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『G.I.ジョー バック2リベンジ』公開がズレた理由って?

封切り予定だった6月29日の一月ほど前でしょうか。予告編もちらほらと見掛けるようになった頃に突然、配給のパラマウント ピクチャーズから発表がありました。「『G.I.ジョー バック2リベンジ』のグレードとクオリティーを上げるために急きょ3D化を決定、封切りを延期します」。『G.I.ジョー』のような大作映画がこんな土壇場に公開日を次の年に変更するなんて一体何があったのでしょうか?

その理由は一言で言うなら、チャニング・テイタムです! シリーズ第2弾となるこの作品の製作開始当初の宣伝文句は、新キャストとしてアクションスター大御所のブルース・ウィリスや現役バリバリのドウェイン・ジョンソンが加わってパワーアップしたことでした。PRポスターも、ブルースの姿は見えますがチャニングの姿はなし。

やがてクランクアップして作品が完成、早速スタジオは選抜された映画ファンたちへのテスト試写を行いました。しかしその結果は散々だったらしく、関係者たちは血の気を失ったといいます。一体何が原因で試写観客へのウケがそんなに悪かったのでしょうか?<以下、多少ネタバレ注意報>

チャニングを殺すな!

『G.I.ジョー バック2リベンジ』では前半、ジョーたちが敵の猛攻に遭って部隊全滅の危機に直面するというストーリーで始まります。ほとんどの隊員が敵にやられ、何とチャニング演じるデュークまでが死んでしまう! という筋書きだったのでした。試写を観た人たちは試写後のアンケートに「チャニングを殺すなんて!」と猛抗議。この結果を見たスタジオは「これはいかん……」ということになり、すぐにプロダクション会議が開かれたわけです。

チャニングの人気がこの1年で大幅に上昇したのは映画ファンの皆さんならご存じの通り。でも映画『G.I.ジョー』シリーズ2作目の製作開始当時、彼の人気はまだまだでした。かく言うわたしも今でこそチャニングファンですが、そのころは「何あの俳優、つまらない人ぉ~」などと言っていたくらいです(苦笑)。というわけで、チャニングを殺してしまうのは大きなミスだと判断したスタジオは、大々的なストーリー変更と再撮影を決意しました。この変更によって加わる製作コストは数百万ドルから1千万ドルといわれていますが、それだけの費用を掛けてもチャニングのキャラを生かすことで元が取れるとスタジオは判断したのでしょう。こうした例を見ると、ハリウッドが人気商売で、セレブ1人に掛ける額がいかに巨額かということに改めて驚いてしまいます。

クリスマス公開に間に合わず! トラブルだらけのブラピ新作

長い間、映画関係の仕事をしていると、製作のウラ話やトラブっているプロダクションの話はどこからともなくすぐに伝わってくるから不思議です。ブラッド・ピット主演で製作開始前から話題になっていた映画『ワールド・ウォー・Z(原題) / World War Z』もそんな作品の一つでした。伝染するとゾンビになってしまうという病がまん延する世界で暮らす人間たちのサバイバルを描いた小説を、ブラッドの製作会社「プランBエンターテインメント」が買い取って映画化した意欲作。3部作からなる原作は映画『第9地区』をほうふつさせ、現代社会への風刺も込めた形で描かれていて、うまくいけば映画も3部作になるのでは、といわれていた期待のプロジェクトでした。ところが……。

映画の撮影が開始される数日前になってロケ地のブダペストで大変なことが起きてしまいました。アクション映画には欠かせない小道具として運び込まれたマシンガンなど銃器85丁がテロ計画と誤解され、地元警察に全て押収されてしまったのです! 映画用だろうと何だろうと一般市民が銃器を国内に持ち込むことは固く禁止されているのにもかかわらず、プロダクションがオーダーした銃は全て実戦にも使える状態で保管されていたのです。何という管理ミス!

スター・ウォーズファンであることのパワー

その他にも出てくる出てくる良からぬニュースの数々。まずは監督と美術監督がゾンビのデザインをめぐって、折り合いがつかないというトラブル。そして監督と撮影監督との力関係争い……。撮影監督はアカデミー賞を受賞したロバート・リチャードソン。わたしも以前にロバート氏と仕事をしたことがあり、すごく才能があって気さくでいい人なのですが、撮影に関しては妥協を許さない厳しい人なのです。主要スタッフの交代劇なども重なり、大幅な予算オーバー、そしてクリスマス公開に間に合わないという最悪レベルの製作遅延となってしまいました。

もろもろの話をまとめると監督マーク・フォースター(代表作『チョコレート』『007/慰めの報酬』)がトラブルの渦中におり、経験の浅さが原因で、製作のコントロールを失い、作品の完成が大幅に遅れる結果を招いてしまった、ということでした。当初は先陣を切ってフォースター監督の起用を勧めたブラッドも、監督のあまりの統率力のなさに業を煮やして彼との仲も険悪になり、今では口さえ利きかない仲になってしまったといううわさすらあります。ちょっと悲しい話ですね。

とにかく製作の悪夢を絵に描いたような話ですが、外野からすればこれだけトラブルが続けば公開延期も仕方ないと納得がいきます。ただ、製作サイドから見ればこれらの問題は予算を2倍以上に膨れ上がらせ、一時はパラマウントが製作面で資金協力者を見つけなければ作品がお蔵入りになるというところまで行ってしまいました。幸い映画自体がスクラップになることだけは避けられたようですが、まだ編集という大変な作業が残っていて、作品の運命は公開されるまでは神のみぞ知るといったところです。

いや~、ホント映画作りって大変なんですね。では皆さん、また次回お会いしましょう。
(取材・文・撮影 明美・トスト / Addie・Akemi・Tosto)

About Addie

高校留学以来ロサンゼルスに在住し、CMやハリウッド映画の製作助手を経て現在に至る。アカデミー賞のレポートや全米ボックスオフィス考など、Yahoo! Japan、シネマトゥデイなどの媒体で執筆中。全米映画協会(MPAA)公認のフォト・ジャーナリスト。
ツイッターもよろしく!→@akemi_k_tosto

いよいよまた一つ年を取ってしまう~! でもクリちゃんの誕生日もわたしの3日後。一緒に飲んで何歳になるかなんて忘れよーっと!(笑)

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