シネマトゥデイ

徳井義実
『天国はまだ遠く』
死ぬときは最悪ヨメの手を握って死にたい
『天国はまだ遠く』徳井義実 単独インタビュー

取材・文: 平野敦子 写真:田中紀子

増加する自殺者やうつ病患者急増などの問題が取りざたされる中、都会の生活に疲れた女性の癒しの日々を描いた『天国はまだ遠く』。本作で山奥の民宿をたった一人で切り盛りする青年を演じた徳井義実。普段はお笑いコンビ・チュートリアルとして活躍する彼が、自身が癒される究極の瞬間やそば打ちへの野望、そして最期の瞬間に対する彼なりのこだわりなどについても話してくれた。

■白ご飯が炊きあがった瞬間に癒される

Q:この作品は癒しの映画でもあるのですが、ご自身は何をしているときが一番癒されますか?

白ご飯が炊飯器で炊きあがったときですね。この間新しい炊飯器を買ったんですよ。“踊り炊き”という炊き方がある炊飯器なんですけど。炊いているときに米がね、中で踊るんですよ。踊り炊きで炊き上げた白飯が、ぱかっとふたが開いて、湯気がもわーっと出たときに「あぁ~、こらええなぁ……」と。

Q:徳井さん演じる田村は一人で自給自足の生活をしているわけですが、実際にそれを体験してみていかがでしたか?

どうなんやろ……、飽きるやろうという気はすごくしますね(笑)。1年のうちに2か月ぐらいやったら何とか。あとは都会で暮らして、2か月はこんな感じっていうんやったらいけると思いますが、まぁ、きっと飽きるでしょうねぇ。

Q:ご自分は孤独を愛するタイプですか?

僕は一人でも平気ですよ。寂しがりではないですね。

■パーティーでのそば打ち計画

Q:今回のロケ地は徳井さんの出身地の京都府が舞台でしたが、愛着はありましたか?

これは京都の北部が舞台なんですが、京都も南部と北部では全然違うし、距離もだいぶあるんでね。ただ、この天橋立とかその辺の海には、結構子どものときから家族で夏に民宿に泊まりに来てたんで、そういう意味では懐かしいですね。

Q:映画の中ではそば打ちもされていましたが、実際にそば打ちをされますか?

それがねぇ、一回そば打ちを覚えたんですよね。それをキープして、そば打ちを趣味の一つとしてね、パーティーとかにお呼ばれしたときに「オレ、そば打ちます!」とか言うてそばを打とうと思ったんですよ。これは喜ばれる、とか思ってたんですけど、もうほとんど忘れましたね(笑)。そば打ちのDVDをもらったんですよ。きっとそれを観たら思い出すとは思うんですけど。

Q:作業着姿も、結構さまになっていましたね。

コレですか(と映画のポスターを指差す)? いや、もう何かね、自分は顔が濃いというかバタ臭いし、基本的にニヤケ顔やし、あんまりこうガテン系の男らしい顔じゃないんですよ。自分ではあまり作業服は似合ってないと思うんですけどね……。

Q:この映画では主人公の千鶴をはじめ、みんなが少しずつ元気になっていくんですが、ご自分が元気になるための秘けつは何かありますか?

連れと遊ぶというか、連れと飯食う感じですかね。近所に高校の同級生が2人おるんですよ、男と女と。それで3人でたまに飯を食いに行くんですけど、その連中と会うと元気になりますね。

■ヨメの手を握って死にたい!

Q:この映画は死についても深く考えさせられますが、徳井さんは死について考えることはありますか?

最近ホンマすごくね、「あぁ、死ぬなぁ……」と思うんですよね。その死ぬというのは、死ぬということがすごくリアルにくっきりと見えてきたというか。死に方とかね。最期はどう死ぬんやろうとかすごく考えます。

Q:徳井さんにとって理想の死に方とは?

やっぱり子どもはどうかわからないですが、最悪ヨメの手を握って死にたいですね。この間も芸人で独身ばかりが集まって、後輩とかとしゃべっていて、「芸人なんかこんな性格で結婚なんかでけへんのちゃうか?」言って。そうなったら一人っきりでね、オムツつけてね、だんだん力もなくなってきたらオムツ替える元気もないし。もう3日前からのしょんべんがずっとオムツの中にたまっていて、臭いなぁ……と思いながらも、臭いけどオムツ替える元気もないしなぁ……と思って、あぁ、これはもうたまらん、臭いわぁ……と思いながら死ぬのは嫌やなぁって言って(笑)。めっちゃブルーになってたんですけど。オムツ臭いまま死ぬのは嫌やっていう。

Q:では、まずはお嫁さんを見つけるのが先決ですね?

まぁねぇ~、うん。一人で死ぬのは嫌ですねぇ……。

Q:この2人はプラトニックな関係なんですが、それについてはどう思われますか?

(しばらく真剣に言葉を探す様子)……まぁ、いいんじゃないんですか、はい。

Q:この映画を通して観客の方に伝えたいことがあればお願いします。

結構ホンマに最近死にたいとかっていう人がすごく多くて。僕の周りも何かやたら多いんですけど、僕は死のうと思ったことが一回もないんでその気持ちはちょっとわからないんですけどね。何か結局そういうのって自然が癒してくれるというか。自然ってすごくシンプルなものじゃないですか? だから頭がこんがらがったときこそ考え方をすごくシンプルにしたらどうなんやろう……みたいなことがこの映画には入っているような気が僕個人的にはするので。軽~く疲れた……みたいなときに観てもらいたいというか。結構みんな軽~く疲れていると思うんで、そういう人に観てほしいです!

一人でいても全然平気と答えながらも、死ぬときにはヨメの手を握って死にたいと真剣な顔で訴える徳井の相反する答えもとても人間くさくて好ましい。白いご飯の炊けた音に幸福を感じ、死を身近に感じながら生きる彼の姿は、この作品の中で、山深い里で自給自足の生活を送る田村の世界ともつながっているように思える。そんなに急がなくてもいいんだよ、少しは休んでもいいんだよ……とそっとささやいてくれる優しい本作を、ぜひとも日々の生活に疲れた老若男女に楽しんでもらいたい。

ヘアメイク:伊藤元
スタイリスト:三浦知花
衣装協力:カーディガン、Tシャツ、パンツ(ダヴィットモルソー)

『天国はまだ遠く』はシネセゾン渋谷ほかにて全国公開中

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