シネマトゥデイ

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竹野内豊&井上真央
『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』
全力で戦い抜いた方々の魂を、日本人は絶対に忘れてはいけない
映画『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』竹野内豊&井上真央 単独インタビュー

取材・文:シネマトゥデイ 写真:尾藤能暢

太平洋戦争末期、激戦地・サイパン島で、たった47人の兵力で4万5,000人ものアメリカ軍を翻弄(ほんろう)し続け、アメリカ軍から「フォックス」と呼ばれ恐れられた実在の日本人、大場栄大尉の実話を描いた映画『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』。撮影前にサイパンを訪れ、戦地や慰霊碑を回り、主人公・大場栄にふんした竹野内豊と、ジャングルの中での過酷な撮影を、男性キャストたちと共に乗り越えた、看護師・青野役の井上真央が、作品の魅力、そして撮影の過酷さを振り返った。

■撮影をきっかけに知った、サイパンの悲惨な歴史

Q:本作の舞台は、太平洋戦争末期のサイパン島でした。今ではビーチリゾートとして有名なサイパンからはとても想像できない、悲惨さが伝わってきました。お二人はサイパンに行かれたことはありましたか?

井上:わたしは行ったことがなかったので、サイパンのイメージはきれいなビーチリゾートでした。この映画に出るまでは、こういう歴史があったことを知らなかったんです。わたしたちが何げなく訪れている観光地に、こういう悲惨な歴史があったということがすごくショックでした。

竹野内:今回、この映画のお話をいただいて、まず、実際にサイパン島に足を踏み入れたいと思い、行かせていただきました。実戦が行われていたジャングルに入ると、戦後65年以上もたっているとは思えないほど、生々しい空気感がいまだに残っていました。この映画に携わる機会がなければ、このようなサイパンの違う景色を知る機会はなかったと思います。

■タイのジャングルで行われた灼熱ロケ

Q:タイのジャングルでの撮影も行ったと伺いましたが、撮影はいかがでしたか?

竹野内:日中、体感温度が40度以上に上がるんです。そういった環境は、まず経験したことがなかったですし、40度以上の暑さの中で重い装具をつけて、銃を持って、走ったことなんてもちろんなかったですから、正直、想像を絶する過酷さでした。でもわたしたちは戦争を経験したわけではないですから、当時の方たちは、もっとつらい思いをされたんでしょうね。夢も希望もない中で、彼らがどんな思いで戦っていたのか……そんなことを考えながら、自分が実際に動いて、そこで感じることを大切にしながら、撮影に取り組んでいました。

井上:竹野内さんをはじめ、兵士役の皆さんは、毎日、猛暑の中、泥まみれになって撃ち合いをして……という感じだったので、わたしから見ていてもすごく大変そうでした。みんなが日に日に追い込まれていく表情は、すごく怖くもありました。本当に大変だったけれど、だからこそ、あそこまでの連帯感が生まれたのだと思います。ただ、会うたびにみるみるやせていく大尉(竹野内)が心配でなりませんでした。

Q:そんな過酷な撮影の中で、息抜きなどはあったのでしょうか?

井上:大尉たちの息抜きの時間って、ご飯くらいしかなかったんじゃないですか? 皆さん、食事の時間になると、山から下りてきて、皆でケータリングのご飯を食べ、また山のジャングルに帰っていくという感じでしたから。

竹野内:スタッフもキャストも、「ご飯に行こう」って言えば、だいたい誰かしら一緒に来るんですよね。ほとんど男性スタッフとご飯に行くんですけど、狭い町だから、ご飯を食べに行くところもみんな一緒で。だから、入ったレストランに井上さんがいて、一緒に食べられるってなると、男性スタッフはみんな目がキラキラしていましたね。

井上:逆ハーレムでした(笑)。

■竹野内は、ニックネームも「大尉」!

Q:井上さんは、竹野内さんを「大尉」と呼んでいるようですが、現場でも皆さんそう呼んでいたんですか?

