シネマトゥデイ

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ニコール・キッドマン
『ライラの冒険 黄金の羅針盤』
きれいな秘訣? それは恋をしているから
『ライラの冒険 黄金の羅針盤』ニコール・キッドマン インタビュー

取材・文:斉藤博昭

超大作ファンタジーの序章、映画『ライラの冒険 黄金の羅針盤』で最新CG映像にも負けないほど、観客の目をスクリーンにくぎ付けにするのが、ニコール・キッドマンの美しさ! 彼女が演じるコールター夫人は、主人公ライラの運命を大きく左右するキーパーソンで、内面に複雑な葛藤(かっとう)も抱えている。外見の美しさと演技力の両面が要求されるこの役は、オスカー女優のニコール以外には考えられなかっただろう。彼女にとっても、ファンタジー大作への出演は初めての経験。演技者としてのさまざまな思いを、原作の生まれ故郷であるイギリス、ロンドンでインタビューした。

■原作者から直接、役をオファーされた!

Q:コールター夫人役のオファーがあったとき、すでに原作を読まれていたそうですが、引き受けた理由を教えてください。

原作は、製作が始まる6年前くらいに読んだの。その時点では映画化の話も聞いていなかったわ。やがて原作者のフィリップ・プルマンから手紙が送られてきて、そこには「小説を書いていたとき、あなたをイメージしていました。だからぜひ、コールター夫人を演じてください」とあったのよ。さすがに断るわけにいかないでしょう(笑)?

Q:コールター夫人には悪女の側面もあります。演じるときは、どんなことを心掛けていたのでしょう?

演じるのは難しかったわ。なぜならコールター夫人が母親だという点を表現しようとしたから。現実感のない薄っぺらな人間にしたくなかったの。この種のキャラクターを表現すときは、単純に悪者と決めつけて演じることもできるわ。役の背後に何も見え隠れしないように、という意味よ。でもコールター夫人に、そのアプローチはふさわしくないわ。原作を読むと、彼女の子どもが奪われてしまったことがわかるから。コールター夫人は頭がいい上に権力を愛し、強大なキャリアを築いていく。確かに非情な行動も取るけれど、自分では正しいと信じているの。モラル的にはあいまいな行動って、誰でも陥ってしまうじゃない。そこにわたしも惹(ひ)かれたのよ。わたし自身、結構心は複雑だから(笑)。

Q:本作では、各キャラクターに“ダイモン”という分身の動物が存在します。その点も役作りに影響しましたか?

原作にマーカーで線を引きながら、コールター夫人の過去を理解したり、ずいぶんリサーチをしたりしたけれど、確かにダイモンが役の分身のような存在ね。わたしの場合は、ゴールデン・モンキー。とにかくCGが素晴らしいわ。日本でも、このダイモンの映像がどのように評価されるか楽しみね。

Q:そのダイモンに対し、非情な態度を取った直後に優しく抱きしめるシーンがありますが、これはコールター夫人のどんな面を伝えているでしょう?

自分の感情に対してとても複雑な反応を示しているの。彼女は自分自身を愛しながら、同時に毛嫌いしているとも思う。あのシーンは、原作者のプルマンが映画用に書き足してくれたのよ。コールター夫人に自分を発見させるためにね。多面性が暴かれて、より複雑になったんじゃないかしら。

■実は意外にシャイな性格!?

Q:ライラ役は新人のダコタ・ブルー・リチャーズですが、彼女に対して厳しく接するシーンが多いですね。

ダコタとは常に「大丈夫?」と確認しながら共演したわ。そしてテイクが終わると、「ごめんなさいね」って謝るの(笑)。でも、彼女は本当に素晴らしい子役よ。映画出演は初めてなのに、知性にあふれ、まるで大人の俳優と共演しているようだったもの。

Q:映画の中のあなたは光り輝くような美しさでした。そのあたりも意識して演じたのですか?

