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リドリー・スコット監督、シャーリーズ・セロン、ノオミ・ラパス
『プロメテウス』
男性か女性かはどうでもいい、ただ優秀な者が選ばれる
『プロメテウス』リドリー・スコット監督、シャーリーズ・セロン、ノオミ・ラパス 単独インタビュー

構成・文:シネマトゥデイ編集部 写真:アマナイメージズ

映画『エイリアン』『ブレードランナー』など、先鋭的なビジュアルセンスでエポックメイキングなSF映画を手掛けてきたリドリー・スコット監督の最新作『プロメテウス』。人類の起源の謎と新たな宇宙の恐怖を、3D映像で描き出した本作について、ヒロインに大抜てきされた『ミレニアム』シリーズのノオミ・ラパスと、冷徹な魅力たっぷりにその敵役を演じたシャーリーズ・セロンが、スコット監督と共に語った。

■新世代のスコット作品ヒロインに大抜てき!

Q:久々のSF作品ですが、これまで原点に戻ろうとお考えになったことはありませんでしたか?

リドリー・スコット監督(以下、スコット監督):いや、それほどなかったね。これまでずっと映画製作を楽しんできたし、今でもそうだ。立ち止まって考える暇などなかった。それにできることはすでにやり尽したと感じていた。でもまだ大きな謎に答えてはいないと気が付いたんだ。そこでその謎について紙に(アイデアを)書き留め、20世紀フォックスを訪問した。彼らはそのアイデアを気に入り、今日に至るというわけだ。

Q:スコット監督の作品からは、名だたるヒロインたちが誕生していますが、それに加わった気持ちは?

ノオミ・ラパス(以下、ノオミ):もちろんとても光栄よ。13歳の頃に初めて『エイリアン』を観てから、シガーニー・ウィーヴァーはわたしにとってのヒロインとなり、彼女の演技に感動したものよ。

Q:スコット監督とお会いしたときのことをうかがえますか?

ノオミ:『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』を何度も観てくれていて、わたしの演技が素晴らしく、一緒に仕事をしたいと言ってくれたの。ぼうぜんとしてすべてがフリーズしてしまったかのように感じた。何も言えなかったわ。

スコット監督:ちょうど本作を本格的に準備しなければならないという時期だった。ロサンゼルスでノオミと会ったんだが、美しい女性が歩いてきた瞬間、そこにいるのがあのパンク少女(リスベット)ではなく女優だと実感した。本物の女優がそこにいたんだ。

Q:ノオミの知名度について、スタジオ側に懸念はありましたか? ほかの女優を提案されたことは?

スコット監督:もちろん。そういうことを(スタジオは)いつも心配するものだろう? 彼らの見解も理解できるよ。でも『エイリアン』のときもビッグスターはトム・スケリットぐらいで、後はみんな無名だった。

■観客の興味を深める対比構造

Q:シャーリーズさんはノオミさんに対立する役どころです。とりわけ知名度のあるスターですね。

スコット監督:もちろん、そうだね。

Q:彼女をメレディス役に起用しようと考えられた理由は何ですか?

スコット監督:彼女とは以前からの知り合いで、ずっと「何か役をちょうだい」と言われ続けてきたからだ。彼女を黙らせるためだよ(笑)。

シャーリーズ・セロン(以下、シャーリーズ):彼に選択の余地はなかったわね。

Q:スコット監督に最初にアプローチされたときを覚えていらっしゃいますか?

シャーリーズ:いいえ。共通の友人がたくさんいて、いろいろな所でばったりと会っていたの。お互いを尊敬していることはわかっていて、いつか一緒に仕事をしたいとずっと思っていた。本作はまさにぴったりの作品だと思ったのだけれど、最初わたしのスケジュールが合わなかったの。最終的にうまくいってよかったわ。

Q:メレディスと、マイケル・ファスベンダー演じるデヴィッドとの対比が興味深かったです。互いに意識はされていましたか?

