シネマトゥデイ

第59回カンヌ国際映画祭
第59回カンヌ国際映画祭が、現地時間5月17日に開幕。最高賞のパルム・ドール賞を競うコンペティション部門のノミネートは20作品。大御所がひしめいた去年とは違い、ケン・ローチ、ペドロ・アルモドバル、アキ・カウリスマキなどの常連監督とソフィア・コッポラ、リチャード・ケリーなどの若手監督がそろった。残念ながら日本映画のノミネートはないが、役所広司、菊地凛子らが出演した『バベル』(原題)がノミネートされている。

今年の審査委員長は中国人として初めて、ウォン・カーウァイ監督が務め、審査員にはチャン・ツィイー、モニカ・ベルッチ、サミュエル・L・ジャクソン、ティム・ロス、パトリス・ルコント監督ら著名人がそろい、彼らがどんな作品を選ぶのか、賞レースの行方が楽しみだ。
コンペティション部門
01 『バベル』(原題)
製作国:アメリカ
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・
イニャリトゥ
キャスト:ケイト・ブランシェット、ブラッド・ピット、ガエル・ガルシア・ベルナル
 
ストーリー
おだやかなバケーションを過ごしていたアメリカ人夫婦を襲った悲劇。この事件をきっかけに、チュニジア、メキシコ、モロッコ、そして日本の4か国で偶発的に起きる事件が複雑に絡み合いながら展開していく……。
ここに注目!
『アモーレス・ペロス』で、世界中を圧倒してハリウッドスターからも絶大な支持を得ているアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督。彼の最新作に出演を熱望したブラッド・ピット主演で描く壮大なスケールの物語。日本編では、役所広司が出演して話題を呼んだ。スクリーン上の共演はならなかったものの、カンヌの会場で役所とブラッド・ピットとの豪華な2ショットが見られる可能性は高い。
02 『ヴォルベール』(原題)
製作国:スペイン
監督:ペドロ・アルモドバル
キャスト:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ
 
ストーリー
人生のほとんどをスペインのラ・マンチャで過ごした信仰深い祖母、出産後すぐにマドリードへ移り住んだ母、マドリードの地で育ち、信仰に無縁の娘。そんな彼女たちには秘められたある秘密があった……。
ここに注目!
監督自身の故郷であるスペイン、ラ・マンチャを舞台に、タンゴの名曲「VOLVER」(帰郷)をモチーフとした哀しくもおかしい、親子三世代の人生ドラマ。1999年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞した『オール・アバウト・マイ・マザー』以来、ペネロペ・クルスと再びタッグを組む、アルモドバル監督の最新作。女性を独特のユーモアたっぷりに描くことで定評のある監督なだけに、本作の期待度は高い。
03 『マリー・アントワネット』(原題)
製作国:アメリカ
監督:ソフィア・コッポラ
キャスト:キルステン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、リップ・トーン
 
ストーリー
18世紀にオーストリアのハプスブルク家に生まれ、のちにフランス国王ルイ16世の王妃となったマリー・アントワネット。贅を尽くした暮らしぶりに国民の不満は爆発し、フランス革命により投獄され、処刑された……。
ここに注目!
マリー・アントワネット生誕250周年の今年、ソフィア・コッポラ監督がキルステン・ダンスと再タッグを組み、フランスで撮影した最新作。現代的なアレンジが加えられ、華やかな衣装にBGMはロック! 今やハリウッドを代表する女性監督となったソフィア・コッポラがマリー・アントワネットの生涯をどう描くのかが観どころだ。
04 『ライツ・イン・ザ・ダスク』(英題)
製作国:フィンランド
監督:アキ・カウリスマキ
キャスト:ジャンヌ・ヒューティライネン、マリア・ハイスカネン
 
ストーリー
孤独な主人公コイスティネンは、自分が入り込めるわずかな隙間を探しながら、厳しい世間の中で必死に生きていた。しかし、彼の小さく穏やかな望みを、社会はことごとく押しつぶしていく。夢も、自由も失っていくコイスティネンが見たものは……。
ここに注目!
フィンランドで深刻な社会問題となっている失業にともなうホームレスの増加をとりあげて描いたフィンランド3部作。『浮き雲』『過去のない男』に続く最終章が本作。救いのない物語でありながらも、アキ・カウリスマキ監督らしい心に迫る描写で観る者の心にのこる作品として2月に公開され、フィンランドでは高い評価を得ている。
05 『フランダース』(英題)
製作国:フランス
監督:ブリュノ・デュモン
キャスト:サミュエル・ボワダン、アデライード・ルルウ、ヘンリー・セラテル
 