普段映画に出演するときは、「演じるのだから、きれいになんて見せてられない」と考えるけれど、今回は美しいドレスを着て、きれいに見せる必要に迫られたの。これって、わたしにとっては難しいことだったわ。実は結構シャイだから、ゴールドのドレスを着て男性たちの前を歩くシーンでは、「深呼吸して。自信を持つのよ」って自分に言い聞かせたくらい。でもコールター夫人は、本当に魅惑的な役なんですもの。望むものを手に入れるため、周囲を味方に引き入れるわけだし……。

Q:実生活でも、美しさを保つ秘訣(ひけつ)がありそうですね?

タバコは吸わないし、お酒も5年くらい前に止めたの。今は飲むと頭が痛くなるわ。あとは……恋をしているからじゃない(笑)?

Q:あなたの目から、この『ライラの冒険 黄金の羅針盤』がほかのファンタジーと違って魅力的なのは、どの部分だと思いますか?

ダイモンの存在。そしてプルマンが創り出したパワフルで厳しく、それでいて誰にもわかりやすい法則のある世界ね。あと、この種のファンタジーは、普通主人公が男のコでしょう? その意味で本作は素晴らしいと思うわ。「ゴー! ガールズ!」って気分よ。

Q:また原作者プルマンの話題が出ましたが、撮影中、彼と直接、話をしましたか?

ええ、セットにも来てくれて、コールター夫人についていろいろ話してくれたわ。そして映画が出来上がった後、彼から手紙をもらったの。映画の中のわたしを気に入ってくれたみたい。原作者から「役をまっとうした」と言われるなんて……。感謝の気持ちでいっぱいよ。

■わたしのダイモンは、きっと子猫

Q:原作も3部作で続編が作られる予定ですが、どんなところに期待していますか?

シリーズ3作すべてが映画化されてほしいわ。2作目と3作目では、今回少ししか描かれていないコールター夫人の真の姿が明らかになるんですもの。彼女の複雑で強烈な部分が、心臓の鼓動のように伝わってくるはず。でも、まだ先のことは何も決まっていないのよ。もし作られなかったら、がっかりしてしまうけど……。

Q:プライベートも順調なあなたのことですから、家族との時間を考えて仕事を選ぶこともあるのでは?

もちろんストーリーで選ぶわけだけど、家族とも一緒にいたいから、離れて過ごしてもいいだけの価値のある作品になるんじゃないかしら。夫もわたしもオーストラリア人だから、テネシーとオーストラリアに家があるの。オーストラリアでは音楽を聴いて、海で泳いで、レストランや映画館へも行くし、何より2人とも冒険好きなのよ。実は『ライラの冒険 黄金の羅針盤』で共演したダニエル・クレイグがガールフレンドとオーストラリアに来たとき、わたしの家のディナーパーティーに参加してくれたの。一緒に仕事をした人と友だちになれるのって、本当にすてきなことね。

Q:この作品の原作を読まれていたということは、読書はお好きなようですね。

ええ、わたしはロシア文学が大好き。子どものときに読んだ一番のお気に入りはトルストイの「戦争と平和」かしら。ファンタジーは大ファンというわけではないけど、子どものころ、母が読み聞かせてくれたロアルド・ダールや、「ナルニア国物語」シリーズなんかはなじみがあるわね。

Q:日本にも何度かいらっしゃっていますが、思い出はありますか?

わたしが好きなのは京都ね。東京はちょっと慌ただし過ぎるから。あと日本ではスキーをするのも好きよ。

Q:最後に、あなた自身はどんなダイモンを持っていると思いますか?

子猫よ。ミルクが好物だし、なでられたり、世話されたりするのが好きだから。よく眠るしね。(日本語で)ドウモアリガトウ!

最近はオーラを感じさせる俳優が少なくなってきたが、素顔のニコールは、まさにスターという形容詞がぴったりの希有な魅力に満ちあふれていた。スクリーンの中のコールター夫人と変わらない美しさと気高さで、こちらの質問に丁寧に答えてくれる姿は、まさに映画女優の見本。このインタビューが行われた直後に、以前から念願であった妊娠を発表したニコールだが、出産を体験することで、さらに女優としての表現力が加わりそう。今後のニコールのキャリアはもちろんのこと、「ライラの冒険」シリーズの続編で、彼女がコールター夫人の母性をどう演じてくれるのか、期待は高まるばかりだ。

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映画『ライラの冒険 黄金の羅針盤』は3月1日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にて全国公開

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