シネマトゥデイ

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ハンナ・アーレント
(C) 2012 Heimatfilm GmbH+Co KG, Amour Fou Luxembourg sarl,MACT Productions SA ,Metro Communicationsltd.
英題:
HANNAH ARENDT
製作年:
2012年
製作国:
ドイツ
日本公開:
2013年10月26日
上映時間:
配給:
セテラ・インターナショナル
カラー

チェック:『ローザ・ルクセンブルグ』のマルガレーテ・フォン・トロッタ監督と、主演のバルバラ・スコヴァが再び手を組んだ感動の歴史ドラマ。ドイツで生まれ、第2次世界大戦中にナチスの収容所から逃れてアメリカに亡命した哲学者ハンナ・アーレントの不屈の戦いを描く。彼女の親友役を『アルバート氏の人生』のジャネット・マクティアが好演。信念に基づき冷静に意見を述べた哲学者の希有(けう)な才能と勇気に脱帽。

ストーリー:1960年、ナチス親衛隊でユダヤ人の強制収容所移送の責任者だったアドルフ・アイヒマンが、イスラエル諜報(ちょうほう)部に逮捕される。ニューヨークで暮らすドイツ系ユダヤ人の著名な哲学者ハンナ(バルバラ・スコヴァ)は、彼の裁判の傍聴を希望。だが、彼女が発表した傍聴記事は大きな波紋を呼び……。

ハンナ・アーレント
(C) 2012 Heimatfilm GmbH+Co KG, Amour Fou Luxembourg sarl,MACT Productions SA ,Metro Communicationsltd.

映画短評

  • 中山 治美
    ナチス戦犯アイヒマンの実映像が効いている
    ★★★★★
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     ユダヤ人を強制収容所送りにした責任者アドルフ・アイヒマンの裁判を傍聴し、「彼は命令を遂行しただけ」というレポートを発表し、ユダヤ人社会から激しいバッシングを受けた哲学者の生き様に迫った骨太な人間ドラマだ。劇中に挿入される、アイヒマン裁判の実映像を見ながら自問する人も多いだろう。同胞が犠牲になるのを目撃しただけでなく、自身も収容所送りになった経験がありながら、果たしてハンナのような冷静な判断を下す事が出来るだろうか?と。
     同時にアイヒマンの弁明は、多くの事を思い起こさせてくれる。戦時中の日本兵、オウム真理教事件、尼崎連続変死事件、身近に起こるイジメ事件etc…。主犯格に命じられて加害者となってしまった人たちの弁明と同じだ。いや、目の前で事件が起こっているのに、見て見ぬフリをしている人も同類かもしれない。ハンナが唱える「思考する重要性」が、今の時代も響く。肝に銘じたい。

  • 清水 節
    「サンデルの白熱教室」よりも価値高き「アーレントの思考教室」
    ★★★★★
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     深い洞察とブレない勇気。半世紀以上前、こんなにも思考の高みに達した人間が存在した。なのに世間は…そして未だ人間は…。畏敬と慨嘆なくして観られない傑作である。
     
     強制収容所を逃れアメリカへ亡命した実在のドイツ系ユダヤ人の哲学者アーレント。波瀾万丈の生涯だったが、映画はただ1点に照準を定めた。この世の地獄を創出したナチス戦犯アイヒマンの裁判を傍聴し、まとめたレポートの内容だ。彼は「凶悪」ではなかった。命令に従い黙々と手を下しただけの小役人。彼の記録映像をインサートした効果は大きい。我々は、アーレントの視座から陳腐な悪の表情を目撃する。同時に彼女は、ユダヤ人指導者もナチスに荷担していた事実を明らかにした。根深い悪は「凡庸」な者によって遂行される。民族を全体として捉えず、単純な善悪を否定したアーレントの確固たる信念。そして吹き荒れる非難の嵐。両者の描き込みが実に見事だ。
     
