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さとうほなみ、体当たりの映画初主演で「すべてさらけだした」

さとうほなみ
さとうほなみ

 人気バンド「ゲスの極み乙女。」のドラムス担当、ほな・いこかとして活動する一方、俳優としての活躍も目覚ましいさとうほなみが、Netflix映画『彼女』(4月15日配信)で水原希子と共に映画初主演。夫の暴力に苦しんだ果てに、かつて自身に思いを寄せていた高校時代の同級生に夫殺しを依頼する女性という難役に挑み、身も心もさらけだして新境地を切り開いている。幼い頃から芝居に興味があったという彼女だが、「俳優業は人間のかっこ悪いところも、汚いところも表現するもの。映像の中にいながら現実世界に“生きている人”と思わせるような演技をしたいと常々思っていたのですが、今回は少しそこに近づけたような気がしています」と充実感を吐露。そこに至るまでの壮絶な役作りや、本作を通して感じた俳優業の喜びを明かした。

【動画】インタビューの様子

ラブシーンも躊躇なし!

Netflix映画『彼女』より逃避行に出るレイ(水原希子)と七恵(さとうほなみ)

 中村珍原作の漫画「羣青」を、水原希子とさとうのダブル主演により実写化した本作。メガホンを『ヴァイブレータ』(2003)、『軽蔑』(2011)などの廣木隆一監督がとった。さとうが演じたのは、裕福な暮らしと引き換えのように夫から家庭内暴力を受けていた七恵。自身に想いを寄せるレイ(水原)に夫を殺させて、2人で逃避行へと走る姿を描く。

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 レイとぶつかり合い、もがきながら本当の自分や愛を見つけていく七恵。激しい感情表現や大胆なラブシーンも必要となり、引き受けるには覚悟も要するような役柄だ。しかしさとうは「もともと原作の『羣青』が大好きで。もし映像化されるとしたら、絶対にやりたいと思っていた作品です。実際にオファーをいただけて驚きましたし、ものすごくうれしくて!」と、大きな喜びと共に参加したそう。ラブシーンについても「まったく不安はありませんでした」とキッパリ。「この作品においてラブシーンはとても重要な意味を持ちますし、七恵を演じるとしたら確実に必要なこと。躊躇することもまったくありませんでした」とさわやかな笑顔で語る。

役作りのため人間関係をシャットダウン

七恵に暴力をふるう夫役に、ミュージカル俳優の新納慎也

 七恵には、どのような印象を抱いたのだろうか。さとうは「七恵は育った境遇も不幸で、友だちもいない。結婚してからは夫に暴力を振るわれ、本音で話せる人が誰もいない女性。だからこそ常に人に不信感を抱いていて、レイが『好きだ』と言ってくれてもそれを信じることができない。七恵の気持ちを考えると、壮絶な感情が渦巻いているのだろうなと思いました」と役柄に寄り添い、苦しい気持ちを味わったという。

 そんな七恵の孤独を体現するために、特別な役作りに挑んだ。「役として生きていた1、2か月くらいは、プライベートで誰とも連絡を取りませんでした。わたし、ちょっと不器用なところがあって……」と苦笑いを見せつつ、「自分も七恵の孤独を感じたいという思いもあり、本作を撮影している間は、心境的にも誰とも連絡を取る気になれなかったというのもあります。こういった役作りをしたのは、初めての経験です」と告白する。

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 七恵の感情が爆発するハイライトとなるのが、レイと大げんかをするシーンと、圧巻のラブシーン。水原とさとうによる芝居の熱量に目を見張るが、大げんかのシーンの撮影は、さとうの誕生日当日だったのだとか。「七恵にとってレイが心の拠り所になりつつある中で、レイの家族が現れて、けんかになるシーン。七恵は『レイには家族がいるんだ。やっぱりわたしだけが一人ぼっちなんだ』と絶望的な気持ちになる。実はその撮影日はわたしの誕生日で、スタッフのみなさんがケーキを用意して『おめでとう!』と言ってくださったんです。でも、わたしはすべての気持ちをシャットダウンしたような状態になってしまっていて……」と七恵の気持ちと溶け合っていたために、サプライズのお祝いにリアクションできなかったという。「今思い返すと『本当にごめんなさい!』と申し訳ない気持ちになります。そのすべてをわかってくれるスタッフさんばかりで、本当にありがたかったです」

