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今週のクローズアップ マット・ディロン

 週末に公開される話題の映画の中から、気になる人物をご紹介します。今週は、8月18日公開の『酔いどれ詩人になるまえに』のマット・ディロンをクローズアップします。青春映画のアイドルから、渋みのある本格派俳優に成長を遂げたマット・ディロン。かつて「不良少年」として青少年のあこがれの的だった彼の歩んできた軌跡を振り返ってみましょう。
ジェームス・ディーンの再来 新たな「不良少年」のシンボル

 1964年2月18日、森林関係のシステム・エンジニアであり、また肖像画家でもあった父と、専業主婦の母との間で産声をあげたマット・ディロンは、生まれも育ちもニューヨーク。大人気漫画、「フラッシュ・ゴードン」の生みの親であるアレックス・レイモンドは親せきに当たります。学校でひときわ目立つその甘いマスクがキャスティング・ディレクターの目に止まりスカウトされたマットは、1978年、ティーンたちの反抗を描いた青春ドラマ『レベルポイント』でスクリーンデビューを果たします。シュッと尖ったアゴに長髪がよく似合う、マット14歳のときでした。 


 デビュー以降は、ローティーンの女の子たちのロストヴァージン合戦をつづった『リトル・ダーリング』(1980年)、思春期の少年たちの友情をほのぼの描いた『マイ・ボディガード』(1980年)、若い2人のピュアなラブ・ストーリー『初恋物語』(1982年)など、青春映画への出演が相次いだマット。その後、立て続けにフランシス・フォード・コッポラ監督作品の『ランブルフィッシュ』(1983年)と『アウトサイダー』(1983年)で不良少年を演じたことが決定打となり、ポスト・マーロン・ブランド、またはジェームス・ディーンといった、名誉ある「不良少年」の系譜に名を連ねることになった彼は、一躍ティーンたちのアイドルとなりました。


 
キャー! そんな目でみないで!
Ron Galella/WireImage.com
ヤクザなマットに首ったけ!

 順調に良作への出演を重ね、除々に大人への階段を上っていくマット。ガス・ヴァン・サント監督の長編デビュー作『ドラッグストア・カウボーイ』(1989年)では麻薬漬けのヨゴレ役、キャメロン・クロウ監督の『シングルス』(1992年)では色男のロッカーにふんし当時流行のグランジファッションをさらりと着こなすなど、不良少年のにおいをほどよく残しつつも、着実に演技の幅を広げていきます。


 注目したいのは、1998年に出演したファレリー兄弟監督の爆笑お下劣ハートフルコメディ『メリーに首ったけ』で演じた、骨のズイまでうさんくさいようなチンピラの役。キャメロン・ディアス演じる超マブい女・メリーを自分のモノにしようと、考えつく限りの卑劣で薄汚い手を使いライバルを蹴散らそうと奮闘するペテン師にふんしたマット。この役の、シャレにならない程の極悪非道を極めているのになぜか憎めない、人間離れしたようなちゃめっ気と軽快さは、確実に作品の面白さの肝になっています。とすると、この映画でのマットの存在は、パスタ料理におけるニンニク、みそ汁におけるダシのようなもの。アイドルの「不良少年」はいつの間にか、かくも頼もしい“イイ味”の実力派俳優に成長し、2004年に出演した『クラッシュ』では、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされるまでになりました。


 
いやらし~い笑顔もス・テ・キ 『メリーに首ったけ』(1998)
GLENN WATSON_78/20TH CENTURY FOX/The Kobal Collection/WireImage.com
クールな無頼派のお好みは……?

 『メリーに首ったけ』の共演がきっかけで、キャメロン・ディアスと交際していたことのあったマット。
結婚観の違いから、3年で破局を迎えてしまいましたが、マットは“メリー”もビックリな極上の女・キャメロンにゾッコンだったもよう。破局の原因はマットの浮気という説もありはするのですが、女性関係に関しては、どうやら派手に浮き名を流すタイプではないようです。スキャンダルにまみれたハリウッド・バビロンに長いこと身を置きながらも、ゴシップは控えめ。「不良少年」といえども、マット本人にはスマートな堅実さがうかがえます。


 膨大な数のレコードコレクターでもあるマット。そんな彼と音楽との関わりも無視することはできません。アメリカのオルタナティブ・ミュージック・シーンを代表するごう音ギターバンド、ダイナソーJR.とは親交が深く、バッキング・ボーカルで録音に参加したり、ビデオクリップを監督したりもしています。また、80年代のアイルランドとイギリスを代表するバンドであるポーグスと、イギリスのシンガーソングライター・カースティ・マッコールが1987年にリリースし大ヒットしたクリスマスソング「ニューヨークの夢」(原題:Fairytale Of New York)のビデオクリップの冒頭に、警官の役でほんのちょこっとだけ出演していたりもします。


ナイスカップルでした
Steve Granitz/WireImage.com
やっぱりしっくり アウトロー

 そんなマットの最新出演作『酔いどれ詩人になるまえに』が、8月18日から公開されます。アメリカ文学界の偉大なるアウトロー作家、チャールズ・ブコウスキーの自伝的小説を原作に作られたこの映画でマットが演じるのは、作家修業時代のブコウスキーにあたる役。酒とセックスばかりの惨めな日々の中で、自らの言葉の持つ力を信じ創作を続ける主人公です。持ち前の「不良」味が良い塩梅(あんばい)に染み出した“酔いどれ”の演技には威厳すら感じられ、「不良少年」として映画史に名を残した者の真骨頂をみることができます。


 2002年には『シティ・オブ・ゴースト』で念願の監督デビューも果たしたマット。なかなかヒット作に恵まれない時期もありましたが、コンスタントに出演作が公開されている着実さには安心感があります。2007年現在はコッポラ作品への主演も決まっており、息の長さを保証できる名優といった風格を漂わせつつあるマット。今後ますます目が離せないことは言うまでもありません。


『酔いどれ詩人になるまえに』(2005)
(C) 2005 Copyright BulBul Film As / Factotum Inc.
文・構成:シネマトゥデイ編集部

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