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シネマトゥデイが選ぶ 今月の5つ星

巨匠マーティン・スコセッシが放つ3D大作『ヒューゴの不思議な発明』、世紀の大スター、マリリン・モンローの知られざる恋を描いた『マリリン 7日間の恋』、人種差別を軽妙かつ真摯に描いた女性映画『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』など、今年のアカデミー賞の賞レースをにぎわせた秀作が勢ぞろい!

3月1日公開 奥行き&飛び出しを使い分けた摩訶不思議な3D映像に心躍る 『ヒューゴの不思議な発明』 作品情報

ジェームズ・キャメロンスティーヴン・スピルバーグに続いて、ついにマーティン・スコセッシ監督も3Dに参戦。第84回アカデミー賞で視覚効果賞、美術賞など技術部門を総ナメにしただけあって、スコセッシのユニークなイマジネーションのもとに紡ぎ出された3D映像は、期待を上回る出来栄えだ。井戸端会議に花を咲かせる売店の人々、大荷物を手に列車へと急ぐ乗客たちなど、少年ヒューゴの目線から縦横無尽のカメラワークで映し出される駅のせわしい風景、ヒューゴに迫りくる天敵の鉄道公安官など、シーンごとに奥行き、飛び出しを使い分けた心躍る見せ場が満載。中でも、ヒューゴが夢の中で機械人形と一体化する場面の見事さといったら……! 世間に見捨てられたオモチャ屋の老人と、両親を亡くした孤児ヒューゴという孤独な二人が再び夢を見ることの喜びを知る物語は万人の感動を誘うだろうし、たとえ3Dに興味がなくとも十分楽しめる濃密なファンタジーに仕上がっている。観る人を楽しませようと心血をそそいだ巨匠スコセッシの意気込みに圧倒される力作だ。(編集部・石井百合子)

『ヒューゴの不思議な発明』©2011 Paramount Pictures. All Rights Reserved
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3月10日公開 人助けに手段を問わないホームズのキャラクターが伏線に 『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』 作品情報

世界で最も有名な名探偵シャーロック・ホームズをまったく新しい解釈で描き出したシリーズの第2弾。ヨーロッパを舞台にしたストーリーが展開される一方で、ワトソンの結婚を機にロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウが演じるホームズとワトソンの関係にも変化が訪れるのが本作のミソ。友情と家庭の板挟みになるワトソンはどこにでもいそうな小市民であり、そんな相棒の様子を察し、よかれと思ってすることがことごとく裏目に出てしまうホームズにはどこか寂しげな空気が漂う。本作が社会に適応しつつある男と、適応することをあきらめてしまった男の友情物語だとするならば、宿敵モリアーティ教授を前にしたホームズがクライマックスで起こした行動の理由もよくわかる。助けるためとはいえ、列車から人を突き落とす(!)こともいとわないホームズのキャラクターが伏線となっているあたりも、実に見事な構成だ。(編集部・福田麗)

『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』©2011 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED
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3月24日公開 ミシェル・ウィリアムズが気まぐれで臆病なモンローを見事に体現 『マリリン 7日間の恋』 作品情報

その無邪気な言動から天衣無縫というイメージで語られる一方、撮影にたびたび遅刻するため関係者の間では厄介者というレッテルも貼られていたマリリン・モンロー。『王子と踊子』の舞台裏を描いた本作ではそれらのエピソードを踏まえた上で、自分の才能に自信が持てず、考え過ぎてしまうがゆえに行動できなくなるというマリリンの人物像が提示されている。うぶな青年の視点から語られているため、劇中のマリリンは常にどこか神格化されているのだが、そうした状況が徐々に彼女を追い詰めていくのだ。そんな、気まぐれで臆病なマリリンの内面をミシェル・ウィリアムズは見事に表現。外見はさほど似ていないものの、それはむしろ、どれほどマリリンが唯一無二の存在だったかということを観客に印象付ける。ラブストーリーとしてはもちろん、ローレンス・オリヴィエを演じているケネス・ブラナーのはまりっぷりなど、1950~60年代映画ファンならば、より楽しめる作品となっている。(編集部・福田麗)

『マリリン 7日間の恋』©2011 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.
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3月31日公開 重くなり過ぎずに人種差別を糾弾するテイストが絶品 『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』 作品情報

この作品の優れている点はシリアスになり過ぎずに道徳を説くところ。舞台は人種差別が横行していた1960年代のアメリカ南部で、実在した「ヘルプ」と呼ばれる黒人メイドたちの本音を記したベストセラー小説が原作と聞けば、社会派作品をイメージしがち。しかし、たくさんの子どもを抱え、夫の暴力に苦しみながらも明るさを失わないメイドのミニーを演じ、先ごろアカデミー賞で見事助演女優賞を獲得したオクタヴィア・スペンサーの愛嬌(あいきょう)ある演技も相まってか、どこかコミカルで温かく深い感動が胸を打つ。白人に逆らうと仕事を失う危険性もある黒人メイドたちが、エマ・ストーン演じる作家志望の白人女性・スキーターと交流を重ね、現状を打破しようと一世一代の勇気を振り絞って立ち上がるさまに涙せずにはいられないだろう。(編集部・小松芙未)

『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』©2011 DreamWorks II Distribution Co., LLC. All Rights
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3月31日公開 名もなきドライバーのコミックヒーローのようなキャラにシビれる 『ドライヴ』 作品情報

昼はハリウッドのスタントマン、夜は強盗犯の逃走を手伝う運転手という、二重生活を送る男の日常を描くサスペンス・アクション。ライアン・ゴズリングが演じるのは、名前のない主人公「ドライバー」。『ラースと、その彼女』で等身大リアルドールに恋していた青年と同一人物とは思えない、寡黙でストイック、今にも爆発しそうな危うさを秘めたキャラクターがとにかく魅力的。背中一面にサソリが刺繍(ししゅう)されたジャケットや、常にくわえているつまようじなど、特徴的なキャラクター付けもあって、まるで新たなコミックヒーローのよう。ストーリーは、孤独な男が、愛する女性のため裏社会との戦いに巻き込まれるという、犯罪映画としてはありがちなもの。しかし、デンマーク出身の異才ニコラス・ウィンディング・レフン監督による、ぜい肉をそぎ落としたスピーディーな編集、計算し尽くした照明とサウンドトラック、そして強烈な残酷描写に彩られた映像は、まるでアート映画のような雰囲気さえ漂う。アカデミー賞主要部門のノミネートでスルーされたことでファンから不満が噴出したというが、それもうなずけるほど、観た者を強烈に惹(ひ)き付ける魅力を持った作品となっている。(編集部・入倉功一)

『ドライヴ』© 2011 Paramount Pictures and Mercury Productions, LLC. All Rights Reserved.
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