ストーリー
舞台はフランスのフランドル。幼なじみのバーブに気持ちを寄せているドメスターは、ある日、遠地の紛争に兵士としておもむくことになった。紛争を目の当たりにしたドメスターの中で段々と何かが変わり始め、バーブとの関係にもズレが生じ始める……。
ここに注目!
長編デビュー作『ジーザスの日々』で、1997年カンヌ映画祭のカメラドール特別賞を皮切りに、各国の映画祭で多数の賞を受賞し、2作目『ユマニテ』では、1999年カンヌ映画祭のグランプリ、主演男優賞、主演女優賞の三冠に輝いたフランスの新鋭ブリュノ・デュモン監督。抜群の演出力で人間の精神のあり方を見つめていく、監督独特の世界観となっている映画だ。
06 『パンズ・ラビリンス』(英題)
製作国:メキシコ/スペイン/アメリカ
監督:ギレルモ・デル・トロ
キャスト:イヴァナ・バケーロ、ダグ・ジョーンズ、セルジ・ロペス
 
ストーリー
舞台は1944年のファシズムが台頭するスペイン。田舎に引っ越したある一家の12歳の少女が荒廃した迷路(ラビリンス)に迷い込み、そこで迷路の主「PAN」に出会う……。
ここに注目!
『ミミック』『ブレイド2』のゴシックホラーの鬼才ギレルモ・デル・トロ監督が放つ、ダークファンタジー映画。ビジュアルデザインを『ジュラシック・パーク』や『メン・イン・ブラック』など数多くの映画に携わっているアート・デザイナーのウィリアム・スタウトが手掛けている。ウィリアム・スタウトのデザイン感覚とギレルモ・デル・トロ監督のマニアック精神が融合した世界観をカンヌはどう観るのか、注目される。
07 『サウスランド・テイルズ』(原題)
製作国:アメリカ
監督:リチャード・ケリー
キャスト:ショーン・ウィリアム・スコット、サラ・ミシェル・ゲラー、ザ・ロック
 
ストーリー
時は2008年、7月4日の独立記念日の祝賀祭を3日後に迎えて、ロサンゼルスは熱波に襲われていた。記憶喪失になったアクションスターは、ある日、テレビプロジェクトを企画している成人映画のスターと、巨大な陰謀の鍵を握るという警察官に出会う……。
ここに注目!
『ドニー・ダーコ』で、ハリウッドの俳優たちから絶賛されたリチャード・ケリー監督の最新作。『アメリカン・パイ』シリーズのスティフラー役で、全米の若者から人気を集めたショーン・ウィリアム・スコットと、『THE JUON/呪怨』のサラ・ミシェル・ゲラーが主演を飾り公開前から大きな話題を集めている。
08 『ザ・ライト・オブ・ザ・ウィケスト』(英題)
製作国:ベルギー/フランス
監督:リュカ・ベルヴォー
キャスト:ナターシャ・レニエ、エリック・カラヴァカ
 
ストーリー
フランスのリエージュの街。3人の男たちは友人パトリックの妻にスクーターをプレゼントするために、ピストル強盗をくわだてることにした。当然のごとく事態は思わぬ方向に……。
ここに注目!
『戦場のアリア』に俳優として出演しているベルヴォー監督のコメディ映画最新作。『天使が見た夢』で1998年カンヌ映画祭主演女優賞を受賞した、フランスで大人気のナターシャ・レニエがどんな演技を見せてくれるのか注目したい。
09 『ファースト・フード・ネイション』(原題)
製作国:アメリカ
監督:リチャード・リンクレイター
キャスト:エリン・アリソン、パトリシア・アークエット、ミッチ・ベーカー
 
