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プレイバック2011 映画界が信じた、「映画の力」とは?

 2011年3月11日に発生した東日本大震災。地震と津波により、たくさんの命が奪われ、多くの人々が傷ついたこの震災は、日本の映画業界にも大きな衝撃を与えた。「映画が及ぼす影響」「映画で生まれるきずな」「映画が伝える真実」そして、「映画が与えるパワー」。“映画の力”をテーマに、今年の映画界を振り返る。
あの大作はまる一年公開延期を決定! 大震災が及ぼした、作品公開への影響

 東日本大震災後、計画停電の影響や映画館整備のために多くのシネコンが営業を自粛。大津波のシーンが冒頭にあるクリント・イーストウッド監督の映画『ヒア アフター』は上映中止に、マグニチュード7.8の唐山大地震によって心に傷を負った少女と罪悪感を背負い生きる母親の32年間を描いた映画『唐山大地震-想い続けた32年-』が公開延期となるなど、「津波」や「地震」をひとびとに連想させる新作映画は、被災した人々の気持ちを考慮した上で決断を下すこととなった。

 中でも注目を集めたのは、野村萬斎の主演作品『のぼうの城』だ。今年9月17日に公開を予定していた本作は、豊臣秀吉の命を受けた石田三成による「水攻め」の描写が、「時節柄上映するにはふさわしくない」という理由で、公開時期を約1年後の2012年秋に延期することとなった。野村が“のぼう様”と呼ばれる忍城の総大将にふんし、榮倉奈々成宮寛貴山口智充上地雄輔山田孝之平岳大市村正親佐藤浩市ら豪華キャストが集まった超大作は、来年、改めてひとびとに明るい未来を届けてくれるはずだ。

 

『唐山大地震-想い続けた32年- 』
(C) 2010 Tangshan Broadcast and Television Media Co., Ltd.  Huayi Brothers Media Corporation  Media Asia Films (BVI) Limited  All Rights Reserved.

『のぼうの城』(C) 2011『のぼうの城』フィルムパートナーズ

「映画にできること」を問いかけた、2011年の映画祭

 多くのイベントが中止となっていた震災直後の3月、賛否両論の中で開催に踏み切ったのが、毎年、吉本興業が主催している「第3回沖縄国際映画祭」だった。社員や、芸人の中にも家族が被災した人間がいるという極限の状態で開催が決まった本映画祭は、「私たちにも、できることがきっとある」というスローガンのもと、復興に向けたチャリティーイベントとして開催。500人以上の芸人と、映画の出演者たちが、連日連夜、募金活動に立ち続け、1,000万円以上の義援金を集めた。

 今年も海外からもたくさんのゲストが来日した第24回東京国際映画祭では、募金活動に加え、「東京国際映画祭 ARIGATOプロジェクト」と題して、従来の募金活動に加え、映画祭出品作4作品を、被災地で無料上映する「『TIFF in 仙台』特別上映会」、被災地をテーマに作られた作品を上映する特別上映「震災を越えて」などが新たに加わった。沖縄国際映画祭を皮切りに、今年国内で行われた映画祭は、そのほとんどが希望や夢を与え続ける「映画」の力で、被災地と人々のきずなを築くイベントとなった。

 

多額の義援金が集まった-募金協力者と感謝の握手を交わすスリムクラブと真栄田 - (C)沖縄国際映画祭

被災地で、やなせたかし原作作品を上映した東京国際映画祭

福島第一原発事故の影響で、原発をテーマにしたドキュメンタリーがロングランに!

 東日本大震災が引き起こしたもう一つの悲劇……それは地震直後に発生した福島第一原発でのメルトダウン事故。海外で報道されるニュースと食い違う東電の発表、放射能への不安は日々募っていき、真実を求める人々は原発の恐ろしさを描いたドキュメンタリー映画へと足を向けた。

 今回の事故後最も注目を集めた映画監督は、長きにわたり放射能の恐ろしさをフィルムに収め続けてきた鎌仲ひとみだろう。すでに公開中だった、原発の問題を真っ向から糾弾し、自然エネルギーシフトへの希望を描いたドキュメンタリー作品『ミツバチの羽音と地球の回転』は、震災直後から立ち見の連続。内部被ばくの恐ろしさを描いた『ヒバクシャ 世界の終わりに』、青森県にある核廃棄物処理工場の現実を描いた『六ヶ所村ラプソディー』、そして『ミツバチの羽音と地球の回転』の3部作特集上映も行われた。また、映画『チェルノブイリ・ハート』など、チェルノブイリの現実を見つめた作品も数多く公開され、「15年後、日本はどうなるのか」という深刻な問題をわたしたちに突きつけた。

『ミツバチの羽音と地球の回転』

『チェルノブイリ・ハート』

人々が求めたのは、ハートフルなファミリー映画!

 多くの人が、大切な家族や友人を亡くし、心に深い傷を負った東日本大震災。映画は、震災で傷ついた日本人の「癒やし」として大きな役割を果たした。震災直後は、多くの避難所でボランティアによる無料上映会が行われ、日本中の配給会社から新旧問わず、たくさんの映画作品が提供された。各地で上映された作品は、アニメ作品や往年の名作などそれぞれ。避難所で暮らす子どもたちやお年寄りからは、大きな歓声が上がったという。
 今年の映画興行成績を振り返ると、洋画では『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』、邦画では『コクリコ坂から』など、被災地でリクエストの高かった作品と同じく、子どもから大人までが楽しめるハートフルなファミリー映画が圧倒的な人気を誇った。悲しいとき、つらいとき、映画は、明るい希望や、笑い、元気を届けてくれる大きなエネルギーとなる。映画界にとっても厳しく辛い一年になった2011年だが、映画の持つ不思議なパワーを感じたひとも多かったのではないだろうか?

『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』
(C) Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

文・構成:シネマトゥデイ編集部 森田真帆

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