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今週のクローズアップ カルトな珍作から不朽の名作まで!ジャンルを超える「SF映画」のススメ

 SF小説の巨匠エドガー・ライス・バローズの「火星のプリンセス」を映画化した『ジョン・カーター』が公開。それに併せ、多様なジャンルを内包する懐深きSF映画たちを、名作、珍作、怪作を取りそろえて紹介する。
原作から一変した作品も! SF小説映画

『遊星からの物体X』
 ジョン・カーペンター監督、カート・ラッセル主演による1982年公開のホラー。ハワード・ホークス製作の映画『遊星よりの物体X』のリメイクで、原作はジョン・W・キャンベル・Jrの短編小説『影が行く』。氷の底から蘇生した寄生生物の脅威にさらされるアメリカ南極観測隊の姿を描く。

 寄生された生物は、触手を持った恐ろしい怪物へと変ぼう。特殊メイクのロブ・ボッティンの手によるリアリティーあふれるクリーチャーの姿は、CG技術では表現しきれないおぞましさに満ちあふれている。誰が寄生されているか確かめるため、互いを縛り合って血液検査を行う場面など、心理サスペンスを交えた緊迫感たっぷりの見どころも満載。多くのホラー作品で知られるカーペンター監督だが、『ニューヨーク1997』『ゼイリブ』などSF分野でも観ておくべき傑作・カルト作を手掛けている。






『スターシップ・トゥルーパーズ』
 ロバート・A・ハインラインの小説「宇宙の戦士」を、ポール・ヴァーホーヴェン監督が映画化したら、人の手足がちぎれて吹っ飛ぶ、一大戦争スペクタクルになった! 人類が宇宙に進出した未来で、銀河の彼方で遭遇した昆虫型宇宙生物との紛争が勃発(ぼっぱつ)。軍隊に入隊した主人公ジョニー・リコ(キャスパー・ヴァン・ディーン)が、虫たちとの戦いを経て成長していく様が描かれる。

 映画では、作品を象徴する存在のパワードスーツをオミット。兵士たちは生身で大量の虫たちと戦う。激しい暴力描写で知られるヴァーホーヴェン監督だけあり、その戦闘はよってたかって四肢がバラバラにされる、まさに地獄絵図。国民向けのプロパガンダ映像や、軍人たちの描かれ方などに、軍国主義に対する皮肉も。原作から受けるのとはまったく違う印象の作品となったが、強烈な魅力を放つ怪作。

 

KobalUNIVERSALThe Kobal CollectionWireImage.com

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分類不能のカルト作も!「異色SF映画」

『ドニー・ダーコ』
 ジェイク・ギレンホール主演、ドリュー・バリモアが製作総指揮を務めた、2001年の異色青春ストーリー。精神的に不安定な高校生ドニー(ジェイク)は、何者かの声に導かれ外出した先で、謎のウサギに出会う。ウサギがドニーに伝えたのは、世界の終わりまでの時間。翌朝帰宅したドニーの部屋には、ジェット機から落下したエンジンが直撃していた。それからドニーの身に不思議な出来事が起こり始める。

 ウサギの指示のまま犯罪や恋愛を経験していくドニーの姿から、不安定な若者を描く青春映画のような印象を受けると同時に、時にサスペンスともホラーともつかない描写が登場する、ジャンル分けさえ難しい本作。「世界の終わり」までを追った、時間ものSFの要素も色濃い。独特の世界観への評判が広がり、当時映像ソフトが多大な売り上げを記録したとか。ジェイクが演じた、思春期特有の鬱屈(うっくつ)や不安定な思いを抱える内向的な若者像も支持を得た。



『ダークシティ』
 あるホテルで目覚めたマードック(ルーファス・シーウェル)は、自分がそれまでの一切の記憶がないことに気付く。さらに部屋には女性の死体が。謎の力を使う黒ずくめの男たちや、殺人事件の容疑者として警察に追跡されながら、マードックはわずかな記憶を頼りに事態を解明しようと奔走する。

 『ノウイング』アレックス・プロヤス監督が1998年に発表したサスペンス。黒ずくめの男たち、彼らと同じ能力を持つ自身の存在、夜しかない街など、ちりばめられた数々の謎が次第に明かされていき、やがて世界観を覆す展開を見せるラストは圧巻。ジェニファー・コネリーやジャック・バウアーになる前のキーファー・サザーランドなど、実力派俳優たちが共演。全体を彩るレトロな雰囲気も魅力的。










『未来惑星ザルドス』  『007』シリーズで、すでに大スターだったショーン・コネリーが突如主演した低予算カルトSF。『脱出』を手掛けたジョン・ブアマン監督が、その2年後の1974年に監督、原作、脚本、製作を務め完成させた。舞台は崩壊した未来社会。荒廃した土地では、ブルータルスという人々を、エクスターミネーターという集団が虐殺していた。彼らを管理するのは、空飛ぶ巨大な石の顔ザルドス。あるとき、エクスターミネーターのゼッド(ショーン)はザルドスに潜入、未知なる土地にたどり着く。そこは、高度な進化を遂げ、不老不死となった人々による理想郷だった。