シャーリーズ:ええ、していたわ。マイケルとはじっくり話し合ったの。デヴィッドはメレディスの会社が作ったアンドロイドで、わたしたちは容姿が似ている。鶏が先か卵が先かということね。彼女が機械なのか、それともデヴィッドに彼女の遺伝子が与えられたのか。そういった可能性をたくさん表現した。

スコット監督:二人の容姿を似せるべきだと思ったんだ。劇中イドリス・エルバ演じる船長が、メレディスに「君はロボットか?」と聞く場面はなかなか面白い。デヴィッドは金髪でロボット的な動きをするし、彼女も同じ金髪でとても美しく機械的だ。船長の彼女に対する質問は侮辱なわけだ。

シャーリーズ:二人は同じような歩き方をするし、姿勢も似ている。そういう要素が本作を更に興味深いものにしているの。観客は全てを疑問視し、詳細にわたって全てを検証するようになる。

■スコット作品、ヒロインの強さの秘密は?

Q:『エイリアン』でリプリー役は女性が演じるべきと主張されたとか?

スコット監督:そう、元は男性役だった。誰かがアイデアを提案し、悪くないと思ったんだ。

Q:スコット監督は常に魅力的なヒロインを創造されてきましたね。

スコット監督:個人的にはそれほど大げさなことではなかった。性別的なことを気にしたことはないよ。わたしは企業を5社経営しているが、すべて女性によって運営されている。それから何がわかる? とにかく優秀な者が選ばれるべきということだ。男性か女性かはどうでもいい。一番の適任者を選ぶだけのことだ。

Q:シャーリーズさんはいかがですか? あなたの選ぶ役は、確固たる自己を持った強いヒロインが多い気がします。

シャーリーズ:多くの映画で女性は、か弱く傷つきやすいか、とても強いものとして描写されてきた。でも女性は誰もが同じくらいの強さを持っていると思うの。男性の俳優に「強い男性を演じるのですね?」なんて聞く人はいないでしょう? 男性の特性の中に強さがあるから。それは女性にもいえることよ。

■グリーンバックに頼らない、こだわりのセット撮影

Q:監督としてのリドリー・スコットはいかがでしたか?

シャーリーズ:彼のようなアーティスティックな視点を持った監督というのはまれだと思うわ。とても大規模な世界を想像して作り出し、それをまるで画家のように見事にやってのけるの。同時に人間の欠点を理解し、追求していこうともする。普通はビジュアルとキャラクターのどちらかだけを追求するけど、彼はそのバランスを取ることを理解している。

Q:本作はほとんど大規模なセットで撮影されたそうですね。

シャーリーズ:あのステージは巨大だったわね。宇宙船全体がその中に作られ、外の風景も作られたの。すべてのセットは手に取って感じることができた。

スコット監督:実際のセットを建設できるのであれば作らない手はない。最終的にはその方がよほど経費を抑えることができるんだ。

Q:本当ですか?

スコット監督:最近のこういった規模の映画と比べて、本作は半分から3分の1程度の資金で済んだ。具体的にいくら掛かったかはともかく、だいたいそんなところだ。撮影が終わってから、少し撮り足すこともできる。

Q:ノオミさんは、そういった大規模な作品での活動を中心にするおつもりは?

ノオミ:予算の莫大なスタジオの大作であろうが、無名の監督のインディペンデント映画であろうが、どちらでも構わないわ。訴えかける何かがあるかどうかが基準なの。何かつながりを見いだすことができるかといったことね。でもまだラブコメディーはできないわね。キャリアの面でいいのはわかるのだけれど、それが正しい決定だとは思えない。わたしじゃないみたいなの。

数年前は満足に英語も話せなかったというノオミと、絶大な知名度を持つハリウッドスターであるシャーリーズ。全く違う立場から名匠の作品に参加した二人だが、スコット監督の言葉は、その立場や性別にも左右されることなく、ただ彼女たちの実力を信頼していることをうかがわせた。その思想こそ印象的なヒロインを生み出してきた秘訣(ひけつ)なのだろう。美しい3D映像で描かれる、深遠なテーマや隠されたメッセージを注視しながら、その魅力をフルに発揮した二人の女優の姿にも注目してもらいたい。

(C) 2012 TWENTIETH CENTURY FOX

映画『プロメテウス』は8月24日より全国公開

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