ロバート・パティンソン、新バットマンは内なる悪魔と戦う『ザ・バットマン』インタビュー

　DCコミックスの人気ヒーローを再映画化する『THE BATMAN－ザ・バットマン－』（3月11日全国公開）で主演を務めるロバート・パティンソンがリモートインタビューに応じ、バットマン役に抜擢された心境や、本作で描かれる若きブルース・ウェインについて語った。

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　実写映画シリーズではこれまで、マイケル・キートン、ヴァル・キルマー、ジョージ・クルーニー、クリスチャン・ベール、ベン・アフレックといった名だたる俳優たちがバットマンを演じてきた。『トワイライト』シリーズで一躍スターダムにのし上がったロバートにとっても、バットマンは憧れのキャラクターであり、歴史あるヒーローを引き継ぐプレッシャーも感じていた。

　「バットマンを名乗るというのは、これまで演じてきた人々のレガシーを受け継ぐことです。役者によって色々な解釈が存在しますが、歴代の俳優たちは皆バットマンを完璧に演じきっています。この役を引き受けることは、そういった大きな責任を背負うことなんです。バットマンは歴史上最もアイコニックなキャラクターの一人ですし、誰もが演じてみたいと憧れを抱くはずです」

　ロバートが新バットマン候補として報じられたのは、2019年5月頃のこと。実は、オーディションを受ける前に海外メディアがロバートを候補者だと大々的に伝えてしまったそうで、「あれは驚きましたよ。『自分がワーナーにバットマン役を猛プッシュしている』と思われそうで怖かったんです。周りにはもちろん、家族にすらも話していませんから。スクープが出た時は本当にびっくりしました」と本人も戸惑ったという。「当時参加した映画のプロモーションでは、ほぼ全てのジャーナリストに『あなたが次期バットマン俳優ですか？』と聞かれましたね。私はひたすら『いいえ』と答え続けました（笑）」と振り返った。

　『クローバーフィールド／HAKAISHA』『猿の惑星：聖戦記（グレート・ウォー）』のマット・リーヴス監督が手がける本作では、バットマンとして活動して間もない若きブルース・ウェインの物語が展開する。「本作のブルース・ウェインは、バットマンを名乗り始めてから2年しか経っていません。とても脆く、バットマンとしてどう在るべきなのか、答えを導き出せていないでいます」と語るロバートは、これまでとは全く異なるアプローチでブルースの姿が描かれると強調する。

　「ブルースは衝動的な一面もあり、自分自身を制御できないでいます。自分が思っているほど、バットマンとしてゴッサムシティに影響を与えていないことに苛立ちを覚えていて、まだ不完全な状態。これまでのバットマンとはかなり異なります。ブルースはバットマンという鎧を装着して犯罪者と対峙する一方で、自分自身の内なる悪魔とも戦っているんです」

　予告編では、バットマンが敵を容赦なく殴り倒すバイオレンスなアクションシーンも登場する。本作のアクション指導は、スタント・コーディネーター兼第2班監督のロバート・アロンソが担当しており、「彼の指導はこれまで経験したことのないもので、本当に戦っているような感覚なんです。コンビネーション技を一通り学んで、それを頭に叩き込む。ボクシングのコンビネーションを習得するのと同じ感覚です。長いコンビネーションはそのままアクションの型になりますし、ファイトシーンが構築しやすくなります。より反射的に動けたり、滑らかな画が撮れて、直観的でリアルなアクションが出来上がるんです」とアロンソ仕込みのアクションを説明する。

　ちなみにロバートは、昨年公開の映画『TENET テネット』で『ダークナイト』三部作のクリストファー・ノーラン監督とタッグを組んでいるが、同作の撮影最終日まで、ノーラン監督とバットマンについて語り合うことはできなかったという。「『TENET テネット』を撮影する1年前は、まさか自分がバットマンを演じるとは思っていなかったですし、エージェントから電話をもらった時は『嘘だろ!?』と仰天しました。役者人生、本当に何が起こるかわかりませんよ」と感慨深げに語っていた。（取材・文：編集部・倉本拓弥）