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システム・クラッシャー (2019):映画短評

システム・クラッシャー (2019)

2024年4月27日公開 125分

システム・クラッシャー
(C) 2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG (haftungsbeschrankt), ZDF

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

森 直人

「私」は誰も奪えない

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

2019年の傑作。この凄まじい映画を5年もスルーしていたなんて血の気が引くほどだ。H・ツェンゲルが爆演する父親からのDVでトラウマを負った9歳の少女ベニー。瞬時に怒りが発火する彼女を社会/世界はいかに受容するのか。この生々しく困難な問題提起作をフィクションの劇映画として作り上げた事に驚くばかり。

本作が初長編のN・フィングシャイト監督は大人側の恐怖や弱さも包み隠さず描き、主題を負の連鎖の根本にスライドさせず、ベニーが居る現場にあくまでタフに踏ん張る。そこからぎりぎりの尊厳がせり上がる。ニーナ・シモンの超名曲「Ain’t Got No, I Got Life」が最高純度の鋭利さでぶっ刺さった。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

まさかあのトム・ハンクスの映画と同じ少女とは!

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

普段あまり語られない事柄に焦点を当てる、強烈な映画。9歳の少女の暴力、暴言がすごくて、「ここでまたキレるのではないか」と、ずっとハラハラしていた。そんな彼女を演じたのが、この映画の翌年に「この茫漠たる荒野で」で正反対の少女になりきったヘレナ・ツェンゲルだと後で気づいてびっくり。あの若さにしてこれだけの演技の幅を見せた彼女の今後に大きく期待。ノラ・フィングシャイト監督は、5年をかけて里親や施設で実際に働いたり、スタッフの話を聞いたりしてリサーチをしたとのこと。大人たちのキャラクターが、複雑さを持たせながらも共感できるように描かれているのも納得。あっさり問題解決させないラストも良い。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

空前絶後レベルの子役演技に平伏すしかない

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

9歳のベニーの行動が冒頭から癇(かん)に障る。見てるだけでイラつく。聴覚でも神経を逆撫で。それは映画の作り手の意図に見事にハマったからで、その意味で成功。
ベニーが落ち着くかと思われた中盤、後半もかなりの衝撃が用意され、彼女が抱える問題の大きさ、手のつけられなさを観ているわれわれも体感することに。こうした子供たちの支援プログラム、周囲の大人の対応も誠実に、わかりやすく描かれて好感触。
全編を支配するのはベニー役、H・ツェンゲルで、暴走するシーンはもとより、鎮静剤で平常心を失った表情など演技のレベルを超えていて唖然!
5年前のベルリン受賞作をなぜもっと早く日本公開できなかったのか…そこだけ残念。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

リアルな手触りが、ドキュメンタリーかと錯覚させる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 9歳の少女ベニーは、自分の感情が制御できず、暴力的で身勝手に行動し、彼女に好意的な里親や支援施設職員も、彼女を受け入れられなくなる。そんな状況をドキュメンタリーと見紛うリアルな映像で描き出す。監督・脚本のノラ・フィングシャイトは、ホームレス女性のドキュメンタリー撮影中に出会った14歳の女性から本作を発想したという。

 人間の心理は年齢に関係なく複雑で、自分自身にも扱い難い。そんな彼女に周囲は何ができるのか。彼女にとって何が幸いなのか。投げかけられる問いは奥深いが、冷気の中に溢れる光と、9歳の少女が発する強烈なエネルギーが、ほのかな希望を感じさせる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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