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浅野忠信、北村一輝、ユースケ・サンタマリア
『鈍獣』
まるで男子校みたいな感じだった
『鈍獣』浅野忠信、北村一輝、ユースケ・サンタマリア 単独インタビュー

取材・文:斉藤由紀子 写真:秋山泰彦

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宮藤官九郎が脚本を手掛け、岸田國士戯曲賞を受賞作した舞台劇「鈍獣」が、映像クリエーターの細野ひで晃監督の手によって新感覚の映画に生まれ変わった。何度殺されても死なない鈍感過ぎる小説家の凸やん(でこやん)を演じたのは、ユーモラスな演技で新境地を切り開いた浅野忠信。そして、凸やん(でこやん)に過去の秘密を暴露されたことから殺害を企てる幼なじみたちを、北村一輝とユースケ・サンタマリアが熱演している。そんなシュールで摩訶不思議な世界観を持つ『鈍獣』について、3人がユーモアたっぷりに語ってくれた。

■細野監督はじゃじゃ馬ならし!?

Q:伝説といわれた舞台劇の映画化作品ですが、プレッシャーはありませんでしたか?

北村:舞台版はDVDで拝見しましたが、インパクトが強烈でしたね。自分が映画で演じるときに、舞台のイメージが残ってしまうと良くないと思ったんです。それくらい印象が強くて、まさに伝説として残る舞台だと思いましたね。

ユースケ:でも、決して北村さんは、窓からパーンとDVDを投げ捨てたりはしていませんからね(笑)!

浅野:僕も舞台を観ていなかったので、特に気にせず映画に取り組めました。

Q:3人ともかなり個性的なキャラクターでしたが、演じる上で一番こだわった部分は?

浅野:こだわりってわけじゃないですけど、なるべく細野監督の考えを理解しようと思っていました。監督は僕と同じ1973年生まれなので、感覚が近いような気がしたんですよね。現場でも、監督の思いに共感しながら演技に取り組みました。

北村:僕が演じたホストの役は、喜怒哀楽がはっきりしていて、3人の中で一番人間らしいキャラクターだったと思います。だから、感情表現がオーバー過ぎたり、物足りなかったりしないように、監督から指示をもらって演じました。

ユースケ:北村さんと浅野くんは、監督とじっくり話し合っていましたけど、僕には特に注文がなかったので、思うがままに楽しくやらせてもらいました。監督は大変だったと思うんですよ。暴れ馬みたいな、狂犬と呼ばれている二人を演出したわけですから(笑)。きっと、出演者一人一人に対して、それぞれに合った演出方法を考えていたんでしょうね。

■まるで男子校のような楽しい撮影現場

Q:激しい化学反応が起きそうな組み合わせの3人だけに、現場もかなり刺激的だったのでは?

ユースケ:刺激的でしたよ! 北村さんとは一度ドラマで共演して、またご一緒したかったのにプッツリ話がこなくて(笑)。浅野くんともぜひ共演したいと思っていたのに、今までずーっと話がなくてね。でも今回の映画で、二人と一番いい形で出会えたって思います。コンビネーションもバッチリでしたね。楽しい現場はいろいろあるけど、その中でもトップ3に入る作品でした!

浅野:本当に面白かったです。僕は鈍感なキャラだったので、ユースケさんと北村さんに甘えながら好き勝手にやって、それをいい形で返してもらいました。休憩時間も3人で話していると、何だか男子校みたいな感じがしましたね。ここでは言えないような話ばかりしていましたけど(笑)。

Q:どんなお話をされていたんですか? 言える範囲でお願いします(笑)。

北村:本当にここでは言えない話が多くて。フリスケが、じゃなくてユースケが……。

ユースケ:北村さんが僕のことを、撮影の途中からフリスケって呼び出したんですよ!

北村:だって、フリスクばっかり食べてるから(笑)。

ユースケ:そうそう、そこからフリスクとユースケでフリスケってなったんですけどね。

北村:そんなつまらないことで盛り上がったくらい、みんな疲れていたんじゃないかな?

浅野・ユースケ:爆笑

北村:でも、本当にハードな現場でしたが、それを感じさせないくらい楽しめました。

■ユースケが挑んだ衝撃的なシーンとは?

