シネマトゥデイ

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私的映画宣言 サード・シーズン3月

筆者の近況報告

森直人

「あっ、オレ今年、厄年か!」と気付き、近所の神社に厄ばらいに行ってきました。あとはひたすら仕事と雑事に明け暮れつつ、ますますレベルが上がっていくNHKドラマ「カーネーション」に興奮する日々。
●3月公開の私的オススメは、テッパンのアメリカ映画が何本もあるのですが、あえて岩井俊二監督の『friends after 3.11【劇場版】』(3月10日公開)を。

高山亜紀

『キツツキと雨』に書き下ろした主題歌を含む星野源2ndシングル「フィルム」を先月からず~っと聴き続けています。というのも、聴けば聴くほど、発見のある、いい歌なんです。毎日、感動中。ありがとう、星野源。
●3月公開の私的オススメは、『マリリン 7日間の恋』(3月24日公開)。

小林真里

『マーターズ』パスカル・ロジェの待望の最新作『ザ・トール・マン(原題) / The Tall Man』が遂に完成!3月にサウス・バイ・サウスウエスト映画祭でワールドプレミアされます。早く観たい!
●3月公開の私的オススメは、詩情とバイオレンスが交錯する傑作ノワール・サスペンス『ドライヴ』(3月31日公開)は絶対必見!! 『SHAME -シェイム-』(3月10日公開)と『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(3月31日公開)も見逃すな!

前田かおり

花粉症の季節到来。いつの間にか年柄年中、花粉症状態になっているわたしですが、でもこの時期が一番ひどくて、症状の重い時用の薬を飲むと爆睡して起きられない。もー、薬ってコワいと思う今日このごろ。
●3月公開の私的オススメは、『テイク・シェルター』(3月24日公開)。

今祥枝

海外ドラマ「LAW & ORDER オー&オーダー」の特番制作に参加。20年以上前のシーズン1のゲスト出演にジョン・スペンサーを見つけて、エミー賞受賞式で握手してもらったその年の暮れに急逝したことを思い出し涙。本シリーズの要だったジェリー・オーバックももういないと思うと本当に寂しい。
●3月公開の私的オススメは、『SHAME -シェイム-』(3月10日公開)。

ヒューゴの不思議な発明


(C) 2011 Paramount Pictures. All Rights Reserved

オスカー受賞作『ディパーテッド』など数々の傑作で知られる世界的巨匠、マーティン・スコセッシ監督が初めて3Dでの撮影に挑んだ本格ファンタジー。世界各国でベストセラーとなったブライアン・セルズニックの小説を原作に、父親が残した機械人形に隠された秘密を探る少年の冒険を描く。主演は『縞模様のパジャマの少年』エイサ・バターフィールドと、『モールス』クロエ・グレース・モレッツ。共演にはジュード・ロウ『ブルーノ』サシャ・バロン・コーエンベン・キングズレーら豪華な顔ぶれがそろう。

[出演] ベン・キングズレー、エイサ・バターフィールド
[監督] マーティン・スコセッシ

森直人

8点これはマーティン・スコセッシ監督の「3D映画論」と呼べるのではないか。つまり映像のマジックにより、シンプルな見世物を志向する点において、3Dとは映画の「原点回帰」なのだと。ジョルジュ・メリエスばかりか、リュミエール兄弟の『ラ・シオタ駅への列車の到着』まで引用されるのだから、まるで2回目の映画史を体験しているような気分。同時に孤独な少年と偏屈じいさんの人生再生ドラマに仕立てることで、ずぶずぶの映画愛に閉じたノリから逃れているのもうまい。

高山亜紀

7点ヒューゴとイザベルの大活躍が描かれるメインのお話だけでも大した見応えなのに、後半、畳み掛けるように描かれていくジョルジュ・メリエスへのオマージュ映像。そのハンパない力の入れ方! 肝心の話はそっちのけで、口を開けて見入ってしまった。いや~多くの人はむしろ、ここを観たいんじゃないか(笑)。子ども向けと思わせておいて、映画好きにはたまらない仕様。とはいえ、子どもたちはこのマニアック映像をどんなふうに受け取るんだろうか、気になる。

小林真里

9点一見、子どものアドベンチャー映画を思わせるが、とんでもない。父親が遺(のこ)した謎のロボットに執着する孤独な少年と、秘めた過去を持つ頑固老人の運命的な出会いを軸にした、美しき映画賛歌がモチーフの壮絶にドラマチックな感動作ではないか。本作に込められた映画愛の深さは、『ニュー・シネマ・パラダイス』を凌駕(りょうが)しているといっても過言ではない。画面に引きずり込まれるような錯覚を覚える立体感も画期的で、3D映画ではベストの出来。映画マジックの奇跡が詰まった名編だ。