     すぐさま一方向へなびくこの国もまた、「思考停止」に陥りやすいとはいえまいか。非人間性は拡大する一方だ。「サンデルの白熱教室」よりも現代人を数段覚醒させる有意義な「アーレントの思考全開教室」を、劇場で受講してほしい。

  • なかざわひでゆき
    不都合な真実から目をそらさない勇気を力強く描く
    ★★★★★
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     不都合な真実を暴いたことで世間を敵に回してしまった、実在の女性哲学者ハンナ・アーレントの苦難を描いた実録ドラマである。

     強制収容所を脱走してアメリカへ亡命したユダヤ人のハンナは、自らが体験した悪夢の正体を突き止めるため、ナチス戦犯アドルフ・アイヒマンの裁判を取材する。そこで彼女が目撃したのは、上からの命令を事務的に処理しただけの退屈で平凡な役人の姿。何百万人の命を奪ったホロコーストも、アイヒマンにとってはただの仕事に過ぎなかったのだ。その凡庸さに巨悪の根源を見出したハンナだったが、世間は彼女の主張をナチス擁護と解釈。しかも、彼女は法廷で明らかになったユダヤ人指導者たちとナチスの癒着まで公表してしまったため、猛烈なバッシングを受けることとなってしまう。

     本作は人種やイデオロギーに囚われることなく、真実のみを追究しようとしたハンナの揺るぎない信念、その裏に秘められた苦しみを力強く描いていく。確かに絶対的な悪は単純明快だし、先入観や感情に流されてしまう人間心理も理解できよう。だが、真実から目をそらしては未来への教訓も生まれない。そのことを改めて知らしめてくれる傑作だ。

動画

映画『ハンナ・アーレント』予告編

ポスター/チラシ

  • 映画『ハンナ・アーレント』ポスター
    ポスター
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スタッフ

キャスティング: スザンネ・リッター

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      作品について  http://cinema.pia.co.jp/title/161943/ ↑あらすじ・配役はこちらを参照ください。 ユダヤ人の政治哲学者です。 第二次大戦中、強制収容所も経験したのち アメリカに亡命しました。   ・彼女のアレコレ→ コチラ 彼女の思想や活動について、語るべきことは、多々あると思われますが ... ...[外部サイトの続きを読む]
  • 『ハンナ・アーレント』 (2012) from 相木悟の映画評 (2014年1月6日 10時58分)
    “凡庸な悪”におちぬよう、思考せよ! きわめて地味で硬派な教養映画の趣きながら、意義深い良作であった。 ハンナ・アーレントは、20世紀を代表するドイツ系ユダヤ人哲学者。1933年にナチス政権成立後、母国ドイツからフランスに逃れるも、かの地で強制収容所に... ...[外部サイトの続きを読む]
  • 『ハンナ・アーレント』が発信するのは何か? from 映画のブログ (2013年12月31日 22時32分)
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  • 「ハンナ・アーレント」 from 元・副会長のCinema Days (2013年12月28日 19時26分)
    (原題:Hannah Arendt )素材に対する考察は限りなく浅く、単にエピソードを漫然と並べているに過ぎない。伝記映画としては落第点だ。監督のマルガレーテ・フォン・トロッタが過去に撮った「ローザ・ルクセンブルク」(87年)と同じく、凡庸な展開である。やはりこ... ...[外部サイトの続きを読む]
  • ショートレビュー「ハンナ・アーレント・・・・・評価額1650円」 from ノラネコの呑んで観るシネマ (2013年12月28日 18時10分)
    アーレント教授の白熱教室。 1960年、南米で逃亡生活を続けていた元ナチス幹部、アドルフ・アイヒマンがイスラエルの諜報機関モサドによって拘束され、密かにエルサレムに移送される。 ユダヤ系ドイツ人女性で、ナチスの抑留キャンプから逃れて米国へ亡命した哲学者、ハンナ・アーレントはアイヒマンの裁判を傍聴し、その記事をニューヨーカー誌に連載する事になる。 世界はこの旧世界の恐るべき“野獣”の... ...[外部サイトの続きを読む]
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