シネマトゥデイ

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映画界の震災復興支援はその後、どうなったのか?

検証3.無料巡回上映で見えてきたこと

東京国際映画祭で行われたチャリティー募金
東京国際映画祭で行われたチャリティー募金

 2012年10月20~28日に開催された第25回東京国際映画祭期間中、会場でチャリティー募金が行われた。これは第21回からグリーンチャリティーと称して森林植樹を目的としていたが、2011年からはその一部を「東北に映画を届けよう!プロジェクト」を実践しているシネマエール東北へ(主催:一般社団法人コミュニティシネマセンター)にも寄付されている。

 今年の総額は146万235円で、うちシネマエール東北へは48万6,745円。同団体は、こうした映画ファンからの募金や、芸術文化振興基金、ニューヨークのジャパン・ソサエティーからの助成金が大きな運営資金となっている。その結果、本格スタートした2011年6~12月末までの7か月で、122会場で162回上映し、約5,000人に映画を届けた。今年に入ってからもほぼ毎週のように東北中を駆け回っている。

映画屋とその仲間たち
映画屋とその仲間たち

 前章で述べたように、映画会社各社から無料提供されたDVDなどを実際に被災地へ届けているのはシネマエール東北やNPO団体、そしてボランティアグループだ。しかし、こうしたグループの活動も震災1年を過ぎてから減少している。中には、阪本順治監督や行定勲監督らが参加していた「映画屋とその仲間たち」にように、当初から1年の期間限定で動いていたグループもいる。

 だが、多くのボランティアの動きを鈍らせたのは、復興支援で無料化されていた高速道路料金が2012年3月末で終了したことが大きい(原発事故による避難者の支援のため、一部は継続)。さらに映画上映の場合、それまでは避難所で上映すればよかったが、今後はホールなどの使用料が発生する。また映画会社によっては、震災後1年を契機に今まで無料貸し出ししていた作品を有料化する動きもあり、金銭的な負担が大きくなってきた。シネマエール東北の岩崎ゆう子さんは「継続した支援を行うためにも、せめて後1年は無料貸し出しを何とかお願いできれば」と語る。

震災初期に行われた巡回上映の様子
震災初期に行われた巡回上映の様子

 岩崎さんは今回の巡回上映を経験して、衝撃を受けたことがあったという。巡回上映に赴くと、「スクリーンで映画を観るのは何十年ぶり」という多数の声がある。震災前から三陸沿岸に映画館はほぼなく、人々が映画を観る習慣がなくなっていたことに気付いた。岩崎さんは「地域の映画環境を良くするためにコミュニティシネマセンターを設立したのに、わたしたちは今まで何をやっていたのだろうと思って」と声を落とす。

 それでも、活動を続けることで「映画でできること」も見えてきた。一つは地域交流・社会福祉としての上映。もう一つが、文化事業としての活動だ。岩崎さんは「映画の上映となると、仮設住宅で引きこもっている高齢者の男性が出てきてくれるんです。仮設暮らしはまだまだ続く。映画は、皆の交流の機会をつくるのに有効な手段」と再認識したという。

ISHINOMAKI金曜映画館の看板づくり
ISHINOMAKI金曜映画館の看板づくり

 また今回の上映は、消えかけていた東北での映画の明かりを、再びともすきっかけになればと期待を寄せている。その第一歩として、2012年10月に石巻にオープンしたみやぎ生協文化会館アイトピアホールで「ISHINOMAKI金曜映画館」と題し、月1回程度の定期イベントとして開催することが決まった。

 「12月8、9日に開催した第1回目は、アキ・カウリスマキ監督の『ル・アーヴルの靴みがき』を上映しました。どうしても被災地では子ども向けや高齢者向けの作品が多くなってしまうけれど、継続していくことでこうしたチャレンジもできると思う」と語った。

 岩崎さん同様に、これまで46会場で無料上映を行ってきたボランティア団体「にじいろシネマ」の並木勇一代表も、活動を通して新たな思いを胸にしているという。並木代表は「映画館まで数時間も車を走らせなければ行けない地区や、障害者がいるために家族で映画館へ行けないという人たちに出会いました。そういう方たちがいる以上、本格的な映画館を届けるこのプロジェクトを続けなければと思いました」。同団体は来年から、医療施設や児童養護施設での上映を積極的に行っていく予定だという。

>>検証4.被災地からの声

検証1.震災被害を受けた映画館はどうなった?
検証2.大手映画会社の震災支援の現状
■検証3.無料巡回上映で見えてきたこと
検証4.被災地からの声

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