ミニシアタースタッフが選んだ「子どもたちにみてもらいたい映画」を上映！
全国各地のミニシアターやコミュニティシネマのスタッフたちが選んだ「子どもたちにみてもらいたい映画」を1週間連続で上映する新プロジェクト「夏休みの映画館～忘れられない映画に出会う、夏。」のオンライン記者会見が1日に行われ、開催各地の代表が新たな取り組みへの思いを語った。
東京をはじめとした全国各地の緊急事態宣言は解除されたものの、ミニシアターや上映団体などは、まだまだ厳しい状況を余儀なくされている。そんな中、全国各地のミニシアターとコミュニティシネマが、小学生から高校生くらいまでの若い観客に地域の映画館と多様な映画の魅力を伝える「夏休みの映画館～忘れられない映画に出会う、夏。」と題した、新たなプログラムがスタートすることになった。
上映されるのは、『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』、サイレント映画の活弁・演奏付き上映（※上映作品は劇場によって異なる）、『ネバーエンディング・ストーリー』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』『はちどり』『わたしは、ダニエル・ブレイク』『37セカンズ』と、「子どもたちに見せたい、多様で魅力的な映画」という観点からミニシアターのスタッフが選んだ、7プログラム。上映後にはスタッフによるワークショップや、渡辺真起子、井浦新などの多彩なゲストによるトークを行い、映画をより深く楽しむことができる工夫を凝らすという。
会見には本プログラムの会場となる、横浜のシネマ・ジャック＆ベティ、群馬のシネマテークたかさき、大阪のシネ・ヌーヴォ、神戸の元町映画館、熊本のDENKIKAN、鹿児島のガーデンズシネマ、そして長野県で活動する上映団体・松本CINEMAセレクトの各代表が参加。彼らの肌感覚によると、子どもたち自身、日常的に多くの映像に囲まれており、シネコンなどで話題の大作やアニメ映画などを観る機会は多いはずなのに、残念ながらミニシアターなどで映画を観る機会はほとんどないという。だからこそ、今のうちから未来の観客を育てておくことは急務となっている。
このプログラムは、文化庁の令和2年度第3次補正予算事業「ARTS for the future!」（コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業）がミニシアターやコミュニティシネマ等の上映者にも適用されることから企画されたもの。今回参加した7つの劇場および上映団体は趣旨に賛同し、かつ夏休みの上映期間に合わせてプログラムが組めるところが集まったが、この企画を一過性のものにするのではなく、今後も継続的に行うことを目標としている。
会見に参加した代表たちのコメントによると、昨年の売り上げは前年比で55％から70％前後。休業要請などで休館したところも多かったため、売り上げが半分以下になるのではないかとの心配もあったというが、ミニシアター・エイド基金や、ミニシアターパークといった支援活動の甲斐もあり、「なんとかギリギリを保っている状態」だという。シネマ・ジャック＆ベティの梶原俊幸支配人も「コロナ以前は年配のお客さまが多かったのですが、まだ戻ってきていないので、まだまだ努力が必要かなと。ただ昨今のミニシアター支援の動きの中で、若い方の認知度が上がってきていることを感じています。コロナ禍を乗り越えた時には、地域ごとのミニシアターが新たな若い客層を取り込んで、お客さまが戻ってくればいいなと思い、参加させていただきました」と期待を寄せる。
また、シネ・ヌーヴォの山崎紀子支配人も「1年以上続く閉塞感の中で、子どもたちが我慢を続けています。だからこそ映画館が息抜きの場に、つらい時に逃げ込む場になったら。感染対策も万全に行っているので、安心して来てほしいなと、子どもたちの楽しい夏休みになってほしいなと思います」と今回のプログラムの意義を訴える。
さらに長野県内のホールを借りて数多くの映画を上映する団体・松本CINEMAセレクトの宮嵜善文理事長は「正直言うと、松本市は夏休みが短いので期間中にはもう夏休みは終わっているのですが、それでも映画を届ける場は映画館だけじゃないということを伝えたくて、イレギュラーながら参加させていただきました。今回のミニシアター・エイド基金は多くの劇場を助けてくれたけど、移動映画屋さんなどを含めて助けられなかった団体もあります。そういう意味で映画を届ける末端の人も忘れないでねとお伝えしたいなと思いました」とメッセージを送った。（壬生智裕）
「夏休みの映画館～忘れられない映画に出会う、夏。」は、8月21日～27日まで九州から関東まで7つの地域で同時開催予定（上映日は会場によって多少異なる）
