シネマトゥデイ

松田翔太&成海璃子
『イキガミ』
余命24時間と宣告されたら、愛が感じられる場所で過ごしたい
『イキガミ』松田翔太&成海璃子 単独インタビュー

取材・文:内田涼 写真:田中紀子

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2005年の連載開始以来、その衝撃的な設定と心震わすストーリーで熱狂的なファンを生み出している人気コミックを映画化した『イキガミ』。国家を繁栄させようとする“国家繁栄維持法”によって、千人に一人の確率で若者がある日突然、死を宣告されるという架空の国を舞台に、死亡予告証(通称:イキガミ)を配達する国家公務員を演じた松田翔太と、兄にイキガミが届いてしまう目の不自由な妹を演じた成海璃子に話を聞いた。

■美化されていない怖くてリアルなストーリー

Q:非常に人気が高い原作の映画版に出演するにあたり、プレッシャーは感じましたか?

松田:いや、原作はだいぶ前に読んでいましたし、うれしい限りという感じですね。とにかく自分がやれることをやりたいと思いました。漫画の世界とはまた違った新しいことが映画版でできればと思います。

成海:お話をいただいてから、原作を読みました。ありえないような話ですけど、何かリアルだと感じました。「悲しい、悲しい」って美化してしまうのではなく、怖い部分を隠していないですよね。そういった自分が感じ取ったことを演技で伝えたいと思いました。

Q:松田さんはイキガミ配達人・藤本賢吾としてどのような役作りをされたのですか?

松田:外見のことからいうと、服装と髪型ですね。より普通に見えるように心掛けたり、瀧本智行監督の指示で少しうつむき加減に歩くようにしたりしました。表面的な部分はそれで完成したと思います。

Q:成海さんは目の不自由な少女・さくらを演じられましたが、何か参考にしたことはありますか?

成海:盲学校に行って、生徒さんたちと話をさせてもらったり、点字を打つシーンがあったりしたのでその練習もしましたね。それに日常的に皆さんがどういう動きをされているのかを見させていただきました。

■イキガミ配達人を演じる原動力は、ずばりストレス!

Q:藤本は主人公でありながら、イキガミを受け取った若者たちを一歩引いたポジションで見つめる傍観者的な存在です。そして、その内面では自分の仕事に対して葛藤(かっとう)を覚えていますね。

松田:最初はバランスを取るのが難しく、キャラクターとしてどこかスッキリしない部分がありました。でも、藤本のストレスというものが、普段自分たちが抱えているものとまったく変わらないと気付いたんです。

Q:具体的にはどういうことですか?

松田:世の中にはいわゆる正しいとされることがあって、それに合わせてしまうところがあると思うんですが、「本当にそうなのか、本当はこうなんじゃないか」って自分の気持ちとの摩擦を感じることもありますよね。それはイキガミ制度に疑問を抱く藤本と同じだと思うんです。そういった言葉や感情では表現しきれないストレスをため込んで、藤本を演じました。

Q:演じる上で、ストレスや葛藤(かっとう)が大切だったと?

松田:撮影中もそのストレスを紛らわせることはしたくなかったんです。逆に気分が悪いくらいにため込みました。彼には根本的な国家に対する不満や、イキガミを受け取った人たちを本当は助けたい気持ちがあるので、演じながら自分的にも苦しかったですけど……。でも葛藤(かっとう)というものは自分の中で絶やさずに持っていた方が、また新しい何かを生み出せると思います。

Q:さくらを演じた成海さんは、イキガミを受け取った兄(山田孝之)との関係性についてどう思いますか?

成海:さくらとお兄ちゃんは、ずっと二人だったので、本当にお兄ちゃんしかいないんです。撮影に参加した日数は多くなかったので、そこで気持ちを高ぶらせるのは難しさもありましたが、それはきっと現場で生まれてくるものだと思いました。瀧本監督からも「とにかくうそなく、素直に演じてほしい」と言われました。

Q:山田さんとの共演で印象に残っていることを教えてください。

成海:やっぱりお兄ちゃんと桜並木道を歩くシーンですね。

■何のために生きているのか改めて考え直す映画

Q:イキガミを受け取った者は24時間以内に死んでしまう。そんな設定の『イキガミ』に出演する上で、当然ご自身でも「じゃあ余命24時間だったらどうするか?」と考えたと思うんですが……。

松田:だからこそ「どう生きるか、後悔のないように生きたい」って気持ちに気付けるんだと思います。観る人にとってもそんなことを考えるきっかけになればいいと思います。仮に24時間しかないとなると……今の自分の夢を実現させるには短過ぎるので、とにかく愛が感じられる場所でリラックスして過ごしたいですね。

成海:やっぱり人間、いつ死ぬかわからないじゃないですか。それにイキガミによる死亡、みたいに決められた死に方は良くないと思うので、自分の人生を自分で決めることができればと思います。

Q:最後に公開を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。

成海:自分が死んだら、何を失うのか、そして何を残すのか。死ぬってどういうことなんだろうと改めて考えていただければと思います。

松田:僕らが生きる世界と似たような世界。さてイキガミをもらったら自分ならどうするか? そして一体何のために生きているのか? 映画の中でぜひ考えてほしいですね。

命の尊さは当然のこと、人間の命を国家繁栄の道具として扱う政策を妄信する国民の姿を鋭く描いた『イキガミ』は、確かに手軽な娯楽作品ではないかもしれない。実際、作品のテーマについて語る松田、成海の一言一言は重く、言葉を選びながらのインタビューとなった。もちろんそれは二人が作品の投げかけるメッセージを真摯(しんし)に受け止めた結果だ。劇場に足を向ける際は、ぜひ二人が語ってくれた「何のために生きるのか?」という命題と真正面から向かい合ってほしい。映画版『イキガミ』は原作以上にリアリティーを追求した社会派エンターテインメント作品である。

『イキガミ』は9月27日より全国東宝系にて全国公開

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