シネマトゥデイ

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今週のクローズアップ そうだ、映画館へ行こう。~21世紀の映画鑑賞HOW TO~

 映画館離れが叫ばれて久しい現在。最近映画を観たという人も、レンタルやテレビで済ます人が多く、映画館にまで観に行った……という人は少ないのではないでしょうか?

 実際、今年5月にgooリサーチが行った「第2回映画館での映画鑑賞に関する調査」によると、1年以内に映画館で映画を鑑賞した人は全体の43.0パーセント。これは1年前に実施した第1回調査に比べると、約2ポイント低下しており、「映画館離れ」が現実の問題であることを痛感させます。

 ですが、そんな今だからこそ、映画館側もサービスを充実させ、何とかお客さんに来てもらおうとしています。そこで今回はシネコン大手に突撃取材! 「イオンシネマ」「ティ・ジョイ」「TOHOシネマズ」「ユナイテッド・シネマ」の4社に、映画館側の工夫を教えてもらいました!

映画館ならでは設備を充実!

 レンタルショップやダウンロードサービスが世にあふれていることもあり、わざわざ劇場に映画を観に行くのはおっくう……しかし、それでもあえて映画館に行く理由があります。それは、映画館ならではの充実した設備。かつて、映画館といえば「映画を観に行く場所」でしたが、テレビやパソコンで気軽に楽しめるようになった今、映画館は「映画を最も快適に楽しめるように設計された場所」になっているのです。

 

Photofest/Twentieth Century-Fox Film Corporation/ゲッティ イメージズ
やはり『アバター』が映画界にもたらした影響は大きい!

 その最もわかりやすい例は、ジェームズ・キャメロン監督の映画『アバター』で一気にブレイクした「3D映画」でしょう。家庭でも楽しめるようにと3Dテレビが発売されていますが、一向に普及する気配はなく、やはり3D映画といえば「映画館」と考える人は多いはずです。

 では、映画館ならではの設備は、3D映画だけなのか? もちろん、そうではありません! 映画館側も「映画館ならではの楽しみ」を追求するため、さまざまな新設備を導入しています。今回はその一部を紹介しましょう。

 

Eric Charbonneau / WireImage / Getty Images
こんな光景もすっかり見慣れたものになりました

 まず、オススメしたいのはIMAXデジタルシアター。床から天井、左右の壁いっぱいに広がる大型スクリーンを通常より客席に近い場所に設置するなど、シアター自体をIMAX仕様にカスタマイズ。IMAXは通常よりも大きな映像を撮影することができるため、その迫力も倍増。また、音響の質も座席の位置に左右されないという特長があります。

 「映画なんて、映画館でも家でも同じでしょ?」と思っている人にこそ、ぜひ一度試してもらいたい同設備。特に3D作品の場合、従来のシステムだと画面が暗くなってしまうことがデメリットとして挙げられますが、IMAX 3Dではそれをほとんど感じることがありません。

 

Ryan Miller / Getty Images
いつも以上の迫力が味わえるんだよ。そう、IMAXならね。

 そのことは観客にもしっかり伝わっているらしく、「(通常の3D作品と比べ)デジタルIMAX 3D作品からチケットが売れている状況です。直近では『パシフィック・リム』IMAX版が通常版の2倍以上の動員を上げた劇場もありました」(ユナイテッド・シネマ担当者)と映画館側も手応えを感じている様子です。

 ちなみに、そのIMAXデジタルシアターを日本でいち早く導入したのが109シネマズとユナイテッド・シネマ。特に後者は2011年に東京23区内で初となるIMAXデジタルシアターを「ユナイテッド・シネマとしまえん」に導入したことも話題になりました。  

 

東京23区内初のIMAXシアターである「ユナイテッド・シネマとしまえん」

 また、こちらはIMAXではありませんが、TOHOシネマズは11月22日にオープンする「TOHOシネマズららぽーと船橋」に独自規格の大スクリーン「TCX」を導入することを決定しました。左右の壁いっぱいにスクリーンを配置することによって、同規模の座席数が用意されているスクリーンよりも画面サイズを約20パーセント拡大することに成功したという新時代の大スクリーンです。

 「テレビの大型化、家庭の音響環境が良くなる中で、映画館でしか体験できない、圧倒的な臨場感ある最高の映画体験をしていただくために導入しました」(TOHOシネマズの担当者)ということで、家庭と差別化を図るため、今後もスクリーンの大型化は続いていくのでしょう。

 

スクリーンの大型化は今後も続く?