前田かおり

9点時計台から見下ろすパリの風景といい、駅舎の様子といい、1930年代を細部に至るまでこだわって再現した映像はほとんど芸術作品。素晴らしい。そんな中で描かれる好奇心旺盛な少年の冒険譚(たん)が、映画の創世記をたどる物語につながっていく。原作の素晴らしさもあるのだろうが、貴重なフィルムのアーカイブに力を注いできたスコセッシ監督ならではの映画への愛があふれている。正直、観るまでは子ども向きとタカをくくっていたが、観たら、瞬く間に引き込まれ、それこそ映画のマジックにかかり、最後は胸キュンものでした。

今祥枝

8点あれこれ考えたりごちゃごちゃと解説されずともシンプルに楽しめる映画。映画黎明(れいめい)期には、列車の映像が今の3D映像を観るかのごとく驚きと共に観客を熱狂させたのだろうと思うと心が躍った。もっとも筆者は本作の演出としての3Dの意義はわかるが、基本的に物語を観るのに3Dは邪魔だと思っている。また、ダニエル・ラドクリフが本作への評価に関して映画芸術科学アカデミーに物申したようだが、個人的に主張も心情も理解できる。

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シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム


(C) 2011 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

『アイアンマン』シリーズロバート・ダウニー・Jr『コールド マウンテン』ジュード・ロウがシャーロック・ホームズ、ジョン・ワトソンにふんするアクション・ミステリーの第2弾。おなじみのコンビに謎の女占い師を加えた3人が、ある事件を裏で操る最強の敵との死闘を繰り広げる。監督は、前作に続き『スナッチ』ガイ・リッチー。また、2人と手を組むヒロインを、『ミレニアム』シリーズのスウェーデン出身の女優ノオミ・ラパス、テレビドラマ「MAD MEN マッドメン」シリーズのジャレッド・ハリスが敵役として登場。ヨーロッパをまたに掛けて活躍する、ロバートとジュードの絵になるコンビに期待が高まる。

[出演] ロバート・ダウニー・Jr、ジュード・ロウ
[監督] ガイ・リッチー

森直人

6点英国が誇るホームズ物語をアメリカンな活劇として再構築するというコンセプト自体が第1作では賛否両論を呼んだが、今回の続編は「これはこれで」という了解がベースにあるせいか、伸び伸びとスケールアップしている印象。しかしロバート・ダウニー・Jrのクドい笑いは空転が目立ち、「サービス精神」と「はしゃぎすぎ」って紙一重だよね……とか思ったり。むろん鮮烈な映像処理を見せる森の中の銃撃アクションなど、過剰さがハマっている場面も多し。

高山亜紀

8点前作では意味のわからない爆破などもあったが、今回はきっちり「実はこんなことになっていました」という解説シーンがあり、痛快。全盛期のガイ・リッチー(といっても『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『スナッチ』の2作だけか)を思わせるテンポ&アイデアに大満足。前作でお披露目は終わったのか、全編フルテンションで楽しそうなロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウだったけど、一番ノリノリだったのは監督と見た。

小林真里

8点前作以上にド派手なアクションが痛快な、スマートなミステリー大作。ガイ・リッチーお得意のハイスピード撮影を生かした森の中の銃撃戦がとにかく圧巻で、カタルシスを感じること必至。世界大戦をにおわせる、暗雲垂れこめる時代の変節期が舞台で世界観はダークだが、ホームズ演じるロバート・ダウニー・Jrのいつもの軽妙なウイットと間合いで、シリアスなストーリーをいい案配に中和。元祖「ドラゴン・タトゥーの女」ノオミ・ラパスのジェンダーレスな存在感と熱演も光る。

前田かおり

6点第2弾で、ロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウの仲もいい案配に練れた感じ。前半の列車内のアクションをはじめ、オヤジ2人が顔を寄せ合って繰り出す笑いのテンポもよく、たまらず何度か吹き出した。もっともノオミ・ラパスが魅力薄というか、生かし切れていないのが残念。ガイ・リッチーお得意のスローモーション&ストップモーションを使ってのタネ明かしもネタの盛り込みすぎ。エンタメ精神はわかるが、もっとコンパクトにしてキレある第3弾を作ってほしい。

今祥枝

5点前作よりは楽しめたが、どうしても本作のガイ・リッチーの作風とロバート・ダウニー・Jrの役づくりが体質的に受け付けない。また「シャーロック・ホームズ」をうたってさえいなければ……としつこく思ってしまうのも、きっと筆者が頭が固い旧人類だからだろう。とはいえ、映画はアクションもロケーションもスケール感があり、普通の映画ファンなら普通に楽しめるはず。俳優陣も等しく好演で、中でもスティーヴン・フライには笑った!