Q:ユースケさんふんする警官が、失踪した凸やん(でこやん)を探しにきた女編集者(真木よう子)の胸をつかむシーンが衝撃的でしたが……。

ユースケ:みんなにうらやましがられるんですけどね、実際は大変でしたよ! 台本に「突然もみしだく」って書いてあったので、どれくらいのタッチでいったらいいのか? とか、よう子ちゃんがイヤじゃないか? とか、いろいろ考えちゃって。でも、よう子ちゃんは「仕事なんでどうぞ!」みたいな感じで堂々としていて、僕のほうが気を遣って……疲れちゃいました。

浅野:それでお腹をこわしちゃったんですよね(笑)!

ユースケ:いや、それは関係ないから! そのシーンのせいじゃなくて、たまたま冷たいものを食べ過ぎて腹をこわしていただけだから!

一同:爆笑!

浅野:ユースケさんが、ことあるごとに真木さんの話を僕にしてくるから、それでお腹をこわしちゃったのかって思っていました。

ユースケ:よう子ちゃんとは初共演だったんですけど、おしゃべりなタイプじゃないんですよ。しかも、胸のシーンもあったりしたので、嫌われちゃったかな? とか思って。だから浅野くんに、彼女と話したことある? とか聞いていたんですよ。最終的には仲良くなれて良かったですけどね。とにかく、つめをきれいに切って3日前から絶食して、身を清めてから撮影に挑みました(笑)。

Q:3人の少年時代を再現する場面も印象的でしたが、実際の皆さんはどんなタイプの少年だったんですか?

ユースケ:僕は今よりもミステリアスでモテモテだったんですよ! 学校に遅刻して授業中は寝ていても、先生から質問されるとボソっと面白いことを言ったりしてね。謎めいていながら、皆を盛り上げるというか……。バレンタインデーもチョコをいっぱいもらったし、あのときが一番モテました! 今とはまったくキャラが違いましたね。

浅野:僕はニコニコしている子どもでしたね。「何を笑ってんだ?」っていつも言われていましたから。

ユースケ:浅野くんは、現場でもいつもニコニコしているよね。世間的な浅野くんのイメージは、それこそミステリアスな感じなんだけど、実際はずーっとニコニコしているんですよ。

Q:北村さんもミステリアスなイメージですけど、普段はどんな感じなんですか?

北村:普通ですよ。変な役とか怖い役が多いから、ミステリアスだと思われがちですけど、全然普通です(笑)。

■『鈍獣』は日本の『スタンド・バイ・ミー』?

Q:コメディー、サスペンス、ファンタジーなど、いろんな要素が感じられる作品ですが、皆さんはどのようにとらえていますか?

ユースケ:コメディーだとは思いますが、その辺にはないコメディーですね。すごく不思議な映画になったと思うので満足しています!

浅野:僕はコメディーだと思ったことはないですね。青春映画というか、青春を謳歌(おうか)できなかった大人たちの物語というか……。

Q:観る人によってとらえ方が違うのかもしれませんね。

浅野:そうかもしれません。それぞれが観るポイントで、イメージが変わる作品ですね。

北村:僕もコメディーだとは思っていません。もともとの脚本はコメディーっぽかったんですが、演じた僕としては『スタンド・バイ・ミー』のような感覚ですね。外の世界を知らない子どもたちが、狭い町の中で暮らしながらいろんなことに気付いていくという。笑いの要素もありますが、最終的な仕上がりはファンタジーなのかなって思います。

ユースケ:いろんな見方ができる、本当に不思議な映画ですよね。

Q:では、これから映画を観る方にメッセージをお願いします。

ユースケ:とんでもない映画ができてしまいました! 観ないと大変なことになりますよ!

浅野:本当にいろんな見方ができる映画だと思うので、劇場で楽しんでもらえたらうれしいです。

北村:新しいジャンルとでもいうべき面白い映画になりました。ぜひ劇場で観ていただけたらと思います。

トークが盛り上がり過ぎて困ってしまうほど、息がピッタリと合った3人。マイペースな浅野、しっかり者の北村、ひょうきんなユースケと、キャラクターのバランスも映画とバッチリ重なり、まるで本当の幼なじみのようだ。そんな彼らが思う存分楽しみながら作り上げた『鈍獣』には、人間の本質をえぐるブラックなユーモアと、郷愁を誘うノスタルジックな切なさがたっぷり詰まっている。3人の個性がスクリーンで起こした爆発的な化学反応は、舞台と同様に映画界の伝説となること確実だ。

映画『鈍獣』は5月16日よりシネクイントほかにて全国公開

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