シネマトゥデイ

竹内結子
『サイドカーに犬』
どんどん捨てていって、
もう何もなくなっちゃったところから入りました
『サイドカーに犬』竹内結子 単独インタビュー

取材・文:シネマトゥデイ 写真:福岡周一

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約1年半、スクリーンから遠ざかっていた竹内結子が戻ってきた。彼女の久しぶりの主演作は、『雪に願うこと』の根岸吉太郎監督作品『サイドカーに犬』。この作品の中で、タバコを吸い、豪快に笑い、自由奔放に生きる“ヨーコ”を演じた竹内は、以前よりも自由に、そして魅力にあふれた女優として、さらなる輝きを見せている。1年半ぶりの映画で、驚きの変身を遂げた竹内に話を聞いた。

■久しぶりの主演作で演じたのはかっこいい女性

Q:久しぶりの主演作に“ヨーコ”という役柄を選んだ理由は何ですか?

台本をいただいたとき、いつもは自分の役寄りに読むんですけど、今回は主人公の女の子である“薫ちゃん”の方に感情移入してしまったんです。薫の目線からヨーコを見ていて、この人はわけが分からないなあ……どういう人なんだろうって思ったんですが、小さいときにこういう人にいて欲しかったという思いもあって、ヨーコという人物に興味がわきました。

Q:竹内さんからご覧になって、“ヨーコ”のカッコいいところはどこだと思いますか。

ヨーコのカッコいいところ……。多分、「じゃあねバイバイ」ってお別れするシチュエーションで、一度背中を向けたら絶対振り返らないところだと思いますね。ちょっとかわいらしい女の子だと、何度も振り返って手を振る人っているじゃないですか。そういうことはないタイプの人かな。「じゃあ!」って言ったらもうそれまで、みたいな(笑)。その潔さが心地良い人だなあと思いますね。

Q:これまでは“ヨーコ”とは正反対な役が多かったと思うんですが、今回の役作りはどの様にされたんですか?

今まで持っていたものは、どんどん捨てていって、逆にもう何もなくなっちゃった、っていうところから入りました。今までは本当に、誰か愛する人がいるとか、やりたいことがあるとか、自分が演じる軸みたいなものがあったんです。そこを、自分にとっての大事なポイントにしていたんですが、今回はどこに住んでいるのか、本当は何歳なのか、何をしている人なのかっていうのがまったく分からない。なら、自分では考えることはやめてしまおうと思ったんです。

Q:“ヨーコ”の役柄から学んだことは?

自由に生きてみたい人から見れば、ヨーコみたいな人って、すごくうらやましいと思うんです。でも、逆に常に物事を慎重に考えている人っていうのも、ヨーコから見たらうらやましいんじゃないでしょうか。そういう意味では、どういったタイプの女性でも、結局ないものねだりになっちゃうのかなあ……。でも彼女を演じて、自分の人生を考えたりすると「女で良かったかもなあ、わたし」って思いました。女性っていろんな意味で自分のあり方を選べるんじゃないかなと思って。どんな変化でもついて行けるっていう、たくましさがある気がするんです。

■早く大人になりたかった少女時代

Q:小学生の“薫”から見た“ヨーコ”像が、とても魅力的に描かれていました。

わたしが薫だったら、あんな風に「どっちにする?」ってお菓子を選ばせてくれる人って、「なんてすてき!」って思うんですよね。幼いころは食べ過ぎちゃいけないから、今日の分はこれだけって決まった分だけ与えられるってことが多いんで、自分が何かを選んでいいって言われたときのうれしい気持ちは、よく分かりました。

Q:竹内さんはどんなお子さんでしたか?

小さいころは、早く大人になりたいと思っていました。自分で何かできるっていうのが、うらやましくてしょうがなかったんですよね。おさがりじゃない洋服を着たり、常に新品を選べたりっていうのが、働いている人の特権っていう感じがしました。わたしは学校を卒業して自分で生活するようになって、なんて楽しいんだろう! って思いました。

Q:女性に頭突きをしてしまうヨーコでしたが、あのシーンはどうやって撮影されたのですか?

あの日は、現場に行って監督と話をしていたら、「ヨーコはケンカができる人だと思うけど、めちゃくちゃケンカが強いってわけじゃないと思うんだよ」っていう話を監督からうかがいました。アクションの指導をしてくださる殺陣(たて)師の方もいらしたので、こういう風に追い詰められたら、こう返すしかないよねってシチュエーションを設定して演じました。

Q:女性同士の取っ組み合いはいかがでしたか?

なんか面倒くさいですよね……。まあ、まずは落ち着いて話を聞けよ、みたいな気持ちが自分にはあったんですけど、でも、ゴングが鳴ってしまったらしょうがない、みたいな(笑)。もう勝つか負けるかしかないんだな、と思いました(笑)。

Q:この作品をどういう風に楽しんでもらいたいですか?

時代の設定が80年代なので、当時を知る人たちには、懐かしいシーンがいろいろなところにあると思います。それからヨーコみたいな人がそばにいたら、自分はどうだったかな? と想像したり、自分の子ども時代を振り返ってみたりするのも楽しいんじゃないかな。映画館を出た後で、ヨーコと誠さんの関係や、あの後どうなったかなど想像してみるのも面白いかもしれません。

今まで演じた役柄からは想像がつかない、自由奔放なヨーコを演じ、演技の幅を広げた竹内結子。「この役を演じて、“女で良かったな”と思えました」ときっぱりと言い切ってしまう彼女は、“凛とした”という言葉がとても似合う女性だった。タバコも吸う、けんかも強い、と竹内結子自身とは、かけ離れた“ヨーコ”かも知れないが、女もほれてしまうほどのかっこ良さを“竹内結子”という女優の中にも感じたインタビューだった。

『サイドカーに犬』は6月23日よりシネスイッチ銀座ほかにて公開。

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