シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
鈴木保奈美&水原希子
『プラチナデータ』
二重人格者を愛した女たち
『プラチナデータ』鈴木保奈美&水原希子 単独インタビュー

取材・文:永野寿彦 写真:吉岡希鼓斗

国民的ベストセラー作家・東野圭吾の同名小説を、『るろうに剣心』でも注目された大友啓史監督が映画化した『プラチナデータ』は、DNAをデータベース化した捜査システムによって検挙率100%、冤罪率0%となった社会を舞台に、殺人の罪を着せられた男の逃走劇を描くサスペンス大作。原作にはないアレンジが加えられた映画は、DNAと心の関係にも迫った作品に仕上がった。そのキーパーソンとなる2人のヒロインを演じた鈴木保奈美と水原希子が、撮影現場の雰囲気、そして役柄への思いを語った。

■原作から映画へ アレンジされた役柄

Q:この作品はもともと、東野圭吾さんが初めて映像化を意識して書かれた小説ですが、今回の映画ではさらにアレンジが加えられていますよね。特に、鈴木さんが演じられた水上利江子教授は、原作では男性でしたが、映画では女性として登場し、大きな変更が加えられていますね。

鈴木保奈美(以下、鈴木):撮影に入る前に大友監督から「母性を撮りたいんです」って言われたんです。でもちょっと二宮(和也)さんと希子ちゃんのお母さんっていうのは悲しいなって思って、かなり抵抗があったんですけど(笑)。実際に演じるのも難しかったです。シーンごとに、ここは教授としての立場、ここは母親のように見ている立場と考えて、撮影を進めていました。

Q:鈴木さん演じる水上は、実は二つの人格の持ち主である二宮さん演じる神楽龍平の精神のバランスを保つ役割を果たしていたり、水原さん演じる自閉症の天才数学者・蓼科早樹の主治医でもあったり、本当に複雑だったと思います。

鈴木:そうですね。撮影前は、神楽に接するときの水上先生、もう一つの人格であるリュウに接するときの水上先生と、だんだん台本を読んでいるうちに、どこまで知っていて、どこまで隠しておくのか、何が何だかわからなくなってしまって。大友監督に「すみません。わからなくなってしまいました。どうしましょう」って泣きついたんです。そしたら「何も考えなくていい」って言われたんですよね。それで楽になりました。どう見せるかというのは、監督の作業なので、お任せしようと。

Q:水原さんが演じる早樹も、原作ではファンタスティックなイメージだったものが、リアルな存在になっていると思いました。

水原希子(以下、水原):早樹は、天才数学者で、でも自閉症を抱えている。顔には大きなあざもある。これってどういう人物像になるんだろうと思って、いろいろ調べたりもしました。シーンは少ないし、セリフもほとんどないけれど、結構重要なポイントになる役だと思っていて、見終わったときに、皆さんの心に残る、インパクトのあるキャラクターにするためにはどうしたらいいだろうって結構深く考えちゃったんです。でも、メイクテストのときに、最初はもっと大きなあざを作っていたんですけど、それを大友監督が「この子は暗いし、ダークな部分もあるけれど、美しくなきゃダメだ」とおっしゃっているのを聞いて、「あ、そうか」と思って。それで早樹というキャラクターをつかめた気がします。

Q:原作にはない、神楽と出会うシーンで、素数をずっと書き続けている姿も印象的でした。

水原:あのシーンは、長回しで撮影したんです。最初は緊張していたんですけど、集中してやっていたら結構居心地が良くて。書いている最中にいろいろなことを思いついたりして。早樹はもしかしたらこういうことをするかもなんて、どんどんどんどん頭が働いている感じで、気持ちが良かったですね。

■鈴木と水原 唯一の共演シーン

Q:お二人がご一緒のシーンは、海のシーンだけですよね?

鈴木:そうなんです。

水原:お会いする前はすごく緊張していたんですけど、現場ではあまりお話をする機会がなくて。あのシーンも……。

鈴木:すごく離れていて、ね!