 永遠に生きることは幸せなのか? 本当の人間性を持った生き方とは何なのか。シンプルだが哲学的なテーマが根底に流れる。でも何より衝撃なのは、赤いのパンツ一丁で胸毛全開、過剰なまでにセクシー(?)なコネリーのファッションと石の顔ザルドス。低予算ぶりをまったく隠さないセットの作りなども相まって、ただのトンデモ映画とみられる向きもあるが、味わい深い余韻を残すラストや、ただようエロチシズムなど、記憶に残る場面が多く、妙なトラウマを植え付けられた人も多いはず。

 

現在もカルト的な人気を誇る作品
Dale Robinette/FLOWER FILMS/GAYLORD/ADAM FIELDS PROD/The Kobal Collection/WireImage.com










出演当時のキーファー、後にテレビドラマで再ブレイクするとは誰も予想していなかった
Mirek Towski / Time & Life Pictures / Getty Images
 
見よ! パンツ一丁のコネリーの勇姿を!?
20th Century Fox / Getty Images
映画好きなら必ずチェック「名作SF」

『2001年宇宙の旅』
 スタンリー・キューブリック監督によるSF映画の金字塔。はるか昔、謎の黒い板に「進化」を授けられ、人類は2001年には月に住むまでに進化を遂げる。そんな中、掘り出された謎の巨大物体「モノリス」が木星に向けて信号を発信。数か月後、デヴィッド・ボウマンを船長とし、人工知能HAL9000を搭載する宇宙船ディスカバリー号が木星に向かっていた。その途上、HALが任務に疑問を抱き始める。

 ジャンルを超えて多くの傑作を残したキューブリック監督。アーサー・C・クラークと共に脚本を手掛けた本作も、今なお映画史にその名を刻んでいる。監督は、本来必要な分のナレーションさえ劇中からカット。本作を、映像体験が主眼の作品として公開した。その感覚的で謎を残す作風と、色あせない映像美により、本作は今も並ぶもののない魅力を放ち続けている。



『カプリコン・1』
宇宙開発の闇をめぐる国家レベルの陰謀と、そこから逃れようとする男たちを描く1977年のサスペンス。世界初の有人火星探査船「カプリコン1」に生命維持装置の欠陥が見つかるが、国家レベルのプロジェクトを成功させるため、ロケットは無人で発射。搭乗しているはずだった3人の飛行士は、家族の安全と引き換えに地上の撮影スタジオで芝居をすることになる。

 SFながら舞台は地球で、物語は政治サスペンスの色が濃い。あらゆる手段で真実を探る者を排除しようとする巨大な闇の力には戦慄(せんりつ)を覚える。宇宙開発をめぐる陰謀に巻き込まれた宇宙船乗組員たちの、荒野を舞台にした逃亡劇にも手に汗握る。特にクライマックスの複葉機対ヘリコプターによる空中チェイスシーンはスピード感にあふれており、今観てもその迫力に目を見張るばかり。










『猿の惑星』
 昨年、前日譚(たん)となる新作が大ヒットし、再び注目を集めたSFシリーズの記念すべき1作目。ピエール・ブールによる同名SF小説の映像化作品だ。地球に帰還中の宇宙飛行士テイラーたちが謎の惑星に不時着。そこは猿が文明を持ち、人間が家畜のように扱われる星だった。仲間が犠牲となる中、テイラーのサバイバルが展開。その先に、衝撃の事実が待っている。

 人間と猿の立場が逆転するという斬新な世界を舞台に、現実の人間社会への皮肉を込めた物語が展開。精巧な猿たちの特殊メイクも当時話題となり、特殊メイク担当のジョン・チェンバースは、その年のアカデミー賞で名誉賞を受けた。そして、何といっても本作を伝説にしたのはラスト。その衝撃ゆえに有名になり過ぎたこと、そして『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』公開によって、多くの人が知るオチだが、「ジェネシス」を未見であれば、ぜひ本作の後での鑑賞をすすめたい。

SF映画の代表作に、本作が入らないことはないだろう
Kobal/MGM/The Kobal Collection/WireImage.com








ストーリーは地球で進行する、どちらかといえば政治ドラマなSF
『カプリコン・1』DVD発売中
税込み 2,625円
発売元・販売元:(株)東北新社
(C)1978 Associated General Films and ITC Entertainment Ltd. All Rights Reserved.
 
続編がいくつも製作された作品でもある
20th Century Fox/Photofest/MediaVast Japan
すべての起源!?『ジョン・カーター』が公開!

 本作の主人公は、1881年のニューヨークで、妻子を失った悲しみを抱えて生きる男ジョン・カーター(テイラー・キッチュ)。あるとき彼は、謎のパワーによって未知の惑星バルスームへと瞬間移動。全宇宙を支配しようとするマタイ・シャンによって滅亡寸前の星と、守るべき人々のため立ち上がる。

 原作は、『スター・ウォーズ』『アバター』にも多大な影響を与えたといわれる、約100年前の古典SF小説「火星」シリーズの第1作。ルーカスやキャメロン監督だけでなく、多くのクリエイターが創作の手本としてきたといわれる作品なだけに、ここまで紹介してきた作品の要素の多くが詰まっている。さらに監督は、感動のSFアニメ『ウォーリー』アンドリュー・スタントン。最高の人材によって完成した、まさに元祖ファンタジー・アドベンチャーの世界にどっぷりと浸りたい。

映画『ジョン・カーター』は4月13日より公開


(C) 2011 Disney. JOHN CARTER TM ERB, Inc.

文・構成:シネマトゥデイ 入倉功一

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