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ビヨンセ・ノウルズ
『ドリームガールズ』
まだ演技を学んでいる途中だから、
いろいろなタイプの映画に出てみたい
『ドリームガールズ』ビヨンセ・ノウルズ 単独インタビュー

取材・文:今祥枝

グラミー賞ほかに輝く音楽界のスーパースター、ビヨンセ・ノウルズ。このところ女優業にも意欲を燃やす彼女が、ブロードウェイの人気舞台を映画化したミュージカル『ドリームガールズ』で主演格のディーナを演じる。アフリカ系アメリカ人の女性3人組によるグループのリードボーカルで、大物歌手のダイアナ・ロスがモデルとされている大役だ。歌&ダンスの華麗なパフォーマンスに加えて、シリアスな演技にも果敢に挑戦。ゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディ部門の主演女優賞にもノミネートされるなど、女優としての大きな一歩を踏み出した。

■10キロの減量成功

Q:ジェイミー・フォックスやダニー・グローバーといった演技派たちとの共演はどうでしたか?

すごく怖くてビクビクしていたわ(笑)。「ああ、どうしよう。間違ってキャスティングされちゃったんじゃないかしら」って考え続けていたのよ。彼らがわたしから最高の演技を引き出してくれるか、彼らがあまりに上手で、わたしをひどく下手に見せるかのどちらかだと思った。でも、とにかく「自分ならやれる」と信じて、できる限りの努力をしたわ。

Q:役作りのための10キロもの減量は、どうやって成功させたのでしょう?

ちょっと変わった方法なのよ。14日間、水ととうがらし、メープル・シロップ、それにレモンを混ぜたものを飲んだの。このダイエットで、すごく速く減量することができたわ。その後で、魚と野菜を中心にした食事をとって、バナナとイチゴのプロティン・シェイクを飲んだり、もちろんワークアウトもたっぷり!

Q:歌手としてのパフォーマンスに比べて、ミュージカルの歌とダンスは難しかった?

歌と振り付けの部分は、一番簡単なパートだった。というのは、ディーナは他人の言いなりになっていて、魂(ソウル)を失っているスターという設定だったから。舞台となっている1960年には、ソウルがあり過ぎると一般受けしなかったのね。

Q:難しかった部分は?

演技コーチとのトレーニングよ。ディーナには、ルックスの良さだけでなく、絶対的に人を惹(ひ)き付ける何かがなくてはならなかった。わたしたちは、それを彼女の瞳の中に隠された痛みだと決めたの。それでわたしは、常に頭の中で、とてもつらかった時のことやすごく感情的になるようなことを考える訓練をしたのです。

華やかなメイクやヘアスタイルで、軽快に踊りのステップを踏んでいても、わたしの心の中にはいつもとても複雑な感情が渦巻いていて……。そこにディーナのソウルを見ることができたんだけど、この作業は大変だったわ。毎日、演技コーチと一緒に楽しくないことばかり考えては、泣くっていうトレーニングをしなければならなかったんだもの。結果として、ディーナを上手く演じることができたと思っているわ。

■デスティニーズ・チャイルドでは男で争うことはない!

Q:仲良し3人組がスターになる過程を描いた本作の物語は、あなた自身にも共感できることが多かったのでしょうか?

この話は、名声と一緒についてくる葛藤(かっとう)を描いているの。すごく仲が良くてお互いのことが大好きな3人の女の子が、お互いを最も必要とし合っている時に、いろいろな良くないこと、後ろ向きなことによって友情が壊されていく。それってすごく悲しいことよね。

わたしたちのグループ(デスティニーズ・チャイルド)では、男のことや誰が何を歌うかなんてことで争うことは、絶対にないわ! でも、わたしたちはディーナたちよりも育った環境もいいしずっと恵まれている。もしも状況が違っていたら、わからないわ。

でも、これは本当は、それぞれ異なる個性や力関係を持った3人の女性たちが成長していく段階で、自分たちがどのような人間なのかを理解していくということを描いている話なのよ。ディーナは、自分は何がやりたくて何をやりたくなかったのかわかるまで、ずっと操り人形のような人間だったし、仲違いしてしまうエフィは、あまりにも頑固過ぎて何についても妥協しようとしなかった。だから、彼女たちがそういうことを悟るまでは、他人のことを愛せるに足るほどに、自分のことをちゃんと愛することができなかったのね。

Q:エフィのように実力はあっても、成功できないというケースは音楽業界だけでなくともよくあることですよね。あなた自身は、成功のコツとは何だと思いますか?

もしコツといったものがあるとすれば、自分の第六感に従うということかしら。人間はみんな、何か良い感じがする時とかどこかがおかしい時に、それを教えてくれる声を感じる能力を持っていると思うの。それはキャリアに限らず、人生全般においても同じこと。そして、自分がやったことは必ず自分に返ってくる。善い行いは自分に返ってくるし、悪い行いもまた自分に返ってくるものなのよ。

■いろいろなタイプの映画に出てみたい

Q:今後も女優業は続けていくつもりですか?

もちろん! わたしは、まだ演技を学んでいる途中だから、いろいろなタイプの映画に出てみたい。今回のように、自分がシリアスな役を演じる力があることを見せることができるような役を、ぜひまた演じてみたいわ。わたしがディーナみたいに物静かで弱い人間を演じることができるなんて、誰も想像できなかったでしょう?(笑) これは学習体験なのよ。それとコメディにももっと出演したいし、殺し屋みたいな役もいいわね!

Q:演技をすることは、歌手としてのあなたに影響を与えていると思いますか?

それは間違いないわね。この映画の撮影終了後、休暇に入る予定を返上して、録音スタジオに行ってアルバム「B'Day」を作ったの。自分の中に言いたいことがたくさんたまっちゃって、とても休んでいることができなくて(笑)。

このアルバムは、これまでのわたしの典型的なアルバムとは全く毛色が違うのよ。誰かをすごく長い間、オリの中に閉じ込めておいた後で放したみたいな感じで、すごく強いところがあるの。考えてみれば、ディーナはオリの中に入れられていたようなもので、わたしは自分の中の彼女を解放してあげる必要があったのね。だから自分のアルバムを使って、挑戦的な歌詞や激しいビートの曲を書いたんだと思う。

ディーナという役を通して、わたしはいつもとは違う人生を経験することができた。そして、それを活かすことができたから、このアルバムをより興味深いものにすることができたのよ。ディーナを演じたことは、いろんな意味で有意義な経験だったわ。

ゴージャスなディーバのイメージとは裏腹に、穏やかな話し方にソフトな雰囲気をまとったビヨンセ。『ファイティング・テンプテーションズ』『ピンクパンサー』といったこれまでの映画出演を振り返って、「そのときに自分ができる範囲で役を選びながら、ゆっくりと女優業を歩んできたことを誇りに思っている」と語るなど、仕事に対する姿勢は謙虚でストイック。現在25歳、歌手として女優としてのこれからの活躍にますます期待したい。

『ドリームガールズ』は2月17日より日劇3ほかにて公開。

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