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土竜特集

 鬼才・三池崇史監督が人気コミックをユーモアたっぷりに実写映画化した作品『土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJI』。劇中、生田斗真演じる主人公の潜入捜査官・菊川玲二を支える潜入捜査官養成係・赤桐一美にふんした遠藤憲一は、実に5年ぶりの三池作品出演となる。現在、作品ごとにユーモラスな個性を発揮している遠藤の役者としての素質を見抜いたのは、ほかでもない三池監督だ。出会ってから20年近い付き合いになるという二人が、衝撃的な出会いから本作の撮影までの全てを語った。

■いきなり首を……!?衝撃の出会い!

遠藤憲一(以下、遠藤):三池監督に初めて会ったのは、ある俳優さんの結婚式だったんですよね。2次会に三池監督が現れたとたん、俺が立ち上がって……。

三池崇史監督(以下、三池監督):そう。いきなり首を絞められました(笑)。もうガクガク揺さぶられて……「なんで俺を使わねえんだよ!」と怒鳴られた。

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本作でも迫力満点の遠藤、この顔で迫られたら怖い! (c)2014 フジテレビジョン 小学館 ジェイ・ストーム 東宝 OLM (c)高橋のぼる・小学館

遠藤:3年間の片思いだったんですよ。役者仲間はみんな三池さんの作品に出演していて、すごい監督で現場も楽しいって聞いていたから。役者がそこまで興奮して喜々として監督との仕事を語ることって、なかなかないじゃないですか。だから「一緒に仕事したい」って気持ちと「なんで呼んでくれないんだ」っていう3年分の思いがもう出会った瞬間に吹き出しちゃった(笑)。

三池監督:単なる恐怖しか感じなかったですもん。こっちは結婚式のお祝いに来ただけなのにいきなり首を絞められて! 遠藤さんは芝居でも十分怖いのに、そのときなんてガチだからすごい迫力なんです。でも、ビビりながら「一緒だ!」って気持ちになれたんですよね。まあ命の危険を感じてキャスティングしたわけですが。

■伝説のカルト映画『ビジターQ』

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現場での三池監督 (c)2014 フジテレビジョン 小学館 ジェイ・ストーム 東宝 OLM (c)高橋のぼる・小学館

遠藤:三池さんの作品で初めて主演をやらせてもらったのが、『ビジターQ』(*注釈参照)でしたね。(劇中の)「ヨイショーッ! ヨイショーッ!」のシーンは、いまだに忘れられません。あの作品はどうやって生まれたんですか?

三池監督:撮っている俺ですらびっくりした作品ですね。その「ヨイショー!」のシーンは、自分の葬式でぜひ流したいなあ。そしたらみんな、こいつは死んで良かったって思うよね(笑)。あの作品を書いた江良至という脚本家はとても温厚な方でプロデューサーや監督や役者の言うことをきちんと聞いて、みんなの意見を取り入れながらまとめていくのがうまい人なんです。つまり自分の作家性をいつも削って仕事をしている。でも僕は性的に異常なほど屈折している人だと思っていたので、ぜひ一度、彼を爆発させてみたいと思って。それで思う存分、好きに書いてくださいってお願いしたんです。

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思い出話で盛り上がる二人

遠藤:それって題材は何でもいいと言ったんですか?

三池監督:一応、シネマ下北沢で上映されるビデオ撮影の連作ラブストーリー「ラブシネマ」6部作の最後だったので、「愛にまつわる話なら何でもいいよ」とは伝えました。打ち合わせで、修正することもせず第1稿でそのまま撮るから! って。ギャンブルのように賭けてみて、1週間後に上がってきた脚本がああいうことになっていた(笑)。

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感心するしかない遠藤

遠藤:すげえ! やっぱりこいつ異常だったなって確信したんじゃないですか(笑)?

三池監督:自分でもすっげえもん撮ったなって思いますね。俺のピークはここだったのかとまで思っちゃう(笑)。全国のみんなに褒められる作品じゃないけど、今この瞬間に俺たちが面白いと思ったことを撮った作品でしたね。

遠藤:今も忘れられないのが、衣装合わせで(共演した)内田春菊さんが「あたし最近子どもを産んだばっかりで母乳が出ちゃうので、絞る時間を下さい」って監督にお願いしたら、三池さんが「それ撮っていいですか?」って(笑)。そしたら春菊さんも「え? 本当ですか? ありがとうございます」って言っていて。もうそのやりとりを聞いて、この人たち本当に狂ってんなぁって、おっかしくて仕方なかったですよね。あり得ないでしょ!

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*『ビジターQ』とは……崩壊した家族の姿を過激なエログロ描写で映し出す、三池監督の問題作。いじめられっ子の息子を持つド変態な父親にふんした、遠藤のぶっ飛び演技はもはや伝説!

■三池監督の現場は演じる喜びでいっぱい!

