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ラジカル鈴木のネットをにぎわすあの人!~シネマトゥデイ検索ランキングより~  第15回 深津絵里

モントリオール世界映画祭・最優秀女優賞!

 売れっ子女優の“ふかっちゃん”こと深津絵里が、モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞するというニュースが飛び込んできて、受賞作品の映画『悪人』がただ今大ヒット中! そして、シネマトゥデイでもふかっちゃんが、9月の検索ランキングで3位に。本映画祭の日本人女優の受賞は27年前の『天城越え』(1983年)の田中裕子以来なんだって。

 先日『悪人』を観てきました。水曜日のレディース・デイだったので、お客さんは女性ばっかりで、ほぼ満席状態。僕のいつもの映画鑑賞法にのっとって、事前の予備知識はモントリオールだけ、ほかはゼロ。誰が作ったどんな内容なのか、観るまで知らずに。いつでも、なるべく頭と心を真っさらな状態にして、驚きながら映画を鑑賞したいんです。

 冒頭からグイグイと引き込まれ……いや~、切ない! かなしい! そして恐ろしくも美しい作品でした。で、あの純なイメージのふかっちゃんが……。後から知りましたけど、この体当たりの演技が評判になっていただけのことはあります。しかし、あまりにもリアル! 女性客に左右の座席を挟まれていたけど、赤面して体が硬直しちゃいました~。

 普段から色気を振りまいているような女優の濡れ場とは、興奮度が違います。お嫁さんにしたいような清純派のイメージに加え、男っ気のない彼女だからこそ、抑圧されたリビドーが爆発したときのボルテージも断然高いんです。

 ちなみに『悪人』でふかっちゃんが演じた光代のキャスティングは、李相日監督の熱烈なオファーで実現したそう。その理由は「一般的に明るくて華やかな女性だからこそ、深津さんが持つみたいなものを見てみたかった」んだとか。あの李監督までもとりこにしてしまう、彼女の魅力とは?

深津絵里

ウイークポイント=チャームポイント? シネマトゥデイ 人物アクセスランキング 2010年9月

 実は僕、某イラストレーターの大先輩というか大御所の展覧会のオープニングパーティーで、ふかっちゃんと対面しているんです。一瞬なんでもちろん彼女は覚えていないでしょうけど、僕が振り向いたら偶然に顔が、ほんの30センチくらいのものすごい至近距離にあってビックリ。当然ひと目で深津絵里だ! と判りました。意外なほど小さくて白くて、小動物のような印象で、かわいいんです。親近感もあって、守ってあげたいなあっていう感情がわくような、不思議な存在でした。そこが男性にモテるポイントなんでしょうね。

 そんなふかっちゃんですが、髪形を変えることはあっても、髪を染めたことがないんだそうで。ずっと黒髪なのも、うまくイメージを構築しています。「わたしのまゆの形と瞳の色には黒い髪が合うので、染めようと思ったことは一度もない」んだとか。自分をよくわかっていらっしゃる

 デビューから変わらずナチュラル志向で、それをごまかすような化粧や整形やらエステを施していない。普通ならマイナスになりかねないのに、そんな飾らない姿が好感度の高い理由なんですよね。ウイークポイントがチャームポイントに。

深津絵里

秘められた女優魂

 『悪人』の舞台は九州ですが、実際彼女も九州の大分出身。母親は書道家の深津諭美子さんで、芸術には大いに理解があり、娘の芸能活動には援助を惜しまなかったそう。最初はアイドル歌手として活躍していましたが、方向転換して、1988年の『1999年の夏休み』でスクリーンデビュー。周囲にその才能を認められます。

 そして1996年に初主演で森田芳光監督の『(ハル)』が公開。これは僕が宣伝ビジュアルを担当した『OL忠臣蔵 Chu~Shin Gura』と同じ制作会社で、公開時期も近かったので特に印象に残っています。まだネットが話題になり始めたばかりのころで、観ていると当時を思い出します。

 僕は、テレビドラマはあんまり詳しくありませんけど、テレビでも演劇の舞台でも活躍し、確実にキャリアを重ねていったようです。『阿修羅のごとく』(2003年)では、酔っているシーンを撮影する際、実際にお酒を顔が赤くなるまで飲んで撮るという、プロ根性を見せたそう。

 また似たようなエピソードでは、クレジットカードのCMの撮影の<激辛のトムヤンクンを食べる編>で、スタッフはふかっちゃんに空の皿を使って食べている演技をしてもらうつもりだったけど、「それではリアルさが伝わらないのでは?」と自分で提案して、辛さ20倍のスープを涙ながらに飲みながら演技したらしい。一つ一つの仕事に手を抜かないのは、すでにこのころから定評があったようです。

 2007年に公開の映画『西遊記』(2007年)とテレビドラマ「西遊記」(2006年)では、かつての三蔵法師役・夏目雅子の後を継ぐかのように、りりしくもちょっと色っぽい三蔵法師にふんしました。このとき共演した三谷幸喜は、「ギラギラとした野心を感じないのがイイ」とふかっちゃんを気に入って、自分の監督作品『ザ・マジックアワー』に出演依頼したそう。結果、イメージを覆す素晴らしい歌と踊りを披露してくれました。

 一見謎に包まれていますが、実はあっぱれな女優魂を持つふかっちゃん。そんなギャップもまた魅力なんでしょうな。


演技を極めた、これからのふかっちゃん

 そして、今のところキャリアの頂点ともいえそうな素晴らしい作品をスタッフ&キャストと共に作り上げた『悪人』濡れ場だけじゃなくて、全編すごくレベルの高い繊細なお芝居をしているんですね。抑圧された主人公が、驚き、混乱し、悲しみ、歓喜し、極限状態を経て、本来の自分の姿へと解放されていくさまが、リアルに演じられていました。

 ふかっちゃんと妻夫木聡ふんする数奇な運命の二人は、取り巻いていた世の中のあらゆるものから逃げる。しかし、そんな逃避行もいつか必ず終わりは来るもの。だからこそ一瞬一瞬を燃えるように生きて、激しく相手を求め合うんでしょう。

 難しい役だったけど本当にうまい、見事でした!! 本作を機に再びハートをつかまれました。来年は再び三谷幸喜監督の『ステキな金縛り』が控えているらしく、また違う演技が見られますね、ますます楽しみです! そのまま自然なイイ年の取り方をしてね~! ではまた次回!

ラジカル鈴木プロフィール イラストレーター・アーティスト。人物、女性をモチーフにしたポップ&キュートな作風を得意とし、各種媒体へイラスト提供。代表作は、読売新聞社・国立科学博物館主催の「大顔展」の宣伝ビジュアル。現在は雑誌や新聞で映画レビューや旅行ルポ、ダイエット記などを執筆しており文筆家としても活躍。著書に「男の食いしんぼダイエット」、「ラジカル式 にんにく本」がある。 著書 「男の食いしんぼダイエット」発売中!著書 「ラジカル式 にんにく本」発売中! 男のくいしんぼダイエット ラジカル式 にんにく本 オフィシャルサイト
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