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『イン・ザ・プール』松尾スズキ独占インタビュー

取材・文:FLiXムービーサイト

奥田英朗が直木賞を受賞した「空中ブランコ」の主人公、精神科医の伊良部が大活躍する「イン・ザ・プール」が三木聡監督によって映画化された。本作に登場するさまざまな病状――プール依存症、継続性勃起症、強迫神経症――の患者たちが出会うのは、ヒョウ柄のシャツに白衣を着た病院の跡取り息子でもある伊良部。見るからに怪しい医者の伊良部を演じた松尾スズキに話を聞いてみた。

Q:伊良部という医者はかなり風変わりですが、演じてみていかがでしたか?

楽しめた反面、大変でもあったね。突拍子もない役は舞台で経験済みだけど、それをそのまま持ち込むのは危険だと思った。なぜなら映画はもう少しリアルなものを要求されるから……、そのせめぎあいが自分の中でありましたね。ぶっとんでいる部分とリアルな部分がちゃんと成立しているか、出来上がった作品を観る時も怖かったなぁ。

映画は毎日が本番でやることが違うから、テンションを保つことはできる。ただ時系列がばらばらなので、神経を使いましたね。あと伊良部は患者を治すことに興味はなくて、患者とどう遊べるか考える人。だから医者を演じるからといって医学的なアプローチをする必要はありませんでした(笑)。

Q:ヒョウ柄のシャツとブーツの自分を鏡で見たときはどうでしたか?

突拍子もない格好には慣れているからね(笑)。
ヒョウ柄のブーツとか、まぁ普段は履かないよね。履いてもいいだろうけど。劇中履いていたブーツはさ、サイズがきつくて大変だった(笑)。
ずっとヒョウ柄のシャツとブーツに白衣だったけど、他の衣装を着たいとは思わなかったね。あまり欲求がないからなぁ。言われたことを着実にこなすことに喜びを感じる人間ですから(笑)。だから今回、唯一、オダギリくん演じた田口を警察で身請けするシーンぐらい、アドリブがあったのは。アドリブで言っていると思われるようなシーンでもちゃんと脚本に書いてあったからね。

Q:伊良部の奥さんも登場しますが、とてもパワフルでした。

奥さんを演じた石川美津穂さんはプロレスをやっていた人だと聞きました。僕、本当に持ち上げられました(笑)。

Q:市川実和子さんが演じた強迫神経症の岩村とオープンカフェにいるシーンがありましたが、あれは横浜ですよね?

監督が確かそちらの方の出身で、横浜のロケは多かったね。病院の外観は横浜港だったし、撮影の帰りには中華街でご飯を食べたよ。プールは確か貸切にして撮影したかな。水に入るのは好きだけど、泳ぐと疲れちゃうからなぁ。

市川さんは、ぽわーっと日なたにいるような気持ちにさせてくれる女性だった。友達になれそうだと思いましたね(笑)。市川さんが立川の生まれと聞いたので、昔、立川で不良をしていたゲッツ板谷の「板谷バカ三代」(角川書店)という本をプレゼントしました。彼は僕のメル友です(笑)。

Q:岩村の上司の編集長を演じたふせえりさんも味がありました。

昔、彼女とラジオでコントをやっていました。今回、10年ぶりの再会でした。懐かしかったですね。コントをやっていた時の気持ちがよみがえりました。とても楽しかったので、また共演したいですね。 それにしてもビックリしたことは、彼女、三木監督の奥さんになっていた! 「いつの間に結婚したんだ!」という感じでしたね(笑)。

Q:プール依存症の大森を演じた田辺誠一さんとの共演はいかがでしたか?

田辺くんとは過去に舞台で共演したことがあって、気心は知れているはずなんだけど……。まぁ、彼はつかみどころがない人だからね(笑)。彼とは同時期に別の映画(『スクール・デイズ』)でも共演していて、暑い夏を2人で過ごしましたよ。そういえば、彼がガラスを割るシーンで、ガラスに弾き飛ばされたって話を聞いたなぁ(笑)。

Q:松尾さんは監督としても活躍されていますが、同じ監督という立場からみて、三木さんはどんな監督ですか?

三木さんはとてもクールで大人だったね。演技をよく見てくれる人で、信頼ができる方でした。でも長いセリフの最中に動作の方で細かい指示が出て、その時は緊張しましたね(笑)。僕はセリフ覚えが悪いから、毎日みっちり脚本を読んでセリフを覚えるようにしました。とにかく伊良部はセリフが多いし、よどみなくペラペラしゃべる役だから、プレッシャーがあって必死に覚えましたよ(笑)。

Q:原作者の奥田英朗さんは現場を訪れることはありましたか?

一度だけ、病院の外観を撮っている時にいらっしゃいました。会話ですか。もちろんしましたよ。でも僕はその時に原作を読んでいなかったのでね……(笑)。

Q:撮影を振り返ってみていかがですか?

車を運転するシーンがあって、スタッフが板に乗った車を動かしてくれました。僕は車の免許を持っていないので、車を運転する気持ちをこれで楽しむことができましたね。

Q:それでは最後に映画の公開を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをどうぞ。

『イン・ザ・プール』は笑ってなんぼの映画です。いろいろな人がいろいろなところでおもしろいことをやっているので、そこを見ていただければと思いますね。よろしくお願いします。

「はい、いらっしゃいませ」と伊良部の決めセリフを披露してくれた松尾スズキ。飄々(ひょうひょう)とした語り口で映画にまつわるさまざまな話を聞かせてくれた。原作では続編があるので、また松尾が伊良部を演じてスクリーンに登場することを期待したい。

『イン・ザ・プール』は5月21日よりテアトル新宿ほかにて公開。

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