シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
ニコラス・ケイジ
『NEXT -ネクスト-』
2人でいい思い出を作ってみるのもいいと思って、
妻をカメオ出演させたんだ
『NEXT -ネクスト-』ニコラス・ケイジ 単独インタビュー

取材・文:猿渡由紀

人気SF作家フィリップ・K・ディックの小説は、『トータル・リコール』『マイノリティ・リポート』などをはじめ、多くの大ヒット映画に生まれ変わってきた。ニコラス・ケイジ主演の『NEXT -ネクスト-』もまた、彼の短編小説「ゴールデン・マン」が原作。現代のハリウッドを代表する実力派のニコラスは、2分先が見える特殊な能力を持つ男というキャラクターにどうアプローチしたのか。彼の答えからは、細かなところにまで考察を惜しまない、本物のプロの姿勢が見えた。

■2分先が見える男の役づくり

Q:クリス・ジョンソンというキャラクターの、どこに魅力を感じましたか?

彼はこの物語の最初と最後で大きく変化する。ラスベガスの酒飲みのマジシャンが、世界を救うことになるんだよ。そのサプライズが興味深かった。意外にも、現実ってそういうものなのかもしれない。一番思いもかけない人が、誰も予想できなかったことをしでかすものかもしれないよね。

Q:彼をラスベガスのマジシャンという設定にしたのは、あなたのアイデアだったそうですね。

フィリップ・K・ディックのコンセプトから外れないまま、僕自身がこのキャラクターに何を持ち込めるだろうと考えたとき、最初に浮かんだのが、僕がこの男だったらすごく孤独だろうな、ということだった。彼は2分先の未来が見える。そんなパワーを持っていることが人に知られたら、「こいつはおれの心を読むんだろうか」と気味悪がられるだろう。その孤独さは、映画の中で表現されるべきだと思ったんだ。それで僕は、彼をB級のマジシャンにするのはどうかと考えた。それなら他人は「これもマジックの一部なんだな」と納得するはず。原作にはない設定だが、ディックもこのアイデアに賛成してくれたよ。

Q:2分先が見える男を演じる上で、ほかに意識して準備したことはありますか?

2分先が見える人という設定は、僕にとって新鮮で、エキサイティングだった。世界を見る目がまったく違うはずだからね。何かが来ると先にわかっていたら、どんな動きをするだろう? それは、もしかしたらダンスみたいな身のこなしではないかと僕は思った。それで、モダンダンスの先生にセットに来てもらってトレーニングをしたんだ。実は以前から、ダンスを演技に取り入れてみたいなと思っていたので、これはパーフェクトな機会だった。もう一つは、笑い方。誰かがジョークを発する前に彼は聞いているわけだから、ここにも工夫が必要だ。

■どうしても盛り込みたかった恋愛の側面

Q:ストーリー全体の面では、どんなアイデアを提供しましたか?

ラブストーリーの部分を膨らませた。僕が最初に脚本を読んだのは『ゴーストライダー』の撮影でオーストラリアにいたとき。それからこの映画をやるまでの間に『ワールド・トレード・センター』の撮影に入ったんだが、その合間に脚本は大きく変わってしまった。リー・タマホリ監督は正直に僕に「ラブストーリーには興味がない。アクションとドラマ的要素を中心にしたいんだ」と言ったが、僕はラブストーリーの要素を脚本の中に戻したくてね。それで僕らは2人共が満足できる方法を見つけなければいけなかった。安心だったのは、リーはベタベタの恋愛描写は絶対やらないとわかっていたこと。それに彼が、いつもそうやって俳優の意見に積極的に耳を傾けてくれる人だったこと。それは、彼に自信があるからなんだ。

Q:あなたの恋のお相手を演じるのはジェシカ・ビールです。あなたもこのキャスティングの決定には大きくかかわっているはずですよね? なぜ彼女を選んだのでしょうか?

彼女が部屋に入ってきたときからいい予感がした。僕と彼女というのはユニークな組み合わせなんじゃないかとも思ったしね。どう見ても付き合うタイプには見えない2人がいると、そこに緊張感が生まれる。彼女のように美しい人が、クリスのような引きこもった男と交際するはずがない。でも、そこにロマンチックな意味での面白さが出てくるんだ。

Q:彼女は今、スカーレット・ヨハンソンやジェシカ・アルバと並んで、最もセクシーな女性の一人に挙げられています。なぜ彼女がそう言われるのだと思いますか?

彼女は見た目も美しいが、性格がとても良く、地に足がついていて、ユーモアのセンスもある。演技の才能も豊かだ。そういうことがすべて加味されて、人は彼女に魅力を感じるんだと思うよ。

■もしも自分自身の将来が見えたら

Q:あなた自身の将来が見えたらいいなと思いますか?

どれがいい映画になる脚本なのかがわかる能力があるといいね(笑)。それはさておき、わかるとしたら悪いことを知りたいな。先に何か行動を取れるかもしれないだろ? でもいいニュースが先にわかってしまったら、喜びがなくなる。悪いニュースを知りながら生きて行くのは、それはそれで強さが必要だと思うけど。あと、そんな力があったとしたら、他人を救うことに使いたいね。

Q:この映画ではあなたの奥さまが韓国人の観光客役でカメオ出演していますが、将来、彼女はもっと映画に出たいと言っていますか?

いや、彼女は女優になるつもりなどさらさらないよ。あのシーンは、2人でいい思い出を作ってみるのもいいと思ったからやっただけ。将来息子が見て楽しんでくれるだろうとも思ったし。それ以上の意味はないよ。彼女もエンジョイしたようだし、僕ら2人にとっていい1日だった。

Q:将来、あなたが共演してみたいと思っている俳優や監督はいますか?

一番一緒に仕事をしてみたかった人たちの多くは、もう死んでしまっている。フェリーニ、キューブリック、ディズニー、ブランドなど。彼らは文字通り人々の考え方を変えた偉大な人々だ。でも、今回ピーター・フォークに出てもらったのは、僕が彼と共演してみたかったからという理由にほかならないんだよ。僕は子どものころ、コロンボの大ファンでね。だからプロデューサーの立場を利用して、彼をキャスティングしたのさ(笑)。僕は現場で彼に山のように質問を浴びせかけた。彼は喜んで答えてくれ、思い出話もたくさんしてくれたよ。彼は知識の泉なんだ。おかげで、僕にとってはすごくスペシャルな体験になったよ。

「いつか実写で『鉄腕アトム』を映画化したい」と言っていたニコラス・ケイジ。今もその希望は持っているようで、実現したらアトムのパパを演じたいそうだ。常に楽しいことを探し新たな挑戦をし続けているニコラスは、俳優としてだけでなく製作者としてもその才能を大いに発揮している。この先どんなユニークな作品を作り出すのか、彼の今後の活躍に注目してほしい。

(C) 2007 REVOLUTION STUDIOS DISTRIBUTION COMPANY, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

『NEXT -ネクスト-』は4月26日より丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にて全国公開

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク
  1. 記事
  2. 2008年
  3. 4月
  4. 24日
  5. 『NEXT -ネクスト-』ニコラス・ケイジ 単独インタビュー