井上:そうです! ほかのキャストの方々も、気付いたらみんな「大尉」って呼んでいましたよね。

竹野内:最初はすごく戸惑いました。いきなりみんなに「大尉! 大尉に何があってもついて行きます!」って言われて……。これはもしかして、良い意味でハッパを掛けられているのかなって思いました。

井上:みんな呼んでいましたからね。

竹野内:あ、でも唐沢(寿明)さんだけは、「タケちゃん」って呼んでいました。

Q:唐沢さんは、以前竹野内さんと共演されたドラマ「不毛地帯」とはまったく違うイメージでしたね!

竹野内:この映画の髪形じゃ、「不毛地帯」の壹岐さんには絶対になれないですよね!

井上:すごくきれいなスキンヘッドでしたよね。しかも頭の形がきれいなので、似合うんです! 初めて見たとき、見とれてしまいました。

Q:「タケちゃん」というニックネームからは、和気あいあいとした雰囲気が伝わってきますが、現場でも唐沢さんとは楽しく過ごされていたんですか?

竹野内:びっくりするのは、「不毛地帯」の撮影のとき、唐沢さんは現場で全然話していなかったことです。今回は、テンションが高く、たくさん話をしてくれていました(笑)。

井上:竹野内さん、こんなに話す唐沢さん、初めて見たっておっしゃっていましたものね!

竹野内:そうそう。でも、心強かったですね。

■命を懸けて戦った、日本兵たちへの思い

Q:今回の映画は、アメリカ、タイ、日本、と3か国のスタッフが参加して、アメリカ側のエピソードはアメリカ人の監督が撮るという独特のスタイルでした。井上さんは、USパートでの撮影にも参加されたそうですが、いかがでしたか?

井上:わたしは、USスタッフの初日の撮影に、ワンシーンだけ参加したんですが、やり方も、撮り方も、日本と全然違うので戸惑いました。そのとき、平山監督が様子を見にいらしていて、監督が「頑張ってこいっ!」って背中を押してくださったんです。わたしも「はいっ! 行ってきます!」という感じで乗り切ることができました。

Q:竹野内さんは、47人の兵士たちと実際に現場を共に過ごされたわけですが、彼らとの印象に残っている思い出のシーンはどこですか?

竹野内:投降式のシーンが一番印象に残っています。あのときは、みんなの思いを、自分の背中で感じました。皆さん、演技とはいえ、何とも言えない表情をされていたのがすごく印象的で、自分の心に響くものがありました。あの表情はきっと忘れないと思います。

Q:映画が完成した今、太平洋戦争で命を落とした兵士への思いを聞かせてください。

竹野内:今、当たり前のようにある幸せは、今のわたしたちには想像もできないような体験をされてきた当時を生きた兵士の方々のおかげだということは頭の中で理解していたつもりだったんです。でも、実際に軍服を着て、重い装具を着けて撮影に臨んでいるうちに、戦争で全力で戦い抜いた方々の魂を、日本人は絶対に忘れてはいけないんだと痛感しました。

井上:たくさんある真実の一部の話ではあるんですが、そこに、これだけのドラマがあったなんて誰も想像できないですよね。将来の日本を思い、希望を持って戦った人たちの姿を忘れてはいけないし、彼らがわたしたちに遺してくれたメッセージをきちんと受け止めて、一日一日を大切に生きていきたいと思っています。

インタビュー中、何度も竹野内が口にしたのは、「自分たちは戦争を知らないから……」という言葉だった。竹野内が、戦争を知らないことを痛切に感じ、必死に主人公にシンクロできるように勉強をして、今回の役に挑んだことが伝わってきた。こんなにも真摯(しんし)に映画に向き合い、主人公の心情を探り続ける俳優は、そう多くはいないだろう。井上が呼ぶ「大尉」というニックネームには、映画に対して情熱を注ぐ竹野内への尊敬の気持ちがこもっているように感じた。「今」を代表する2人の実力派俳優の、魂までも揺るがす熱演に期待してほしい。

(C) 2011「太平洋の奇跡」製作委員会

映画『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』は2月11日(金・祝)全国公開

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