ストーリー
ファースト・フードが人々の健康に与えるリスクとは? その事実を調査していくにつれて、暴かれていくファーストフード業界の闇に迫る……。
ここに注目!
『スクール・オブ・ロック』のリチャード・リンクレイター監督が、ファースト・フード業界の裏側を描いた問題作。ジョン・ボン・ジョヴィや、アヴリル・ラヴィーンがゲスト出演した事でも話題を呼んだ。原作の「ファースト・フード・ネイション」も、アメリカではベストセラーとなっただけに今回の映画化は期待が高まっている。
10 『クロッサル・ユース』(英題)
製作国:ポルトガル
監督:ペドロ・コスタ
キャスト:マリア・ド・セウ・バルボーサ、マリオ・ベンチュラ・メディナ
ここに注目!
『骨』『ヴァンダの部屋』などの圧倒的映像世界で映画ファンを魅了したポルトガルの若き巨匠ペドロ・コスタ監督。鋭く先進的な感覚を持ちながらも、小津安二郎、ジャン・ルノワールを敬愛してやまない一面も。パルム・ドールを獲得すれば、ポルトガルのペドロ・コスタから世界のペドロ・コスタになること間違いなし。
11 『クライミッツ』(英題)
製作国:トルコ/フランス
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
キャスト:エブル・セイロン、ナザン・クサル
ここに注目!
2003年カンヌ映画祭で上映された『UZAK/ウザク』でグランプリに輝いた俊英ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の最新作。今回は監督としてだけではなく、俳優として出演もしている。トルコ・イスタンブールの景色と美しいピアノの音色が男女の悲哀物語を、一層引き立てている。
12 『チャーリー・セイズ』(英題)
製作国:フランス
監督:ニコール・ガルシア
キャスト:ジャン=ピエール・バクリ、フィリップ・ルフェーブル、ヴァンサン・ランドン
 
ストーリー
シーズンオフの静かな大西洋沿岸の街。7人の男たちの異なる人生。それぞれの生活を求めて、彼らは出会い、衝突し、すれ違う。日常の生活から脱出するチャンスはあると信じる、7人の3日間を描く。
ここに注目!
女優であり脚本家、映画監督と多彩な才能を持つガルシア監督の最新作。監督の過去作の脚本を務めたジャック・フィエスキとフレデリック・ベリエラ=ガルシアらが今回も脚本を手掛ける。
13 『ザ・カイマン』(英題)
製作国:イタリア
監督:ナンニ・モレッティ
キャスト:シルヴィオ・オルランド、マルゲリータ・ブイ、ジャスミン・トリンカ
 
ストーリー
ブルーノ・ボノモ(シルヴィオ・オルランド)は、70年代のB級映画を撮っていた有名なプロデューサー。彼が製作した長編映画は大コケ。大失敗に終わってしまい、映画界からは、もはや見放されたも同然だったブルーノに、希望の光が……。生き残りをかけた映画製作はどんな結末を迎えるのか……。
ここに注目!
2001年のカンヌ映画祭で上映された『息子の部屋』が、パルム・ドール賞を受賞。また、1994年には、『愛なる日記』で、同映画祭監督賞を受賞したモレッティ監督は、カンヌ映画祭のみならず、さまざまな映画祭で、多くの賞を受賞している。そんな彼が描くユーモラスな本作は、要チェックの1作。イタリアからは、同じく受賞の期待が高いパオロ・ソレンティーノ監督が出品しており、2人の巨匠の対決は気になるところだ。
14 『サマー・パレス』(原題)
製作国:中国
監督:ロウ・イエ
キャスト:シャオドン・ グオ、リン・フー、シャンミン・チャン
 
ストーリー
田舎に暮らす少女ユー・ホンは、勉強のため、恋人、家族、友人を残して生まれ育った村を出た。中国の中心地である北京には、保守的な村からは想像できないような自由な性と快楽に囲まれた刺激的な世界が待っていた。やがて彼女は、学生のチョウと激しい恋に落ち……。
ここに注目!
中国で学生運動が活発になり、天安門事件が起きた時代に生まれた「第六世代」と呼ばれる新しい時代の監督たちの代表株がロウ・イエだ。「第五世代」の監督とは、中国の伝統や文化、歴史に趣きを置いた作品だが、「第六世代」の監督が描く中国は常に新しく刺激的。そんな「第六世代」を象徴するような刺激的な作品『サマー・パレス』では、今まで私たちが観たこともないような新しい中国の若者たちの姿が生き生きと描かれている。
15 『デイズ・オブ・グローリー』(英題)
製作国:フランス
監督:ラシッド・ブシャール
キャスト:ベルナルド・ブランカ、サミ・ボージラ、ジャメル・ドゥブーズ
 
