督がこれから国際社会で羽ばたいていく可能性が見えること」と二点を挙げる。「(クリエイターの)年齢は関係なく、例えば今回のコンペのフィリピンのレイムンド・リバイ・グティエレス監督は20代ですが、イランのモフセン・マフマルバフ監督は60代。重要なのは映画に力があるかどうか、そこから監督の才能が見えてくるかということです」

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 そのコンペに『影裏』が選出された理由について、ロジャー氏は「映画を拝見して、まず2人の俳優(綾野剛、松田龍平)が中国でとても人気がありました。加えて作品のクオリティーが高かったこと、ワールドプレミア上映が可能、その三つが重要なポイントだった」と明かす。「日本映画を多く観てきた中で、2人の大人の男性のああいった繊細な人間関係、というのが新鮮でした。それを中国の観客に観てもらいたいという思いもありました」と続けた。その言葉を裏付けるかのように、実際にMagroove Cinemaで2回にわたって行われた一般上映(各193席)のチケットは完売した。

海南島国際映画祭
授賞式レッドカーペットにて。松田、綾野、大友啓史監督

 また、コンペ以外のプログラムも充実しており、名画を海辺で上映する「クラシック・リビジテッド」も好評。ドキュメンタリー枠の「リアリティ・バイツ」など部門名がユニークなことも本映画祭の特徴で、「イッツ・オールウェイズ・サニー」部門には「海南島は天候が良く明るい場所です。そんな土地の特色を表現するためにハッピーな作品を集めたかった」という意図があるそう。同部門では日本から『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』『生理ちゃん』『JK☆ROCK』の3本が選出された。

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 なお、マスタークラスに招待された黒沢清監督は、ロジャー氏がエグゼクティブ・ディレクターを務めた香港国際映画祭で『クリーピー 偽りの隣人』がクロージング作品として上映された縁もある。黒沢監督が今後、ユペールと同じくコンペの審査員を務める可能性については「彼は個人的な友人でもありますし、素晴らしい映画人でもあり、素晴らしい映画をたくさん作っている監督で、ここに来てくださって喜んでいただけていることと、マスタークラスも非常に評判がよかったので将来来ていただけたら嬉しいですね」と話していた。(取材・文:編集部 石井百合子)

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