シネマトゥデイ

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チェック:東野圭吾の小説が原作のテレビドラマ「ガリレオ」シリーズの劇場版第2弾。とある海辺の町を訪れた物理学者・湯川学が、そこで起きた殺人事件の悲しい真相に直面する姿を、一人の少年との出会いを絡めて描く。テレビ版と前作に続いて福山雅治が主演を務め、子どもが苦手なのにもかかわらず、少年のために事件に挑む湯川を体現する。『妖怪人間ベム』シリーズの杏、ベテラン風吹ジュンら実力派が共演。科学技術と自然の共存という、劇中に盛り込まれたテーマにも着目を。

ストーリー:きれいな海に面した玻璃ヶ浦で計画されている、海底鉱物資源の開発。その説明会に招待された物理学者・湯川学(福山雅治)は、緑岩荘という旅館を滞在先に選ぶ。そして、そこで夏休みを過ごす旅館を営む川畑夫婦(前田吟、風吹ジュン)のおい、恭平と知り合う。次の朝、堤防下の岩場で緑岩荘に宿泊していたもう一人の客・塚原の変死体が発見される。図らずも事件に直面した湯川は、旅館廃業を考えていたという川畑夫婦や、夫婦の娘で環境保護活動に奔走する成実(杏)らと塚原の思わぬ因縁を知る。

真夏の方程式
(C) 2013 フジテレビジョン アミューズ 文藝春秋 FNS27社

映画短評

  • 森 直人
    西谷弘という職人演出家を正当に評価したい
    ★★★★
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    「テレビドラマの映画版」という文脈で捉えると、本作は状況論的にひとつの成熟を感じさせるものだ。5年前(2008年)、東野圭吾のガリレオシリーズ映画化企画の第一弾であった『容疑者Xの献身』は、映画本編との肉離れを承知で、テレビドラマ『ガリレオ』のお約束事をゴロッと生硬に導入していた。それは1998年から始まった『踊る大捜査線 THE MOVIE』(同じフジテレビ)という巨大な成功体験を具合悪く引きずり、テレビドラマとの折衷的な形でないと観客を映画に引っ張ってこられないという弱気な「戦略」に基づいたものだったと思う。しかし今回の『真夏の方程式』は余計な配慮なし。単体で成立する真っ当な映画作品であり、俳優陣のアンサンブルに重きを置いた(杏は最高!)原作小説の律儀な映画化である。それは昨年、『踊る』シリーズがファンサービスに収縮する尻すぼみで終了した事態と交錯するように、せり上がってきた「ガチ勝負」の姿勢だ。言わば“脱「THE MOVIE」”時代の到来。そしてテレビドラマと映画の両方をこなす西谷弘という監督を、優れた職人演出家として正当に評価する視点を映画畑の人間も持っていいと思う。

  • 清水 節
    不可解な動機と奇妙な家族の16年
    ★★★★★
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     海辺で過ごす少年のひと夏の物語という事件への導入は、郷愁をそそる。騒々しい新人刑事・吉高由里子が登場する必然性は薄いが、福山雅治が所構わず数式を書きまくって事件を解明するようなあざとい演出はない。TVシリーズ『ガリレオ』番外篇である本作は『容疑者Xの献身』同様、無表情の物理学者の天才よりも人間性に光を当て、「映画」を志向してみせる。しかしディテールの詰めはあまりにも甘く、不可解で歪なミステリーに成り果てた。▼さて、ここから先はネタバレを含むことを、ご了承いただこう。▼まず、16年前に起きた殺人事件を解明しようと田舎町に訪れた元刑事・塩見三省の殺し方が問題だ。家族の過去を暴かれたくない父・前田吟による偽装殺人。最初のトリックも致死の確実性は弱いと言わざるを得ないが、2つめの偽装は検死解剖されることを想定しておらず、「おいおい…」とつぶやくしかない。▼最大の難点は、前田吟の娘役・杏が、中学生の時に犯してしまった殺人の動機である。衝動殺人というものは存在するだろう。しかしなぜ殺すに至ったのか。このイメージ処理の回想に対しては、「さっぱり分からない」という主人公の決めゼリフを進呈しよう。そして、罪を被って懲役となる人物がいる。深い罪悪感を抱えて育ったはずの杏と、忌わしき過去をひた隠しにしてきたはずの家族の描写に、陰りがなさすぎる。さらに前田吟は、何のためらいもなく、事件とは全く関係のない親戚の少年に、無意識のうちに殺人を手伝わせるという異常さ。▼愛ゆえに殺し、愛ゆえに守り抜き、愛のために赦す。全編を覆う、そんなトーンに騙されてしまう観客もいるのだろうか。犬神家よりも業深きクレイジーな家族としてこの一家を描くのなら、まだ納得できたのかもしれない。

動画

映画『真夏の方程式』DVD予告編

ポスター/チラシ

  • 映画『真夏の方程式』ポスター
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  • 映画『真夏の方程式』チラシ
    チラシ
  • 映画『真夏の方程式』チラシ
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スタッフ

監督:
エグゼクティブプロデューサー: 臼井裕詞
プロデューサー: 鈴木吉弘 / 稲葉直人 / 古郡真也 / 大澤恵
協力プロデューサー: 牧野正
原作: 東野圭吾
脚本: 福田靖
撮影: 柳島克己
照明: 鈴木康介
美術: 清水剛
装飾: 田口貴久
整音: 瀬川徹夫
録音: 藤丸和徳
編集: 山本正明
VFXディレクター: 山本雅之
選曲: 藤村義孝
音響効果: 大河原将
スクリプター: 藤島理恵
監督補: 杉山泰一
助監督: 桜井智弘
製作担当: 千綿英久

キャスト

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