シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
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報誌等で活躍するライターや編集者が毎月5本の映画を評価! 映画を観ることに関しては‘プロ’には違いないが、プロといえども人の子。作品の出来の善し悪しに関わらず、好き、嫌いはどうしてもつきまとう。このコーナーでは作品評価の他に個人的な好みを★5段階で表現した。ただしあくまで映画は私的なものなので、ここでの評価が低いからといって読者にとってつまらない映画かといえば……それは劇場へ行って自分の目で確かめよう!

 

-近況など-

映画ライター
身体の調子を悪くしたりしてちょっと鬱だったんですけど、インド製の群像劇『モンスーン・ウエディング』を観て、とっても幸せな気分になっちゃいました。なんだか穏やかでこんな後味の作品は久しぶり。
ライター
『ブレイド2』のギレルモ・デル・トロ監督に取材した日、平幹二朗に遭遇(デカい)。別の日、銀座で佐藤慶(渋い)に遭遇。Oh! 僥倖。関係ないけど、トミー・リー・ジョーンズは手と顔、デカくてゴツかった&生真面目なオヤジ!

編集者&ライター
今月はものすごく聡明さを感じさせた、『イン・ザ・ベッド・ルーム』のマリサ・トメイの取材が印象的だった。海外ドラマファンの皆様、『CSI・科学捜査班』はマイアミ版もできるらしい!(盛り上がってるのは私だけ?)

愛しのローズマリー

ストーリー: 『メリーに首ったけ』のボビー&ピーター・ファレリー兄弟監督が、今度はオスカー女優グウィネス・パルトロウと組んだ! しかも彼女が演じるのは136キロのデブ女。ファレリー兄弟自ら最高傑作と認める本作は、心温まるラブコメディー。
日本公開: 6月1日
(日比谷映画ほか全国東宝洋画系))
上映時間:1時間45分
配給: 20世紀フォックス映画
(C)2002 TWENTIETH CENTURY FOX


ドラマ性が高いのに、爆笑できるコメディを作るファレリー兄弟。心の美しさが外見に反映されるという誰もが考えつきそうなコメディ・シチュエーションなんだけど、ファレリー兄弟は深く掘り下げる。掘り下げた結果、スペシャルなコメディに昇華させる力が彼らの凄いところなのだが、今回は生真面目に取り組み過ぎた感じで、笑えない。でも、スリリングなくらいに面白い。それはこの映画を観ていると、姿形への偏見など自分にはないと思い込んでいたのに、心の中に厳然とその偏見がある事に気づかされてしまうからだ。


外見至上主義の男性が催眠術をかけられた途端、見える世界が一変。巨デブな女性が彼の目には華奢なグウィネス・パルトロウに見える。どことなく、若き日の西田敏行(容貌&芸風)を彷ふつとさせる主演ジャック・ブラックのコミカルな味は最高だ。グウィネスも好演してる。しかし、ファレリー兄弟作だからと期待した割には、今回は差別ネタもお下劣なギャグもとっても普通。加えて「人間の内面と外見は違う」なんて言われても、自分のことは棚にあげて理想にこだわりたい私のような人間には、だから何? なんですよ、すみません。


『メリーに首ったけ』『ふたりの男とひとりの女』のファレリー兄弟監督作。シニカルでちょい下品なギャグでこれまでも笑わせてくれたが、個人的には苦手な作風。本作はこれまでに比べて比較的普通っぽい内容だが、人間の中身と容姿が違うとかなんとかいう話はこれまた個人的には全く共感できないテーマで、コメディとしてあははっと笑い飛ばす気にもなれず。ウォルト役を演じた、実際に障害を負っている素人さんの扱い方、描き方はさすがと思う。エンドロールまでちゃんと見よう。

マジェスティック

ストーリー: 『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』のフランク・ダラボン監督が描き出す奇跡と感動のドラマ。『マン・オン・ザ・ムーン』、『トゥルーマン・ショー』で2度のゴールデン・グローブ賞に輝いたジム・キャリーが、記憶を失った男を真実味あふれる演技で観る者の涙を誘う。
日本公開: 6月22日
(丸の内ピカデリー1他全国松竹・東急系)
上映時間: 2時間33分
配給: 配給: ワーナー・ブラザース映画
(C)2001 Warner Bros. All Rights Reserved