3Dを超える!アトラクションとしての映画館の可能性

 上に挙げたIMAXやTCXが映像面での迫力を味わうためのものだとするのならば、映画の迫力を体全体で楽しむことができるのが「D-BOX」です。これは映画のシーンと連動して、椅子が上下・左右・前後に動くというもので、日本では2010年に旧ワーナー・マイカル・シネマズ(現イオンシネマ)がアジアで初めて導入しました。映画館というよりはまるでテーマパークやゲームセンターのアトラクションのようなシステムで、「アトラクションとしての映画」をたっぷり楽しむことができます。

 
一見何の変哲もない座席のようですが…

 現在のところ、イオンシネマ大高ほか、イオンシネマ港北ニュータウンイオンシネマ春日部に導入されており、今後は12月20日にオープンするイオンシネマ幕張新都心に2スクリーン導入予定。幕張新都心では、同社オリジナルの巨大スクリーンと立体的音響が体感できる「ULTIRA(ウルティラ)」スクリーンにD-BOXが設置。同時に、「DOLBY ATMOS」も音響システムとして装備するとのこと。イオンシネマ担当者によると、D-BOXもULTIRAも徐々に拡大を図っていく予定とのことで、絶対に家庭では楽しむことができないだけに、どんどん導入が進んでいくといいですね。

 
こんなふうに揺れる!

 また、振動のみならず、風、香り、さらには水などを感じられる「4DX」というシステムもあります。こちらは今年4月に愛知県・中川コロナワールドに日本初上陸。ここまで行くともはや映画鑑賞というよりはテーマパークのアトラクションという気がしないでもありませんが……愛知県はもちろん、海外の映画館に行くことがありましたら、ぜひ体験してみることをオススメします。映画館ならではの超絶体験が味わえるはずです!

 
こちらは4DX! もはやアトラクション!?
デジタル化で進む映画以外のコンテンツ上映

 かつては映画館で「ニュース映画」と称した作品が上映されていたように、映画館は決して映画だけを上映する場所ではありませんでした。むしろ、その時代に合わせ、映画以外のコンテンツも上映する場所として機能していたといえるでしょう。

 現在、各映画館チェーンがそろって力を入れているのはODS(Other Digital Stuff=非映画デジタルコンテンツ)作品です。その背景には、映画館におけるアナログからデジタルへの移り変わりがあります。フィルムを使用しないデジタル上映が一般化したこと=映画館のデジタル化により、映画以外のコンテンツの上映が容易になったのです。

 その映画館のデジタル化を会社規模でいち早く導入したのはTジョイ系列や、新宿バルト9梅田ブルク7などで知られるティ・ジョイ。同社は2000年にオープンした1号店、T・ジョイ東広島の開業時からデジタルシネマ上映設備を導入し、日本初のデジタルシネマ上映に成功。2010年には全ての運営劇場の100パーセントデジタルシネマ化を実現するなど、映画館のデジタル化を推し進めてきました。

 そのため、同社が運営する映画館ではODS作品が充実。アーティストのライブはもちろん、アニメ作品のファンイベント、スポーツ中継など、デジタルの利点を生かした参加型のライブイベントを多く開催しています。例えば、劇団☆新感線の舞台を映像化した『ゲキ×シネ』シリーズもそうした流れにある作品。同シリーズは従来の演劇ファンにとどまらない観客層を獲得し、これまでで全国約40万人を動員するまでに成長するコンテンツとなりました。

 もちろん、ODSはティ・ジョイだけのものではありません。今回取材した他の3社もそれぞれにODSに力を注いでいます。中でも独自路線を行っているのは、イオンシネマとTOHOシネマズ。前者は「ワールドプロレスリング3D」「ロイヤル・バレエ団」公演の中継上映が回を重ねており、今年はさらに「ロイヤル・オペラ・ハウス」のオペラ公演の中継やロシアの「ボリショイ・バレエ団」公演の上映も加えるなど、舞台芸術分野の厚みが増して、「定期的に上映するODS作品には固定ファンがついています」とのこと。後者は2009年より東宝映像事業部が手掛けたさまざまなODS作品を上映していますが、最もよく知られているのは『DOCUMENTARY of AKB48』シリーズでしょう。2011年にスタートして以降、1年に1作のペースで新作をリリース。現在までに3本が公開されています。

 「ODS作品は、これまで映画館にあまりいらっしゃらなかったお客さまが映画館にお越しになるきっかけにもなります。映画の情報に接していただけるだけでも新規のお客さまにつながる可能性があります」(イオンシネマの担当者)

