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谷村美月
『ユビサキから世界を』
『ユビサキから世界を』谷村美月 単独インタビュー

取材・文 福住佐知子 写真・シネマトゥデイ

『世界の中心で、愛をさけぶ』や『春の雪』など、話題作を次々と手掛けている行定勲監督が、「何かを変えたいなら、まずは自分でできる小さなこと=『指先』から始めよう」というメッセージを込めたアンダーグラフの楽曲「ユビサキから世界を」に強く共感し、全国で無料上映される作品を作り上げた。平凡で退屈な毎日を送る5人の女子高生たちを主人公に、死とは何か、希望とは何かを問いかける。ヒロインの1人を演じた谷村美月に、高校生として過ごす日常や女優としての日々について語ってもらった。

■ありのままの自分で受けたオーディション

Q:この映画の話を聞いたときにどんな感想を持ちましたか?

話の内容があまりよく分からないままオーディションを受けました。最初、ウタの役のセリフを読んでと言われたのですが、明るい役だったので、かなりテンションを上げなければならなくて、「難しいな」と思っていたら、監督にリンネ役をやってみてと言われました。普通に読んだだけなのですが、受かったと聞いたときはうれしかったですね。

Q:同世代の役を演じましたが、ヒロインたちのように突発的に「死のうよ、死のうか」みたいなことはあると思いますか?

あると思います。普通は「何言ってんのー」で終わると思うんですが、ノリで「うん分かった。何時集合ね」とか……ということもあるのかもしれないです。

■行定監督の質問は「死のうと思ったことは?」

Q:行定監督はどんな方でしたか?

第一印象は「この人が行定監督かぁ」と思って、まるで芸能人を見るかのような目でずっと見ていたんです(笑)。オーディションが一番最後だったんですが、監督がみんなに聞いていた質問が「死のうと思ったことありますか?」ということでした。大阪から東京に出てきて、初めて一人暮らしをしていたとき「しんどいな~。何でこんなことしているんだろう……」と思ったことがあって、そんなことを正直に話したんです。死にたいなと思ったことがある子は多いらしくて、思ったことが無いと言った子は少なかったと監督もおっしゃっていました。

Q:撮影中、監督との関係は?

撮影中もプライベートな話なんかを普通にしていて、逆に映画についてのお話は何もしませんでした。最近の携帯の機能がスゴイなんて話しとか(笑)。役柄についての話はほとんどなくて、土に埋められるシーンについて「本当に埋めるから」と言われて「はい分かりました」と答えました(笑)。

Q:ほかのヒロインたちとの関係はどうでしたか?

山形で撮影が始まって、わたしは少し後で参加したんですが「5人かあ」と思って、最初は緊張していたんです。わたしは人見知りをするんですが、いつの間にか自然とうち解けていましたね。まずタマ役の永岡真実さんと仲良くなりました。1人ずつコテージのお部屋をいただいていたんですが、そのうち、わたしの部屋に3人くらいがいて、シングルのベットで仲良く寝たりしていました(笑)。

■本当に土に埋められた

Q:リンネはみんなで死のうと約束した学校へ向かう途中に交通事故に遭い、タクシーの運転手に死んだと思って土の中に埋められてしまいますが、あの衝撃的なシーンはどうやって撮ったのですか?

山奥に行って、桜の木のそばに埋められました。正直辛かったですね。時間もかかりました。とりあえずやってみようということになって、深い穴に投げ込まれて、土もかけられたんです。監督がなかなかカットをかけてくれなかったんですが、わたしも負けず嫌いなところがあるので粘りました(笑)。苦しくなっても、もうちょっといけるかも……と(笑)。監督の「カット」とわたしがほんとに苦しくなって我慢できなくなったのとが同時だったんです。辛かったですが、いい経験になったと思います。

Q:学生時代の友だちって特に大切ですね。友だちとの約束って重いものですか?

大切にしたいですね。わたしにもいい友達がいます。この仕事をしていると、どうしても学校を休みがちになるのですが、友だちが応援してくれるので助かっています。ダンスの部活に入っているんですが、部員の5人で9教科分のノートを書いてくれるんです!

Q:今後はどんな女優を目指していますか?

まだ特にこれというのはないですが、映画がとても好きなので、映画中心にやっていけたらいいなと思っています。役的にはリンネのような暗い、言葉の少ない役が好きです。やりやすいですしね。でもやりやすい方向に走ってしまうと偏ってしまうので、コメディーチックな役柄にも挑戦しています。好きな女優さんは蒼井優さんや宮崎あおいさんです。

■わたしが始めた“ユビサキから世界を”変えること

Q:『ユビサキから世界を』このタイトルからイメージすることは?

“ユビサキ”から変えられることっていろいろあると思うんです。私は人見知りするんですが、この映画に出てからエレベーターなんかで自分が先に乗ったときは、ほかの人が乗ってきたら積極的に「何階ですか?」と聞くようになりました。「あ~『ユビサキから世界を』だなあ、と思っています(笑)。自分ができる小さなことからコツコツと……です。

Q:この映画で特に観てもらいたい点はどこですか?

自殺の映画ということでテーマが重いと思われがちですが、監督は結構コメディーチックに描いたとおっしゃっていました。わたしは悩んでいる人を「いろんな人に支えられて前に進むことができるんだよ」って勇気づけられる映画であったらいいなと思っています。ラストも意外な感じで終わっているので。ぜひ観ていただきたいと思います。よろしくお願いします。

さわやかな笑顔からは、伸びやかで優しい性格が感じ取れた。まだ16歳になったばかりで、将来の可能性は未知数だが、自分の将来について話す瞳には女優魂が輝いていた。今後の出演予定作品は、ユースケ・サンタマリア主演の『酒井家のしあわせ』やホラー小説を映画化した『リアル鬼ごっこ』など、話題作がめじろ押しだ。

『ユビサキから世界を』はFree Screen Tour'06~全国縦断無料上映会~実施中。

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