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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙


(C) 2011 Pathe Productions Limited. Channel Four Television Corporation and The British Film Institute.

イギリス初の女性首相として強力なリーダーシップを発揮したマーガレット・サッチャーを、『クレイマー、クレイマー』『プラダを着た悪魔』メリル・ストリープが演じる人間ドラマ。1979年の就任以来、強気の姿勢でイギリスを導いて“鉄の女”と称されたサッチャーの誰もが知る姿と、その裏に隠された孤独な一面を繊細に描き出す。監督は、『マンマ・ミーア!』でメリルと組んだフィリダ・ロイド。サッチャーの夫を、『アイリス』『ハリー・ポッター』シリーズジム・ブロードベントが演じる。ハリウッドを代表する演技派女優、メリルの渾身(こんしん)の演技が見どころだ。

[出演] メリル・ストリープ、ジム・ブロードベント
[監督] フィリダ・ロイド

森直人

8点シニカルな作風でうれしい驚き。『クィーン』『英国王のスピーチ』よりも、『J・エドガー』に近い。毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい権力者の複雑な両義性とプライベート。ここで描かれているサッチャー像は三つ。「孤独な老婆」(晩年)と「強硬的な政治家」(首相在任時)と「鼻息の荒い庶民の娘」(無名時代)だ。格差社会の拡大など政策の負の側面もしっかり。もしカタルシスのある「女性映画」を期待しているなら、ずいぶんトゲが多いので気を付けて!

高山亜紀

6点オープニングから驚かされた。「この人、メリル・ストリープのお母さん?」。それほど別人で、それでいて自然。特殊メーク演技もここまでやるのがオスカーレベルなら、『J・エドガー』のレオを褒めたことは今更ながら撤回したい。いまだに賛否両論あるサッチャーの政策。それだけに偉人伝にせず公平に描いているところが良心的。また、キャリア優先でいいという条件で結婚したにもかかわらず、家庭を顧みないサッチャーにだんなが愚痴る場面などは女性監督&ライターらしい感覚だなと納得。

小林真里

6点悪名高きサッチャーの伝記映画を期待していたら、死んだ夫と会話するちょっと危ないおばあさんのお話だったので驚いた。といっても、『永遠のこどもたち』『アザーズ』のようなゴシック・ホラーではなく、「時間はかかりましたが、過去という名の亡霊とようやく決別することができました」という、夫の死後、気弱になった鉄の女が自分を取り戻す感動寄りのドラマなのだが。人物像の掘り下げも浅く、首相時代の描写も物足りない、中途半端なアート映画ともいえます。

前田かおり

3点「米国人だからって、文句は言わせないわよ」という大女優メリルの気迫が全編あふれんばかり。激似ぶりにも頭が下がる。が、夫が亡くなったこともわからないようなサッチャーが、自分の政治家人生をまだらボケした頭で回想する設定に、筆者はアウト。功罪を残した女傑をせっかく取り上げながら、政治家としての功績も駆け足で描き、むしろメリルの名演のせいで男性議員を罵倒(ばとう)しまくる高慢な女性首相という印象しか残らず。別にサッチャー好きじゃないけど、少なくとももうちょいリスペクトして描くべきじゃないかぁー。

今祥枝

6点恐ろしくネガティブな意見しか聞こえてこないが、筆者は擁護派。本作は政治家としてのサッチャーをうんぬんする映画ではなく、一人の女性の晩年の心象風景をつづった私的な作品。年を取り記憶が曖昧(あいまい)になっていく中で人は必ずしも良い思い出ではなく苦しかったことの方をより多く思い出し、悔悟の念にさいなまれる姿はリアルで老いの現実を見せつけられ身につまされた。一方で究極の男社会の中で孤軍奮闘するサッチャーの頑張りを思うと胸が締め付けられる思い。

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筆者プロフィール

今 祥枝斉藤 博昭前田 かおり
中山 治美相馬 学高山 亜紀
小林 真里山縣 みどり森 直人
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