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楽しみながら演じているのが分かります! (c)2014 フジテレビジョン 小学館 ジェイ・ストーム 東宝 OLM (c)高橋のぼる・小学館

遠藤:『ビジターQ』のときから感じていることなんだけど、三池さんって理屈抜きで、役者からえたいの知れないエネルギーを引っ張り出す力を持っているんです。自分たちがこんな感じかなって思っていた芝居を、変な技を使うわけでもなくただ淡々と自分でも知らなかった何かを引っ張り出してくれる。だから一度三池さんと一緒に仕事をした人は、また一緒に仕事をしたがるんだろうなって思いますね。「ああ、みんなこれが楽しいんだろうな」って思った瞬間がある。

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監督からの要求はいつも面白い! (c)2014 フジテレビジョン 小学館 ジェイ・ストーム 東宝 OLM (c)高橋のぼる・小学館

三池監督:僕は遠藤さんを信じていますからね。セリフの間合いにせよ表情にせよ、やっぱりどこかで通じているものがある。言葉で言わなくても、台本を読んでいたときに自分が思っていた演技を遠藤さんがそのまま導き出してくれるんです。

遠藤:今回の撮影で、(撮影開始)9時間待ちっていうのがあったんですよ。バッティングセンターでのシーンだったんだけど。普通ならちょっとだれちゃうのに、現場に行くと何事もなかったように一瞬で表現の世界に突入させられる。それは何でかっていうと、監督に要求されることが面白くて仕方がないからなんですよね。表現することが喜びに変わっていくんです。昔からよく三池さんに言っているんだけど、「三池さんと同じ、この地上で一緒にいることが幸せ」って気分になれるんです(笑)。ねっ、覚えています?

三池監督:遠藤さんと5年間一緒に仕事していなかったって、何か信じられないですよね。5年もたっていたんだ……ってそういう感じ。久しぶりに仕事をして、とても新鮮でした。いくつになっても変化していく俳優さんなんだな、と。すげえ領域に来てしまっているんじゃないかと思うんです。だからここでもう一度、遠藤さんに原点回帰で「ヨイショー!」って、(『ビジターQ』で見せたように)のこぎりを引いてもらいたい気持ちはありますね。

■吹越満、皆川猿時とのトリオは必見!

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これがうわさのおもしろトリオ (c)2014 フジテレビジョン 小学館 ジェイ・ストーム 東宝 OLM (c)高橋のぼる・小学館

遠藤:でも『土竜(モグラ)の唄』では、あまり飛ばしすぎないようにちょっと抑えました。吹越満さんと皆川猿時さんとでトリオになっていたんだけど、あの二人はめちゃくちゃ飛ばしていくんですよ(笑)。役者の悪い癖で、周りが飛ばしていると自分も乗っかりたくなっちゃう。でも自分の役柄は玲二の教育係だから、そこを大前提に今までの三池さん作品みたいにぶっ放している感じはあまり出さないようにしました。

三池監督:皆川さんは映画『クライマーズ・ハイ』で新聞を売る方のボス(販売局長)を見事に演じていて、それにものすごい衝撃を受けたんです。でもその後にグループ魂のPVとか舞台を観ると、そのときの要素はかけらもなくて、同じ人とは思えないんですよ! 最後までどこをどうつつけばいいかわからなかったなあ。だからせめてもの思いで乳首のアップを撮ったら宮藤官九郎さんがすごく褒めてくれました(笑)。吹越さんは最初パロディーっぽい感じで突っ走っていたんだけど、誰も止めないから素に戻るタイミングをなくして急に焦りだしちゃったりして(笑)。三人のバランスは最高でしたよね。

遠藤:僕ら三人が歌った歌もすごかったですね! 最初歌詞を見たときは、えーっこれ曲付くの!? って半信半疑だったもん。ああいう歌になるなんて、とても想像がつかなかった。

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トリオ熱唱中! (c)2014 フジテレビジョン 小学館 ジェイ・ストーム 東宝 OLM (c)高橋のぼる・小学館

三池:芝居として歌えちゃうんですよね。最初の絵コンテでは30カットぐらいに割っていたんですが、1回試しに現場で合わせてみたら「あ、これはこのままいっちゃったほうがいいな」って思って、結局芝居を含めてワンカットになったんです。歌唱力とかそういうのは関係なく、まさに彼ら自身が作った曲のようで誰かに歌わされている感がまるでなかった。あの日は、撮影がすごく早く終わりましたね。

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(c)2014 フジテレビジョン 小学館 ジェイ・ストーム 東宝 OLM (c)高橋のぼる・小学館

遠藤:すっごい真剣に歌いましたからね! でもあれ、油断すると吹き出しますよ。真剣に聞いている斗真君もよく耐えたと思いますもん!

映画『土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJI』は2月15日より全国公開

オフィシャルサイト
取材協力:月香美人

取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆

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