水原:そうなんです。

鈴木:わたしなんて波打ち際から離れたところで一人。向こうで希子ちゃんと二宮さんが楽しそうにしているのを、いいなあって見ているだけで。「はいカット! お疲れさまでした」で終わっちゃった(笑)。

水原:鈴木さんとは、撮影が終わってやっといろいろお話ができて、うれしいです。あのシーンの撮影では、わたしと二宮さんは、本当に子どものように水切りして遊んだりして、はしゃいでいるだけでしたから(笑)。

鈴木:でも、希子ちゃんと二人で、劇中に過去の思い出として出てくる写真の撮影があって、撮影の合間に簡単に撮る感じだったのですが、「本当にいい感じですね。すてきな親子みたいに見えます」って言われて。また親子かってちょっとがっかりしました(笑)。けど、希子ちゃんの“お母さん”で、光栄でした。

水原:ありがとうございます(笑)。

■二宮和也が演じる“二人”の人物との共演

Q:お二人が特別な思いを抱く神楽役の二宮さんと共演された印象は?

鈴木:すごくフラットに、その場にストンといる感じでした。だから何を考えているのかよくわからないんですけど(笑)。でも、そこから結構いろいろなカードが出てくる。そこが面白かったですね。

水原:でも、水上先生は、二宮さんが演じる神楽という役柄だけでなく、別の人格のリュウとも接するので、かなり複雑ですよね!

鈴木:役柄的に神楽にどこまで打ち明けていて、どこまで依存しているのか、何を隠しているのか。すごく微妙な間柄だったので、打ち合わせもできないですし、お互いにどう出るかな、どうしようかなって感じでしたね。ただ、神楽とリュウの両方を見られてお得でした(笑)。クールな神楽に対して、リュウはとてもかわいかったですね。

水原:わたしが共演したのは、リュウだけでした。二宮さんとの最初のシーンが、顔が近づいて、二人の関係性が見えるシーンだったんですよ。最初のシーンがそれって、すごく大変でした(笑)。

鈴木:(笑)。それは大変。

水原:でも、そのとき二宮さんは、緊張させないような空気を作ってくれたんですよね。わたしが何をやりたいかというのもわかっていて、何も言わなくてもやり取りできる感じで。それはすごくやりやすかった。すごいなと思ったし、一緒にやっていて楽しかったです。早樹とリュウって、子どものようなピュアな気持ちでお互いを見ているんだと思うんですよね。恋愛よりも、もっと大きな愛と絆でつながっているのかな、と思って演じていました。

Q:お二人とも難しい役だったと思うのですが、女優としてやりがいはありましたか?

鈴木:演じるのはやっぱり楽しかったですね。白衣の役もたぶん初めてですし、初めてのことが多かった現場でした。一度女優業をお休みしていましたが、その前も、復帰した今も、緊張するのは相変わらずなんですよね。自分としては、今日のシーンをなんとかしようということでいっぱいで、いつも結構あたふたしています。もうどうしようって感じで(笑)。

水原:先輩にそう言われて安心しました。あたふたしているのは自分だけかと思っていたので(笑)。モデルの仕事と違って、演技は、例えば一つのセリフがあっても、人によっていろいろな解釈ができるから、監督の意向と違っていたらどうしようなんて、いつも思っていて。演じるキャラクターが変わることによって、自分でやるべきことが変わっていく。本当に女優の仕事って大変だと思います。

一つの質問に対し、譲り合いながらも自分の演技に対する考えを、しっかりと自分の言葉にして答える鈴木と水原。その姿からはインタビュー中に出た「あたふた」しているような様子は全く感じられず、役に徹してみせた女優としての自信が感じられた。神楽に対して特別な思いを抱く水上を演じた鈴木。そしてもう一つの人格であるリュウに対して特別な思いを抱く早樹を演じた水原。原作を巧みにアレンジした映画だからこその人間ドラマとしての深みを、ぜひ劇場で味わってほしい。

映画『プラチナデータ』は3月16日より全国公開

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク