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朝倉あき、高良健吾、宮本信子
『かぐや姫の物語』
想像力をかき立てられる鳥肌ものの映像美
『かぐや姫の物語』朝倉あき、高良健吾、宮本信子 単独インタビュー

取材・文:永野寿彦 写真:氏家岳寛

宮崎駿監督の『風立ちぬ』が記録的な大ヒットを飛ばしているスタジオジブリ。そんなジブリのもう一人の巨匠・高畑勲監督による『ホーホケキョ となりの山田くん』以来14年ぶりの最新作『かぐや姫の物語』がついに完成。数百人のオーディションを勝ち抜き、日本最古の物語文学のヒロイン・かぐや姫の声を演じた朝倉あき、彼女の幼なじみである捨丸役の高良健吾、そしてかぐや姫を優しく見守る媼(おうな)を演じた宮本信子が、収録現場での苦労や本作への思いを語った。

■誰もが憧れてしまうジブリの世界

Q:高畑監督14年ぶりの作品。キャスティングが決まったときはどんな気持ちでしたか?

朝倉あき(以下、朝倉):オーディションを受けたのですが、あまり自信がなかったので、すごくびっくりしました。電話であっさりと伝えられたので夢かとも思っていて、家族がすごく喜んでいるのを見てやっと現実なんだと実感したくらいで(笑)。

高良健吾(以下、高良):僕は素直にうれしかった。ただ、その連絡があったときはすごく忙しい時期だったので。ジブリ作品に参加できるといううれしさよりも、大変だなあと思ってしまいましたけどね(笑)。

朝倉:ジブリファンなんですか?

高良:好きです。ファンというか、ジブリは誰もが通ってくる道だと思うんですよね。だからうれしかった。

宮本信子(以下、宮本):わたしは「アルプスの少女ハイジ」が大好きで。高畑監督といえば「ハイジ」。本当に大好きで、ハイジになりたかったんです(笑)。

Q:それぐらいハマっていたんですね。

宮本:アニメーションはあまり詳しくないんですけど、「ハイジ」はとにかく好きで、今回も改めて見直しました。オープニングのブランコのシーンで、鳥たちがハイジの頭に止まってカチューシャみたいになるのもすっかり忘れていて、「そうそう、そうだったわ」とすごく懐かしい気持ちになりました。今回、ジブリの映画もたくさん見返しましたね。

朝倉:映画では何がお好きですか?

宮本:『魔女の宅急便』も『となりのトトロ』もいいし、『千と千尋の神隠し』も良かった。『天空の城ラピュタ』もわくわくさせられて真剣に見入っちゃいました。

朝倉:わたしはとにかく『おもひでぽろぽろ』が大好きで。中学のときに出会って繰り返し観ていましたね。あと『猫の恩返し』って作品がすごく好き。池脇千鶴さんがヒロインのハルちゃんの声をやっているんですけど、ものすごく伸び伸びしていてすごく気持ちが良いんですよ。そういう女の子に憧れたりして。

高良:僕は『魔女の宅急便』が大好きです。高畑監督の作品だと『となりの山田くん』も好きだけど、『平成狸合戦ぽんぽこ』が好きですね。

朝倉:そういえばわたしもやんちゃだった小さい頃、『もののけ姫』のサンになりたいって思っていました。

宮本:そういう憧れってあるわよね。

■想像力を駆使するプレスコの難しさ

Q:映像よりも先に声をとるプレスコというスタイルはいかがでしたか?

