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井上真央&菜々緒
『白ゆき姫殺人事件』
監督と共犯者になれたような気分
『白ゆき姫殺人事件』井上真央&菜々緒 単独インタビュー

取材・文:柴田メグミ 写真:吉岡希鼓斗

映画化もされた「告白」の人気作家・湊かなえの同名小説に、中村義洋監督が挑戦した『白ゆき姫殺人事件』。『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』など、複雑なストーリーを鮮やかにまとめ上げる名手・中村のもとに、主演の井上真央をはじめ実力派の若手キャストが結集した。殺人事件の鍵を握る人物として疑いのまなざしを向けられる城野美姫役の井上、“白ゆき姫”こと謎めいた死を遂げる被害者・三木典子役の菜々緒が、初共演となる現場を振り返りつつ飾らない女子トークを展開した。

■全力投球じゃないと気が済まない

Q:お二人は初共演ですよね?

井上真央(以下、井上):菜々緒ちゃんが年下だと知って、ビックリしました。大人っぽいから、てっきり年上かなと。お酒とかを飲みに行きそうに見えて、結構引きこもりタイプだということも意外でした(笑)。

菜々緒:夜遊びしそうに思われますが、実は家にいるのが好きなんです。井上さんは現場の空気を楽しく和やかにするのがお上手で、さすがだなって思いました。夜の遅い撮影で疲れているときに気配りをしながらも、ちょっとわがままっぽく「ミロが飲みたい」と言ってみたり。

井上:深夜の撮影だったので、ハイテンションになってきちゃって。甘いココアが飲みたい気分だったんです。

菜々緒:映画も殺される役も、わたしには全てが初めての経験で不安も大きかったんですけど、井上さんに引っ張っていただきましたね。被害者であるわたしはやられる側だけに、相手の方のお芝居に非常に左右されると思うんです。井上さんとの絡みのシーンでは「怖いな」と本気で思えたし、その恐怖心から典子の表情や息遣いが生まれたと思います。井上さんなしにはあの回想シーンはできなかったという気持ちが強いです。

井上:殺されるシーンでも、菜々緒ちゃんはテスト・本番に関係なく体当たりで挑むからアザやケガが大変。それでも泥だらけになってお芝居している姿を見て、すごいガッツだなと思いました。「テストだから」と気を抜いている自分はダメですね(苦笑)。

菜々緒:全力投球じゃないと気が済まない性格なんです。「テストでできなければ本番じゃ絶対にできない」という不安にすごく駆られるので、テストでも本気でやっちゃう。ただ、テストの時点でケガをしちゃうのは……。今後は考えを改めないといけないかなと思っています(笑)。

■「一つじゃないオンナ」の顔の演じ分け

Q:美姫も典子も前半と後半ではかなりイメージの変わる、複雑なキャラクターですよね。

井上:美姫はまず証言者の回想シーンから登場するので、その人が想像する美姫像を考えながら演じました。証言者ごとに微妙に変えていく撮り方は、今までにない体験でしたね。あざとくやりすぎるのも良くない反面、観る方に美姫の人物像をはっきり伝えていくことも大切。しかも、人のフィルターを通しているという意味では客観的に捉える必要もありました。

菜々緒:みんなの証言もあいまいだし、同じシチュエーションで何パターンも演じ分けるというのは、やはり難しいなと思いました。でも勉強になりましたし、すごく楽しかったです。

井上:地味だけど美姫なりに頑張っているファッションとか、監督と相談しながら「美姫っぽさ」を探る衣装合わせの作業も、とても面白かったですね。

Q:現場では、監督とどのような話し合いをされましたか?

菜々緒:わたしの場合は、イイ面とイヤな面をかなりハッキリ表現することを求められました。そのメリハリをつけるように、監督から常にアドバイスをいただいていましたね。

井上:監督は「自分のヒントから役者がどう動くか」というのを大事にされていたように思います。監督が出したテーマにどれだけ応えられるか、わたし自身もやりがいがありました。観ている方をどれだけ翻弄(ほんろう)させられるか、監督と一緒に悪巧みするような、共犯者になれたような気分でした。中村監督が明るい方だし、最近は男性の多い現場が続いていただけに、今回は女子ばかりで、すごく楽しかったです。逆に係長役の金子ノブアキさんは、男性一人で寂しそうでしたけど(笑)。