『ショーシャンクの空に』のフランク・ダラボン監督にジム・キャリー主演じゃ面白くならないわけがないのに、観終わって頭の中が「?」でいっぱいになってしまった。ストーリーが難解というわけじゃない。作り手の意図が分からなかった。何が言いたいのか? 恋、感動、涙、勇気、ストーリーに盛り込もうとしたモノが、全て中途半端になっている。まるで編集途中のフィルムラッシュを見せられたような……。ただ、善良な人々ばかりの街の雰囲気にはちょっと心が和んだ。


街の住民が全員いい人で、おまけに主演がジム・キャリーだから、つい『トゥルーマン・ショー』が頭に浮かぶ。しかし、キャリーを実の息子だと思い込むマーティン・ランドーほか、俳優たちのキャラが立っている。タラボン監督の演出の妙。もっとも「赤狩り」が絡むのに、展開はヤワだし、ジム・キャリーの頑張りが鼻につく。でも、美しい街並み、古き良き時代にお似合いなジャズが流れ、再建された映画館のきらめきは素晴らしい。人生一度はこんな所で映画を観たい! そう思うと、胸が熱くなった。


物語の設定が1950年代というのがミソ。クラシカルな衣装や音楽、古きよき時代を彷ふつとさせる町の佇まい、当時の映画など、サブ的要素がすごく楽しい。ダラボン監督のこなれた演出で、誰でも楽しめる良質の感動作にまとまっている。ただ、人間の尊厳とか誇りといった作品でうたわれているメッセージが、やや押し付けがましく感じられるのが残念! キャリーと恋に落ちる、弁護士を目指す美女アデルが正義の一説をぶちかますシーンにイライラ。こういうのって、言葉に出してしまうとすごく陳腐なんだよね。

プレッジ

ストーリー: 最新作『アイ・アム・サム』で3度目のアカデミー主演男優賞候補となった名優ショーン・ペンの3作目となる監督作品。引退した刑事が執念で事件を追うさまをスリリングに描いたサスペンス。
日本公開:6月29日
(恵比寿ガーデンシネマ)
上映時間: 2時間3分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ



ショーン・ペンは、俳優の演技力や表現力をとことん信じている人だ。セリフは極端に少ないし、必要ないとなれば身体の動きや表情だけで感情表現させる。その信頼に応えて、一流俳優たちが彼の作品には集まる。大量の七面鳥に囲まれてたたずむニコルソン、髪と髭に隠れてほとんど表情も分からないデル・トロの目だけの演技……。サスペンスとしては傑出した物語ではないかもしれない。ただ、俳優たちの熱い演技とペンの行きそうで行かない抑制の利いた演出にシビれてしまうのだ。


少女を殺害した犯人を退職した後も追い続けたばっかりに、第2の人生が狂う。目新しさはない物語。しかし、ジャック・ニコルソンが演じると、恐ろしくリアルでやるせない話となる。犯人を追い詰める執念の強さが妄想に変わり、狂気へと突き進む。彼の眼の変貌にはゾッとさせられると同時に、時の流れをうまく織り混ぜながら人間の悲しい性を描写した監督ショーン・ペンの手腕に拍手! それにしても、サム・シェパード、ベニシオ・デル・トロほか名優たちがチョイ出演。友達の輪が凄すぎなペン監督である。


退職間際に起こった少女の惨殺事件。未解決に終わったこの事件が忘れられず、ひたすら執念の捜査を続ける老刑事ジェリー。演じるのは、御大ジャック・ニコルソン!刑事モノ&オジ様俳優好きな私としては、この設定だけでわくわく。で、映画はどうだったかといえば、もー、やるせなくて切なすぎる。ラストのニコルソンの名演には涙涙。あっぱれ、ニコルソン! どうやっても抜け出すことのできない、人間の“業”を描ききった監督ショーン・ペンにも拍手を。

ニューヨークの恋人

ストーリー: 『シティ・オブ・エンジェル』『ユー・ガット・メール』などの作品でロマンスの女王と言われるメグ・ライアン主演の時空を越えたラブストーリー。共演のヒュー・ジャックマンは『X-メン』『ソードフィッシュ』でブレイクしたオーストラリア出身の新星。
日本公開:6月15日
(日比谷スカラ座他全国東宝洋画系)
上映時間: 1時間58分
配給:ワーナー・ブラザース映画
ギャガ・ヒューマックス共同配給


