シネマトゥデイ

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高岡早紀
『The Harimaya Bridge はりまや橋』
人の心の温かさは、母と子の関係から生まれている
『The Harimaya Bridge はりまや橋』高岡早紀 単独インタビュー

取材・文:シネマトゥデイ 写真:秋山泰彦

高知県を舞台に、さまざまな人間模様を描いた日本、アメリカ、韓国合作映画『The Harimaya Bridge はりまや橋』。本作でエグゼクティブプロデューサーを務め、映画『リーサル・ウェポン』シリーズなどで知られる名優ダニー・グローヴァーに抜てきされ、大役を果たした女優、高岡早紀。自身の育児経験を生かし、迫真の演技を見せた彼女に、本作や現場でのコミュニケーションなどについて話を聞いた。

■ダニーにほれられた!?

Q:高岡さんの日本的な清らかさと、はかなげな雰囲気を気に入られて抜てきされたそうですね。

以前わたしが出演した作品で、今回と同じように英語のせりふがあった映画『KYOKO』をアーロン・ウールフォーク監督が観てくださったそうなんです。『KYOKO』も『The Harimaya Bridge はりまや橋』と同じでアフリカ系アメリカンの俳優さんとのシーンが多い作品だったので、そういう部分でもオファーしやすかったみたいです。

Q:熱烈なラブコールだったとか。

『KYOKO』はもう昔の映画なので今のわたしとは全然違うんですけど(笑)、それを観て好意を持ってくださったことは、すごくうれしかったですね!

Q:実際にダニーさんに接してみて、いかがでしたか?

共演したところはワンシーンしかなくて、お芝居以外の普段のときしか見ていないんですが、(ダニーさんは)とても気さくでユニークな方です。バーベキューをやったんですけど、野菜とかお肉とか置きっぱなしでどんどん焦げていくんですよ。心配してわたしが一生懸命焦げた野菜をどけると、ダニーさんは「それがおいしいんだよ」と言って、焦げたものを食べるんです。「それはあまり体に良くないんじゃ……」って返すと、「大丈夫!」って(笑)。ああ、焦げたものを食べるんだと思って……面白かったですね。お米のお焦げはおいしいですけど、玉ネギが焦げちゃったらただの炭ですし……そういう方でした(笑)。

Q:コラボ第2弾の予定は?

連絡先を教えていただいたので、機会があったら連絡させていただきたいと思っています。

■英語のせりふと格闘、アーロン監督とはバトル!?

Q:せりふの約8割が英語でしたが、苦労されましたか。

英語のせりふで本格的に演技をするのは初めてで、まず感覚がどういうものなのか全然わからなかったですね。普段、外国の方と英語で日常会話をするのとは、まったく違うんですよ。日本語的に考えて演技をしていくと、英語のせりふと合わなくなるんです。でも、英語っぽい感覚で演技をしていくと今度は、心情的に違和感を覚えてしまいます。純日本人の役なので日本的な感覚を持って英語を使わないと、日本人としておかしくなっちゃうんです。とても苦労しました。

Q:アーロン監督からはどんな指示がありましたか。

アーロン監督は英語的な表現方法でいいとおっしゃいましたが、わたしは日本人なので、その辺の心の葛藤(かっとう)がすごくありました。外国の監督との作品は初めてで、感覚だけでなく考え方の違いにも、ときどき苦労しましたね。監督には、日本人女性はこうあるべきだというイメージがあって、そのイメージとのすり合わせが苦労しましたね。

Q:監督と掛け合った収穫は?

結局、いい意味での中途半端さというか日本人が英語をしゃべっているもどかしさが出せたみたいで、とても良かったと思っています。

■最愛の人が亡くなった後にその人の子を産めるワケ

Q:最愛のパートナーの死後に、その人の子どもを生むシングルマザー・紀子が自分だったら?

わたしも、彼が亡くなった後の人生も、その人のDNAを持った子どもがいるなら強く生きていけるんじゃないかって思いますね。

Q:母親は皆そうなんでしょうか?

わたしも、かけがえのない存在って何だかわからなかったんですが、子どもを持ったときに、初めてこういうことなんだって理解したんです(現在2児の母親)。自分の体内の中で人間を作って、それが出てくるんですよ! それは、ほかのことでは絶対得られない感覚だと思うんです。

Q:本作を通じ改めて母親として考えたことは?

わたし自身の子どもに対する思いが間違っていないって気持ちが、さらに呼び起こされた感じです。どんなことがあっても、自分の子どもは自分で守っていくしかないので、何があっても周りにどんなことが起こっても、母と子の関係は変わりません。そういう意味では人の心の温かさとかそういうものは、まずここから生まれているんだって思います。

■国境を越えた仕事へのチャレンジ

Q:外国人のスタッフ、キャストとの仕事、サンフランシスコでのロケを終え、海外公開を控えた心境は?

せりふが英語で雰囲気が違うと思うので、自分の演技が受け入れられてもらえるか、今回の役を皆さんにどう見てもらえるのか、どう感じてもらえるのか……今までやってきた作品とはちょっと違うので、不安がありますね。

Q:昨年、カンヌで製作発表をしただけに、カンヌ国際映画祭で賞を取りたい思いはありますか?

そんなことがあったらすごくうれしいです(笑)! でも賞は後からついてくるものなので、この仕事がやりたいとか、こんなことがしたいという気持ちは持ち続けていても、賞がどうっていうのはわたしには別のモノという気がします。

Q:本作に出演して、海外作品への出演欲は強まりましたか?

欲求は高まりつつ、ハードルは高いってすごく感じました。第一言語でない言葉で演技をするのは、まだまだ初心者なので、いやー、大変な作業だと。でも、今回一緒に仕事をしたアーロン監督をはじめ、外国の方々とは心に橋がかかったというかつながった感じがして、それはとてもうれしいことです。

Q:国境を越えた恋愛をどう感じますか?

あまりそういう風には考えたことがないというか、みんな同じ人間で人としてどうかが一番大切だって思います。国境を越えていい人がいたら、すごくすてきなことだなって。その分どんどん世界が広がるし、国境を越えれば越えるほど、そういう人たちが周りにいればいるほど、どんどん広がっていくばかりで、すごくすてきだと思いますね。

プレッシャーは「感じたことがない、プレッシャーって何?」と不思議そうに話し、気負いも野心も持ち合わせていない様に見えた高岡。彼女はダニーが見初めるのも納得の、あどけなさを残しつつも色っぽい表情を浮かべ、フワッと柔らかく温かい空気感を持っていた。劇中の紀子が母親の深い愛を持つ故にひたむきに生きる姿は、高岡の素顔とシンクロしているようだ。彼女のさらなる活躍に、今後も期待したい。

ヘア&メイクアップ 矢野真一(GOKO)
スタイリスト えなみ眞理子
ワンピース・コート アンテプリマ

映画『The Harimaya Bridge はりまや橋』は6月13日より新宿バルト9ほかにて全国公開

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