高良:正直、難しかったです。声優という仕事自体が初めてだったので、全てが手探りという感じでした。

朝倉:同じくです。マイクに向かっているので動けないし。これはかなり想像力が必要なんだなと思いました。

宮本:わたしも声優のお仕事は初めてでしたが、ドラマの本読みと同じつもりでやりましたから難しいとは思いませんでした。朝倉さんがいて、地井(武男)さんがいて、一緒に本読みをしている感覚。だって実際に芝居をするのはわたしではなく、アニメーションの媼がするわけですから(笑)。

高良:なるほど。難しく考えすぎちゃったのかもしれませんね(笑)。どのくらいの距離で話しているのか、どれくらいの音量で話せば相手に届くのか、そういうことばかり気になってしまって。

宮本:考えすぎるタイプなのね(笑)。

高良:だから「早くアフレコになれ!」と思っていたくらいで。

Q:アフレコもやられたんですね。

高良:最終的に気になったところを直していくという仕上げのような作業でした。いつもは自分の目線で演技をしていて、それが自分の中では自然だったりするんです。だけど、プレスコでは想像でやっているから、そのイメージが合わない。このぐらいの距離感でやっていたけど、実際に絵で見たらこうだったんだなと。アフレコではそこを直すという感じでしたね。

朝倉:わたしはアフレコをしてみたら、プレスコで良かったって思いました。伸び伸びできたんだなあと思って。アフレコだと秒数に収めなきゃいけなかったりするので難しくって。アフレコを体験したことで、プレスコのときにどれだけ自由にやらせてもらえていたのかということを実感しました。

Q:高畑監督の方からは「こういうふうに演じてほしい」というような指示はありましたか?

高良:取りあえず、やってみるという感じでした。

朝倉:わたしもまずやってみて、それを判断してもらうっていうことが多かったですね。脚本が本当に素晴らしいので、かぐや姫という女の子の気持ちには素直に共感できました。だから、むしろ映画で描かれている時代の建物についてや、かぐや姫の服装のこと、キジ狩りのこと、食べる瓜のこととかを教えてもらう方が多かった気がします。

高良:僕の場合、自分はどういう場所にいるのかなど、内容についてばかり話していた気がします。具体的なキャラクターのことというよりは、今は山のどこにいて、みんなと何をしているんだろうということが気になっていましたね。

宮本:わたしも高畑監督の方からは特になかったんですけれど、出演交渉があったときに媼に関してどういう考えをお持ちなのかということは聞きました。「夫に従順な、昔ながらの人物にするつもりですか」と。もちろん時代時代で夫婦関係が変わっていくと思うんですけど、わたしとしてはかぐや姫のことを思うあまりに暴走していく翁に対し、ちょっとでも批判的なものを出せたらいいなと監督にお願いしてみました。チラッとだけでもいいですからって(笑)。

■鳥肌ものの映像美に感動

Q:完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

宮本:もう本当に素晴らしいです。まるで絵巻物から人物が浮き立ってきたようなイメージ。日本人じゃなきゃできない繊細さ、筆遣い。どこを観ても素晴らしい映像美でしたね。

朝倉:宮本さんの言う通りです。台本を読んだときから、気持ちの流れが絵で表現されると思っていたんですが、その通りでしたね。絵が感情を全部表そうとする気迫みたいなものを感じて、心から感動しました。

高良:僕も鳥肌が何度も立つほど感動しました。かぐや姫の感情が変わる瞬間、筆遣いも変わるんです。たぶん一本一本の線が変わっている。今まで観たジブリ作品の中でも余白があるのも印象的です。全部が鮮明に描かれていないことで逆に想像力をかき立てられる。その無駄のなさにまた鳥肌が立って。音楽にもまた鳥肌が立ちました。

朝倉:わかります。アニメーターの皆さんがどれだけ心を尽くしたかっていうのが伝わってくる。あり得ないくらいすごい絵が目の前にあって、何とも言えない気持ちになりました。

宮本:世界に羽ばたいて、月まで行ってもらいたい作品ですよね。

取材を終えた後も、筆者にまで「すごかったよね」「すごくいい映画だった」と力説する朝倉あきと高良健吾、そして宮本信子。特に、取材日当日に完成作を観たという高良は「すごい作品に参加させてもらったなあ」と興奮を隠せない様子。それはプレスコという声の演技先行だったからこその、うそのない驚きと感動の言葉だろう。

映画『かぐや姫の物語』は全国公開中

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