シネマトゥデイ

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菅野美穂
『ジーン・ワルツ』
女優は原作と映画を結び合わせるつなぎ目
映画『ジーン・ワルツ』菅野美穂 単独インタビュー

取材・文:シネマトゥデイ 写真:高野広美

映画『チーム・バチスタの栄光』の原作者・海堂尊のベストセラーを映画化した『ジーン・ワルツ』。現在も医師として医療の現場に携わる海堂が本作で立ち向かったのは、近年の医師不足による妊婦たらい回し事件や、不妊治療問題などで揺れる“産科医療”。少子化が進む現代の日本に問題を投げ掛ける、美しく冷静な主人公の産婦人科医・曾根崎理恵を演じた菅野美穂が、本作への出演で気付いた医療の現実、そして自身の趣味でもある海外旅行から見えた人生観を語った。

■ハートフルにアレンジされた、映画版の脚本

Q:原作、そして脚本を読まれたときの印象を聞かせてください

海堂さんは医療の現場に起こるミステリーをよく書いていらっしゃいますが、読ませていただく前は、産科のお話がどうミステリーになるんだろうと思っていたんです。実際に読んでみて、まずは今の医療の技術では、そこまでできるんだと驚きました。それから、海堂さんらしさといいますか、どんどんミステリーに引き込まれて、一気に読んでしまいました。脚本も、どうアレンジするのかなあと思っていたんですが、すごくあったかい気持ちになれるような、優しい印象の脚色で、曾根崎先生にもすごく感情移入しやすかったですし、いろいろな世代の女性の出産が描かれていたので、すごく興味深く読めました。

Q:ベストセラーの映画化となりましたが、映画の中での曾根崎先生は、原作とはちょっと違ったキャラクターになりましたね。

原作の曾根崎理恵は、自分の計画のために神経を張り巡らせて、自分の情熱を出さないようにしている、ある種恐ろしい女性だったんです。一方、映画の脚本では、彼女の葛藤(かっとう)や、心の揺らぎを膨らませて書いてあったんです。海堂先生の原作に、大谷監督の解釈が添えられて、新しい曾根崎理恵が出来上がったと思います。だからわたしは、原作と脚本のいいところを結び合わせるつなぎ目になるように演じようと思いました。

■曾根崎理恵が持つ、冷静と情熱のバランス感

Q:曾根崎先生を演じるにあたって、特に意識したところはありましたか?

内に秘めた情熱と、表面の冷静さのバランスを意識しながら演じました。ただ大谷監督は、「映画を見終わった後に、優しい気持ちになってもらえる映画にしたい」ということだったので、ただ冷静なだけでなく、女性としての優しさも意識しながら演じましたね。

Q:清川とのベッドシーンは、冷たいイメージの曾根崎先生が、女性らしい一面を見せるシーンでもありました。特に気を付けたことはありましたか?

あのシーンは、いつも冷静な曾根崎が、本能的になる瞬間だと思うし、原作でも結構ハードに書かれていたので、わたしは激しさがあった方がいいのかなあと思っていたんです。でも監督は、すごくロマンチストで、「優しい、きれいな方がいい」とおっしゃっていたので、少しおとなしくしました。

Q:相手役の田辺誠一さんとは、どんな話をされたんですか?

田辺さんは、すごく優しい方なんですけど、同時にすごくシャイな方なので、ラブシーンについては、ほとんど話し合うことがなかったんです。だから、リハーサルをして、監督と話し合って、「せーの」で撮りました(笑)。田辺さん、結構草食系なんですよ。パソコンとかに詳しくて、いろいろな話を伺いました。

■未来の夫に望むのは、感動の立ち会い出産!

Q:産科の先生を演じて、ご自身の出産に対する意識は変わりましたか?

かなり変わりました! いつか赤ちゃんを産みたいなとは思っていたんですけど、あまりにもぬるく思っていたことにハッとさせられました。周りでママになる友達も増えてきて、出産というものがすごく身近になってきていたんです。でもこの作品に出会って、自分の赤ちゃんに出会えることがどれだけ幸せなことなのかってことを強く感じました。

Q:映画には出産に立ち会う旦那さんも登場しますが、菅野さんはご自身が出産するとき、立ち会ってもらいたいですか?

旦那さんには絶対立ち会ってほしいですね。ちょうど撮影をしていた時期に、友達が出産したんです。彼女の旦那さんがずっとヤダヤダって言っていたらしいんですけど、結局立ち会ったらしくて。「死にそうなくらい苦しみながら自分の子どもを産んでくれている奥さんの姿を見てすごく感動した」って言ってくれたという話を聞いて、わたしも立ち会ってほしいって思いました。この映画でも、奥さんの出産に立ち会う旦那さんが、本当にすてきなんです! あんなふうに、一緒に感動してほしいですね。

■人生観を変えた、海外旅行の経験

Q:菅野さんといえば、プライベートでたくさんの国に旅行されていることで有名ですが、最近はどちらに行かれましたか?

昨年の春にはメキシコとキューバに行きました。キューバは、みんながとっても幸せそうで、本当におすすめです! 2週間くらい滞在していたんですけど、町が音楽にあふれていて、人もみんな親切で、素晴らしいところでした。

Q:ちなみに、キューバは何か国目なんですか?

34か国目です!

Q:人生観が変わりそうですね!

変わりましたね。日本人って何かあれば、すぐ「すみません」って言うじゃないですか。向こうは、すぐに「ありがとう」って言うんです。目が合えばニコッて笑顔を返してくれますし。外国に行くようになって、向こうのポジティブさがすごく自分の生き方を変えてくれた気がします。だから、「ごめんなさい」や「すみません」だけじゃなくて、「ありがとう」って言える人になりたいんです。

Q:海外に行くと、いろいろな国の男性に会うと思うのですが、日本の男性と比べて、いかがですか?

日本の男の人も優しいですが、外国の男性は優しいだけじゃなくて、女性を大切にして、すごく紳士なんです。

Q:それでは、すてきな男性との出会いもあったのではないでしょうか?

なんか、向こうに行くと女性としてというよりは、10代くらいの女の子に見られちゃうんですよね(笑)。かなり子ども扱いなんですよ! だから、残念ながら恋に落ちることはないんです。

Q:プライベートも仕事も、すごく充実している菅野さんですが、今年はどんな1年にしたいですか?

目標を立てるよりは、その日を楽しく過ごせればいいかなって思っています。目標を持たずに、緩く、のんびり生きていきたいですね。

つい最近、自動車の免許を取ったという菅野は、「ドライブに行きたい!」とキラキラと瞳を輝かせて語ってくれた。プライベートですでに34か国もの国を訪れている彼女の好奇心は、どこまでも無限に広がっているようだ。世界中の人々と触れ合い、独特の人生観を養っている彼女が演じるキャラクターには、人間としての深みがある。原作を読んだ読者は、原作よりも、人間らしく、女性らしく、温かい菅野版の曾根崎理恵に新たな魅力を覚えるはず。ぜひ、劇場で生命誕生の神秘を改めて感じてもらいたい。

(C) 2011「ジーン・ワルツ」製作委員会

映画『ジーン・ワルツ』は2月5日全国公開

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