■衝撃的な菜々緒の美しい死体っぷり

Q:脇キャラたちのインパクトも強烈な、見応えのある作品に仕上がりましたね。

井上:本人たちには悪気はないんでしょうけれど、美姫の友人たちや家族の証言シーンには、人間の根にある「黒さ」みたいなものがにじみ出ていて、「さすが中村監督!」と思いました。どうしても美姫の目線で見てしまうのでイラッとしつつもどこか笑える。もっとドロドロした感じになるのかなと思っていたら、サスペンスの中にもユーモアがあって、すごく新鮮でした。

菜々緒:最初のシーンに自分が出てくるというのが、率直にうれしかったです。

井上:衝撃的なカットですよね。人間なのかマネキンなのか、というくらいに。菜々緒ちゃんはきれいだしスタイルがいいから、死体の冷たさがしっかり表現されていて、すごく印象に残ります。

Q:人間離れした美しい死体を堪能できました。

菜々緒:「美しい死体」や「美人OL」などのうたい文句がプレッシャーでしたね。でも、実際にまばたきを一切せずにワンテイクで撮った冒頭の死体のシーンは、綾野剛さんも「すごく良かったよ」と褒めてくださって。先輩方に褒めていただけると、とても励みになりますね。

井上:あの死体っぷりは、本当にすごい!

菜々緒:深夜に撮影したシーンの中でも最後の最後に撮ったので、本当に疲れきっていて。しかもロケ場所の森がすごく寒かったから、血色も悪くなっていたんです。いろいろな条件がいい具合に重なって、うまく死体を演じられたのかなって思います。皆さん親切でたくさん相談できたことも大きくて、環境にも周りの方にも本当に助けられました。出演できてラッキーでしたし、大切な作品になりました。

■“大物天然”の井上とスルーできない菜々緒

Q:初となる映画の現場で、ドラマ製作との違いなども実感しましたか?

菜々緒:緊張のあまり、違いを感じる余裕はまるでありませんでしたね。雰囲気や機材がちょっと違うかな、と思ったくらいでしょうか。

井上:菜々緒ちゃんはすごくマジメで勉強熱心なんです。映画業界用語とか疑問に思ったことをよく聞かれましたけど、わたし、ほとんど答えられなかったよね?

菜々緒:わからないままにするのはイヤなので、恥ずかしさを捨てていろいろ質問させていただきました。

井上:「ロールチェンジ」の意味を質問されたときには、よくわからないまま「ロールをチェンジすることじゃない?」って答えましたけど、わたしは全然、気にしたことがなかったんです(笑)。

Q:幼いころは「赤毛のアン」、大人になってからは「芹沢ブラザーズ」の音楽が美姫の心の支えという設定ですが、お二人にもそういった存在はありますか?

菜々緒:わたしは家族ですね。「100人に嫌われても、1人が味方でいてくれればいい」みたいな存在です。お芝居の仕事では、割とねたまれる役、気取った役、イヤミな役をいただくことが多くて、役のイメージで嫌われることもあります。でも、自分がやりたくてやっていることですから、周りにどんなに敵がいようと、一人でも応援してくれる人がいれば頑張れる気がするんです。

井上:わたしにとっての芹沢ブラザーズは、やっぱり小田和正さん。10代のころからずっとファンなんです。ツラいときでも、小田さんの曲をずっと聴いていると「きっとイイことがある」と思えてくる自分がいます。

シースルーのドレスをキュートに着こなす井上と、セクシーにまとう菜々緒。一見すると井上が妹分風ながらも、トークでは先輩女優としての余裕を漂わせ菜々緒を優しくリードする。そんな井上へのリスペクト感あふれる菜々緒の真摯(しんし)な姿もほほ笑ましく、映画界での今後の活躍を予感させた。湊かなえ作品ならではの毒っ気と乙女なモチーフ、中村監督らしいコミカルな味付けが効いたイマドキの娯楽サスペンスで、多彩な表情を見せる彼女たち。オンナの怖さとかわいらしさに、ゾクゾクさせられること請け合いだ。

(C) 2014「白ゆき姫殺人事件」製作委員会 (C) 湊かなえ / 集英社

映画『白ゆき姫殺人事件』は3月29日より全国公開

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