ストーリー
1944年から1945年にかけて、フランスはナチスの占領から自由を手に入れようとしていた。アフリカでフランス軍に招集された4人の兵士たちの物語。
ここに注目!
同部門でノミネートされている『フランダース』では製作指揮をしているブシャール監督の最新作。1975年『小さな火の歴史』でパルム・ドール賞を獲得したモハメド・ラハダ=ハミーナ監督に続くアルジェリア人監督2人目のパルム・ドール受賞なるか? と期待が高まっている。主演の1人、ジャメル・ドゥブーズはリュック・ベッソン監督最新作『アンジェラ』でも主演を務めているフランスで超人気のコメディアン。
16 『レッド・ロード』(英題)
製作国:イギリス
監督:アンドレア・アーノルド
キャスト:アンドリュー・アーマー、ナタリー・プレス、ダニー・ダイアー
 
ストーリー
監視モニターのオペレーターとして働いているジャッキー。彼女はある男によって家族を殺された過去を持ち、その心の傷が原因で他人との関係を避けている。ある日、その監視モニターの中に家族の命を奪った男が映っていた……。
ここに注目!
長編映画として、本作がデビュー作となるアーノルド監督。『WASP/ワスプ』で2004年度アカデミー最優秀実写短編作品賞受賞に輝いた監督でもあり、若手女性監督として期待されている。
17 『ザ・シンガー』(英題)
製作国:フランス
監督:ザヴィエル・ジャノリ
キャスト:セシル・ドゥ・フランス、ジェラール・ドパルデュー
 
ストーリー
フランスのクレルモンフェランの町でパブ歌手をしている50歳の中年男性アラン。ある日、彼はマリオンという若い女性と出会う。彼女は幼い息子を連れてこの町へ引っ越してきたのだという……。
ここに注目!
長編映画3作目となるフランスの若き監督ザヴィエル・ジャノリ。『ロシアン・ドールズ』に出演している、フランスの若手実力派俳優セシル・ドゥ・フランスやベテラン俳優ジェラール・ドパルデューらが共演し、フランスでの期待も高い1作。
18 『クロニクル・オブ・ア・フライト』(英題)
製作国:アルゼンチン
監督:アドリアン・カエタノ
キャスト:ナザレノ・カセーロ、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ、パブロ・エチャリ
 
ストーリー
1997年、ブエノス・アイレス。アルゼンチン政府のために動いていた組織は、有名サッカーチームのゴールキーパーであるクローディオを誘拐し、廃虚へと連れて行く。そこには、同じように誘拐され、自分たちの運命を待つ若者たちが、暮らしていた。そして数か月後、クローディオは仲間とともに監獄のような廃虚を脱出する……。
ここに注目!
2001年に発表した『ボリビア』で、カンヌ映画祭若手批評家賞、アルゼンチン映画批評家賞を受賞して、注目された。アルゼンチン映画界、期待のホープであるカエタノ監督の最新作。実話に基づいて作られたという本作は、リアルに進むストーリーが観客の緊張感を高める。スタイリッシュな映像と、演出に注目したい。
19 『ザ・ウインド・ザット・シェイクス・ザ・バーレリー』(原題)
製作国:イギリス/フランス/アイルランド
監督:ケン・ローチ
キャスト:キリアン・マーフィ、パードリック・デレニー、リーアム・カニンガム
 
ストーリー
20世紀前半のアイルランドを舞台に、IRA(アイルランド共和国軍)の若者の姿を描く……。
ここに注目!
イギリスの労働者階級に暮らす人々の姿を、リアルに描き続けてきたケン・ローチ監督が、IRAという、イギリスが抱える深刻な問題に焦点をあてた作品。常に、労働者の視点を大切にするケン・ローチがIRAを同情的に描いた作品として、話題を呼んでいる。同監督は、過去にもカンヌ映画祭で多くの賞を受賞しており、国際的な評価も高いことで有名。
20 『ザ・ファミリー・フレンド』(英題)
製作国:イタリア
監督:パオロ・ソレンティーノ
キャスト:ルイージ・エンジェリッオ、ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ、クララ・バンディ
ここに注目!
21世紀を迎え、新しい息吹が吹き荒れているイタリア映画界で、今もっとも注目を浴びているのがパオロ・ソレンティーノ。若者たちの切ない究極の愛を描いた代表作『愛の果てへの旅』は、2004年のカンヌ映画祭でも絶賛され、世界中から高い評価を集めた作品。それだけに、ソレンティーノ監督の最新作には、多くの人が期待を寄せている。
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