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『キル・ビル』独占インタビュー/ユマ・サーマン、ルーシー・リュー

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『キル・ビル』でユマ・サーマン演じるザ・ブライドが対決する最強の敵が、オーレン・イシイ。ヤクザの女親分のオーレンが、中国系アメリカ人と日本人のハーフというユニークな設定になっているのは、タランティーノ監督が、この役を演じる女優に、中国系アメリカ人であるルーシー・リューを最初から意識して書いたせいだ。


 「ある日突然、クエンティンから私の自宅に電話がかかってきたのよ。彼は、‘君のために作った役があるんだ。脚本を読んでみてくれないか?’って。信じられなくて、自分の耳を疑ったくらい」


 日本文化との接触がそれまでまるでなかったとは信じかたいほど、映画の中ではかなり自然な発音の日本語を披露しているリュー、タランティーノは当初、オーレンのせりふをすべて英語で書いたという。


 「オーレンのせりふを日本語にしようと言い出したのは、私なの。そのほうが映画に与えるインパクトが大きいと思ったから。そう提案したら、彼は、‘君がやりやすいと思ったから英語にしただけ。日本語でやりたいというなら、もちろん歓迎さ’と言ってくれたわ」


 自ら掲げた大きなハードルを越えるために、彼女はそれ以後、日本語の特訓に真剣に取り組んだ。

「読む、聞く、話す、書く。家でもどこでも、時間の許す限り日本語に浸ったわ。セリフはまず、先生に読んでもらって、それを録音し、くりかえし聞いて覚え、さらに先生と対話形式で練習したの。丸覚えするんじゃなくて、出てくる単語ひとつひとつの意味をたずねて、理解するようにした。意味をわかりながら言うせりふを言うかどうかで、絶対違ってくると思ったから。それでも、日本人の共演者を前にして、日本語のせりふを言う本番がくると、緊張したわね。みんなから‘すごいね、うまいよ’とほめてもらった時は、うれしかったわ」

 努力したのは、言葉だけではない。着物を着た上での身のこなしや、日本刀の使い方など、彼女がこの役のために学んだことは、山のようにあった。


「着物を着ると、体が小さくなったような気がするのが不思議。でも、着物を着てアクションシーンを撮影するのは大変だったわ。小さな歩幅で内股で動かないと、崩れてしまう。日本刀は基本的に上半身ばかりを使うから、特訓中も撮影中も肩と首のコリに悩まされていたわね」

彼女やユマ・サーマンらに日本刀の使い方を指導した共演俳優の千葉真一も、彼女の熱意には感心することだらけだったと証言する。そこまで努力した理由のひとつは、日本にいるタランティーノのファンをがっかりさせないためだ。
 

「オーレンは(作品の)最初から最後まで出てくるキャラクター。なのに彼女がおかしな日本語をしゃべっていたら、日本の観客は‘なんだ、あんなヘンな女、早く死ねばいいのに’と思ってしまうでしょう? 日本には、クエンティンの作品を待ち望んでいる人がたくさんいる。その人たちに映画を楽しんでもらうために、私はできるかぎりのことをしたかったの」
 

そんな彼女の心意気に、日本の観客もきっと拍手を送るはずだ。
(文・インタビュー:猿渡由紀)

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