本作で描かれているタイム・パラドックスについて考え始めると、ボロボロと穴が空いてしまうのだが、ラブ・ロマンスのお膳立ての一つだと割り切ってしまえば気にならない。メグ・ライアンは良くも悪くも相変わらずのプリティ・キュート。それより、相手役のヒュー・ジャックマンの古風な紳士ぶりがイイ。『X−メン』の時とはまるで別人で、若い頃のクリント・イーストウッドを柔和にした印象で感情移入。物語はラストに少々違和感を抱いたが、総じて無難な作りで老若男女楽しめると思います。


これまでの路線で人気回復を狙ったメグ・ライアン。でも、ガリ痩せの上に、目の下にはクマまで入ってるヒロインなんて、ラブ・コメとしていかがなもんでしょう? 感情移入しづらいと思うが。そこで、注目はヒュー・ジャックマン。ジェントルマンで女の扱いにはたけてて、料理はお上手、悪漢に襲われたら、白馬に乗って助けに来てくれる。素敵すぎっ! んー、こんな男、なかなかいません。ってところで彼にうっとりできれば、しばし現実を忘れて、お姫様気分に浸れるかも。


お決まりのラブ・コメでしょ、と期待せずに観ると意外と楽しめるかも。メグ・ライアンのアップにはさすがにちょっと年を感じてツライが、たまにはこんな映画も観てみたいと思わせる、超ロマンチックなおとぎ話的作品。ストーリーうんぬんよりも、メグの衣装がかわいーとか、白馬に乗って駆けてくるヒュー・ジャックマンがステキーとか、夜景の見える屋上であんなロマンチックなディナーをしてみたいわ~と、ミーハーに徹して観るのがベスト!

青い春

ストーリー: 漫画家松本大洋の「青い春」に収められた数編の短編マンガをエッジの利いた演出で紡ぎ男子高校生たちの閉塞感に満ちた姿を描く。主演に『御法度』でデビューを飾った故・松田優作の長男の松田龍平。
日本公開: 6月29日
(渋谷シネマライズ)
上映時間:1時間23分
配給:ゼアリズエンタープライズ


静けさに包まれ殺伐とした校舎、意味深長な落書き、奇妙にカッコイイ学ラン、咲きっぱなしの桜……。予算やら製作上の制約を、全て逆手に取ってハッとするほどの演出効果をあげてます。なにより高校生たちの姿がリアルで胸に染みた。学力偏重の社会構造、なんて事にも思いが至るけど、そんな分析的な視点をかいくぐって彼らの切なさが心にズシンと来る。観終わった後、電車の中でイキがって傍若無人にふるまう高校生たちにいつもはムカツクのに、シンパシィを感じちゃったな。


松田龍平クンのマイペース顔、好きです。『御法度』の時から、さらに妖しい色気が増してるな。憂いを帯びて、ちょっといい感じ。しかし、本作で一番、光ってんのは、青木を演じた新井浩文クン。とてもこれが『GO』に次ぐ2作目とは思えん。前半の金魚のフンのようなキャラがブチ切れた、後半の彼の姿。変貌だけでなく、男同士の友情の残酷さに切なくなる。ただ、ミッシェル・ガン・エレファントの歌は過剰使用。音楽に頼らずとも、男の子たちの閉塞感を若い役者たちはちゃんと出してたと思うけど。


今時流行りの松本大洋のコミックが原案の青春ドラマ。映画としてはちょっと拙いところもあるけれど、最初から最後まで一気につっぱしっちゃうような、妙な勢いにあふれていて好感度大。主演の松田龍平くんの演技は相変わらず……なのだが、スクリーンに登場すると自然と目が行ってしまう存在感はスゴイ。そして、彼を取り巻く脇の若手もみんないい。特に、『GO』でも迫力の演技を見せていた荒井浩文は要チェック! その圧倒的な個性は強烈だ。今後の活躍に大いに期待したい新人です。

 似顔絵イラスト:川合夕香

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