 情熱的なラブシーンは、「廣木監督が『どれだけ時間をかけてもいい。好きにやっていい』と言ってくださって。2人の気持ちが通じ合ったときに言葉を発して、自由に愛し合っていいという環境を用意してくださいました」と監督に感謝。「また、撮影もほぼ順撮りだったので、七恵の気持ちの変化にも自然とたどり着けたような気がいています」と難役に向き合う上で、信頼できるスタッフに恵まれた様子だ。

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俳優を目指したきっかけ

 さとうにとって「共に戦い抜いた」“戦友”のような存在となったのが、レイ役の水原だ。さとうは演じる役柄と同化していく実感を覚えると共に、水原とも特別な関係が築けたと明かす。

 「レイと七恵は逃避行の過程で、だんだん“お互いしかいない”状況になっていく。レイと七恵が寄り添っていくように、水原希子とさとうほなみもどんどん近づいていったように思います。撮影の終盤は、ずっと希子ちゃんとくっ付いていましたね」と笑い、「ぎゅーっと抱きしめ合ってから、本番に臨んだり。撮影が進むごとに、わたしたちも精神的に離れられないような状態になっていたので、レイと七恵の気持ちと、わたしたちがリンクしていっているなと感じていました」としみじみ。「芝居の極限状態というか、一種のドキュメンタリーのような感覚になっていたように思います」と語る。

 人気バンド「ゲスの極み乙女。」のドラマーとしても知られるさとう。近年、連続テレビ小説「まんぷく」(2018~2019)や映画『窮鼠はチーズの夢を見る』(2020)に出演するなど、俳優としても活躍の場を広げている。俳優業に興味を抱いた原点を尋ねてみると「小さな頃からテレビドラマが大好きで。小学生の頃にともさかりえさん主演のドラマ『FiVE』(1997)の最終回を観て、感動して泣きながら、母親に『わたし、これに出たい!』と言っていたんです(笑)。そこからは、お芝居の世界につながれる道をいろいろと探していました」と述懐。

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 今もなお芝居への情熱がどんどん膨らんでいるそうで、「いろいろなドラマや映画を観ていても、演じている役者さんが、その中で本当に“生きている人”に見える瞬間ってありますよね。その人が現実の世界に存在しているかのように感じることがある。その境地にたどり着きたいなと、すごく思うんです」と目を輝かせる。

 さとうは「もちろん音楽の活動も大好き。どちらもやっていきたいと思っています」と両立を願いながら、「音楽活動では、かっこ悪い部分を見せることはほとんどありません。でも俳優業は人間のかっこ悪いところも、汚いところもさらけだして表現するもの。そういう違いはありますが、受け取ってもらう方々に楽しんでもらったり、何かを感じてもらいたいという気持ちには、変わりがないのかなと思っています」とにっこり。

 「今回はすごくいい作品に出会えたと思っています。原作、監督、スタッフ、キャストの方々など、すべてが『こんないい人たちに巡り合える?』と思うような場所で、たくさんの人に観てほしいと思える作品をつくり出すことができた。この感覚は、ずっと忘れないでいたいです」と本作が宝物のような作品になったことを明かし、女優業へさらなる意欲を燃やしていた。(取材・文・撮影:成田おり枝)

Netflix映画『彼女』は4月15日、全世界同時独占配信

さとうほなみ、「羣青」映画化で体当たり熱演 Netflix映画『彼女』インタビュー » 動画の詳細
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