 映画ファンにはフィルムに慣れ親しんだ人も多く、映画館のデジタル化は否定的な論調で語られることが多くなりがちです。ですが、3D作品やODSといった、映画館のデジタル化が生んだコンテンツにも目を向けたいところ。もちろん、デメリットがないわけではありませんが、デジタル化が「映画館」という場所の可能性を広げることは間違いありません。


ティ・ジョイが運営する新宿バルト9

(C) 2013 ヴィレッヂ・劇団☆新感線
「ゲキ×シネ」最新作『シレンとラギ』より

(C) 2013「DOCUMENTARY of AKB48」製作委員会
『DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?』より
オマケで観客数アップ!?

 ほかにも映画館は観客を動員するためにさまざまな試みを行っており、特定の映画作品とのタイアップなどもその一つ。映画の上映前に流す「マナームービー」が新作映画とコラボするというのも珍しくなくなりました。

 そんな中、ぜひ注目したいのが本編上映前に上映するショートムービーの存在。現在、TOHOシネマズでは「ギフトムービー」と題して「紙兎ロペ」を、ティ・ジョイ系列では「どーにゃつ」というアニメ作品を上映しています。前者は劇場アニメ化のみならず、フジテレビ系の「めざましテレビ」で全国地上波放送されているので知っている人も多いかもしれません。

 「弊社を選んでいただくための差別化施策として提供しております。事実、ギフトムービーの『紙兎ロぺ』を観たいがために、弊社を選んでいますという声があります」(TOHOシネマズの担当者)

 う~ん、映画館側の狙いがぴたりと当たったショートムービーの試み。今は「紙兎ロペ」の知名度が頭一つ飛び抜けている印象がありますが、今後は「どーにゃつ」のような、各映画館での独自企画が組まれることも多くなりそうですね。

 映画館にはただ映画を観に行くという人が大半かもしれませんが、上記のような工夫を楽しむことができれば、さらに映画が好きになるかも。レンタルや配信もいいですが、たまには映画館に足を運びませんか?


(C)紙兎ロペプロジェクト2009-2010
DVD「紙兎ロペ」 は発売中 2,800円(税抜)、2,940円(税込)
■発売元:ロボット ■販売元:東宝
 

取材・文・構成:編集部 福田麗

<取材協力(五十音順)>
イオンシネマ
ティ・ジョイ
TOHOシネマズ
ユナイテッド・シネマ

各劇場の概要やサービスデーは以下の通り(2013年10月末現在)
詳細については各オフィシャルサイトを参照のこと

■イオンシネマ

全国74劇場、609スクリーン(共同経営館も含む)
サービスデーは各劇場にて実施のほか、6回観ると1回無料の「ポイントカード」は全国のイオンシネマ共有で実施 11月23日、合併後、イオンエンターテイメントとして初の新劇場「イオンシネマ東員」を三重県員弁郡に、続いて12月20日、千葉県千葉市に「イオンシネマ幕張新都心」を開業し、全国76劇場、629スクリーンに。
http://www.aeoncinema.com


■ティ・ジョイ

全国20劇場、198スクリーン(直営:11サイト、共同経営:5、受託運営:1、パートナー:3)
映画業界初の日時・座席指定チケットの購入ができるスマートフォン用アプリ「キネパス」配信開始(割引クーポンなどの配信あり)
http://www.t-joy.net


■ユナイテッド・シネマ

全国33劇場(ユナイテッド・シネマ21、シネプレックス12)、324スクリーン(総座席数6万5,003席)
11月30日には34番目となるユナイテッド・シネマ フジグラン今治を開業予定
通常サービスデーのほか、会員カード「クラブスパイス(クラスパ)」(6回観たら1回無料、割引あり、毎週金曜日は1,000円で鑑賞可)、「シネプレックスカード」(入会時に1,000円クーポンなどの特典、割引あり、有料鑑賞1回で窓口150ポイント、オンラインチケット180ポイント付与、900ポイントで映画1本無料)あり
http://www.unitedcinemas.jp/index.html


■TOHOシネマズ

全国62劇場、567スクリーン
通常サービスデーのほか、会員カード「シネマイレージカード」あり(6回観たら1回無料、毎週火曜日は1,300円で鑑賞可)
11/22(金)にグランドオープンする「TOHOシネマズららぽーと船橋」には日本初のオリジナルラージスクリーン「TCX」、天井までスピーカーを設置し革新的な音響表現を可能にした「DOLBY ATMOS」を導入
http://www.tohotheater.jp



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