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麻生久美子
『ハーフェズ ペルシャの詩(うた)』
一目見た瞬間に恋に落ちる、そういう恋も新鮮でいい
『ハーフェズ ペルシャの詩(うた)』麻生久美子 単独インタビュー

取材・文: 平野敦子 写真:秋山泰彦

大ヒットテレビドラマ「時効警察」シリーズなどで人気の麻生久美子初の海外進出作映画『ハーフェズ ペルシャの詩(うた)』がいよいよ公開される。イラン映画界の鬼才アボルファズル・ジャリリ監督の熱いラブコールに応え、全編ペルシャ語とアラビア語のみという難関を乗り切り、悲劇のヒロイン“ナバート”として迫真の演技を披露。今女優として乗りに乗っている彼女にイランでの撮影秘話や、ジャリリ監督との楽しいエピソード、海外初進出の意気込みについて大いに語ってもらった。

■イランでの食事の苦労

Q:イランでは最初は撮影もなくのんびりされていたそうですが、ゆっくりできましたか?

結構ゆっくりしました。いろいろと皆さんが毎日遊びに連れ出してくれるのでとてもうれしかったです。イランは日が長いので食事が遅いんですよね。最初は遅くまで明るいのがうれしかったんですが、だんだん疲れてきて(笑)、人にもよると思うんですが、わたしたちを案内してくれた方々は暗くならないとご飯を食べない方たちだったので、夜の10時とか11時ぐらいが夕飯なんです。そして、早朝から観光に連れて行ってもらっていたので、「これってタフじゃないと……」と泣き言を言っていました(笑)。

Q:イラン滞在中の感想を聞かせてください。

楽しかったけど、食事が辛くて……。撮影中に滞在したホテルでは食事のメニューの選択肢が4種類しかなくて。すごく固いパサパサの肉のケバブと……。その表現だとすごくまずそうですよね(笑)。でも味はおいしいんですよ。個人的には脂身が好きなのですが、向こうの人たちはあまり脂身を食べないのか、ケバブとかもすごく固いんです。あとは豆のシチューとチキンと、サフランライスのようなものがおいしくてそればかり食べていました。あとは魚のフライかな? わたしは食事の時間がとても楽しみなので、決まったものしか出てこないと思うと、ちょっと切なくなりました(笑)。だから、しょうゆやシーチキン、のりやなめこのみそ汁を持ち込んで、いかに日本食に近づけるかというテーマで食事と戦っていました(笑)。

Q:今回の衣装もすごくカラフルでステキでしたね。

あれの衣装は、すべて映画にメイド役で出演されていた女性の衣装なのです。彼女はイランの南、チャーバハール在住の方で、その地域で実際に着ている服なのだそうです。彼女はすごい衣装持ちで、ご自分の衣装を全部貸してくださったみたいです。刺しゅうとかもとても凝っていてきれいでした。今度イランに行ったら、ぜひお土産に買いたいです。

Q:イラン映画に初出演されましたが、お気に入りのイラン映画を教えてください。

ジャリリ監督の作品では『ぼくは歩いてゆく』が好きです。ほかにイラン映画でおすすめな映画は『運動靴と赤い金魚』ですね。すごくかわいくて大好きなんです。

Q:初の海外進出作品にこの映画を選ばれた理由について教えてください。

ジャリリ監督に初めてお会いしたのは7、8年前ですが、いたずらっ子のような目をしていて、印象はずっと変わらず“永遠の少年”という感じの方ですね。やはりその監督のラブコールに応えたかったというのもあります。でも、海外からの映画のオファーなんてそんなにはないですからね(笑)。ありがたく受けさせていただいたという感じです。

■麻生久美子ホテルを停電させる

Q:撮影中に印象に残った出来事は何かありますか?

ホテルを停電させたこととかですね。部屋でお茶を飲みたいなと思って電気ポットを買ったんです。それでマネージャーと一緒にお湯を沸かしていたらポットがバーンと爆発したんですよ! そしたら電気が一斉に消えて、「何かヤバくない!?」と思って廊下に出たら、廊下の電気も全部消えているんです。ホテルの半分が全部真っ暗で、「うわー!! これ、絶対にわたしたちがやった……」と思って、ホテルの方に謝りました。

Q:楽しかったことについて聞かせてください。

ジャリリ監督の奥さんが現場に手料理を持って来てくれたことです。「違うご飯が来た!」と思って、もうとてもうれしかったです! あれには本当に興奮しました。やはり食べ物の威力はすごいですよ。何て表現したらいいのかわからないんですが、1人分ずつ分かれていて、何かこう、野菜もあればお肉もあって、割とスパイシーでエスニックな感じのおいしいものがたくさん出てきてとてもうれしかったです(笑)。

Q:一番好きなイラン料理は何ですか?

ジャリリ監督の奥さんの手料理が一番おいしかったです。レストランも日本に比べると数が少なかったように思いました。日本はどこの国の料理もわりとすぐ食べられるので、とてもぜいたくな環境なんだと改めて思いました。

■プラトニックラブもいい

Q:本作で描かれている、お互いに見つめ合うこともなく恋に落ちる恋愛についてどのように思われますか?

わたしの方は一度相手があいさつに来たときに見ているんですよね。わたしが演じるナバートはずっと海外で暮らしていたので、それほど宗教の規則の厳しさというものを実際にはわかっていなくて。だから好奇心旺盛過ぎて、いろいろと聞いてはいけないことを聞いてしまうんです。多分彼女は彼を一目見た瞬間に一目ぼれをしたのだと思うんです。こういう恋も新鮮でいいですよね。このような設定の映画は、日本ではまず作られることがないと思います。なので、本当に一生に一度の素晴らしい経験だと思って感謝して演じました。

Q:麻生さんは佐々部清監督に“日本3大薄幸女優”の1人に選ばれたそうですが、ご自分ではどのようにお考えですか?

自分では全然薄幸だとは思わないんですが、顔が幸薄いということは自覚しています。

Q:この映画を楽しみにされているファンの方々に一言お願いします。

できたら2回観ていただきたいです。わたし自身が1回目に観たときと、2回目に観たときとの印象があまりにも違っていて、そんな映画は初めてだったんです。2回観ると物語も、細かい部分もすっと入って来るし、あとセリフもとても美しくていいんですよね。詩もたくさん出てきますし、いい言葉がたくさん映画の中で使われているので、それを観たり聞いたりするだけで、いい状態になれる作用のある映画だと思います。

彼女が得意とする薄幸な役柄とは違い、実際の麻生は明るく元気でとてもチャーミングな女性だ。まるで少女がそのまま大きくなったように好奇心旺盛で、本当に楽しそうによく笑う。その姿が許されぬ恋に身を投じながらも、一心に愛を貫く、かれんなヒロイン“ナバート”の純粋さとだぶって見えた。初めての海外進出作品で、撮影現場では片言の英語とペルシャ語を駆使して周りと同化し、役に成り切った彼女の魅力を、異国情緒漂うイランの雄大な砂漠の風景とともに、ぜひスクリーンで確かめてほしい。

『ハーフェズ ペルシャの詩(うた)』は2008年1月19日より東京都写真美術館ホールほかにて全国公開

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