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山崎貴&八木竜一&山本美月
『STAND BY ME ドラえもん』
いろんな経験を積んできたからこそ、感動も深くなる
『STAND BY ME ドラえもん』山崎貴&八木竜一&山本美月 単独インタビュー

取材・文:編集部・森田真帆 写真:尾藤能暢

藤子・F・不二雄生誕80年周年記念作品として、国民的アニメ「ドラえもん」シリーズ初となる3DCGアニメ『STAND BY ME ドラえもん』が製作された。「のび太の結婚前夜」「さようなら、ドラえもん」といった名エピソードをつなぎ合わせ、大人も泣ける脚本に仕上げた映画『ALWAYS』シリーズの山崎貴、『friends もののけ島のナキ』以来の共同監督となる八木竜一、“子ども経験者”として本作を鑑賞した女優の山本美月が「ドラえもん」の魅力を語った。

■大人だからこそ泣ける「ドラえもん」

Q:山本さん、大人になった今、本作を観ていかがでしたか?

山本美月(以下、山本):昔、「ドラえもん」を観ていたときは、感動はするけど泣きはしなかったんです。でも、大人になってから観ると、いろんな経験を積んできたからこそ感動も深くなる。セリフも一つ一つがとても深くて……。わたしは映画の中で、のび太くんが大人になったのび太くんに出会って、「ドラえもんと居る時間を大切にしてね」って言葉を交わすシーンで大泣きしました。当たり前に居たはずのドラえもんがいつか居なくなってしまうということを痛感させられて……もう、この話をしているとまた涙が込み上げてきちゃうんです! 山崎監督、もしかして泣かそうとしました?(笑)

山崎貴監督(以下、山崎監督):あそこはこの映画で作ったシーンです。あの辺から徐々に涙腺崩壊モードに突入するんですよね。でも決して泣かせてやろう! と思って書いているわけじゃないんですよ(笑)。自分の経験上、泣かそうと思うと失敗することが多いので、今回は原作のいいところをたくさん生かす形で脚本を書いていきました。藤子先生のセリフはとても力強いので、そのまま使うようにしたんです。

八木竜一監督(以下、八木監督):もちろん舞台を変えたところもありますが、セリフに関してはなるべく原作通りにしたんです。そう考えると、結婚前夜のしずかちゃんの不安な気持ちやお父さんの気持ちが「てんとう虫コミックス」の段階で描けていたんですから、これってすごいことですよね。

山本:しずかちゃんの結婚式前夜のお父さんとの会話なんて、子供のころはあまり実感がなかったのですが、この年齢になるとすごく近く感じるんです。

八木監督:しずかちゃんとお父さんのエピソードに関しては藤子先生の体験がそのまま反映されているのだそうです。藤子先生にも娘さんがいらして、子供が生まれてきたときの感動をセリフの中にちゃんと入れていらっしゃるんです。そう考えると本当に温かいシーンですよね。

■3DCGの魅力を知ってもらうための大チャンス

Q:3DCGになったキャラクターを初めて見たときは違和感もありましたが、実際に映画を観るとすぐに物語に入り込んでしまいました。

山本:正直わたしも3DCGって聞いたときはどんな感じなのかわからなかったのですが、実際に観ると全然抵抗がなかったです。むしろ3DCGになったことで、距離感がより縮まった気がしました。この作品は、大人になってから「ドラえもん」に久しぶりに出会う人にぴったりなんじゃないかな。取りあえず、皆さんにはだまされたと思って1回観てほしいんです!

山崎監督:いいこと言ってくれますね、山本さん(笑)。でも本当に5分で慣れますから! やっぱり子供のころからずっと2Dで観てきたものを突然3DCGでなんて抵抗があると思うんです。「俺の知っている、のび太じゃねえ!」みたいなのって絶対あると思いますし。だから山本さんにそう言っていただけるととてもうれしいですね。

八木監督:海外では3DCGの作品がたくさん作られていて人気もすごいんですが、日本ではまだそこまで浸透していないんです。だからこそ「ドラえもん」を3DCGで作ると聞いたときは、とにかく素晴らしいチャンスを頂いたと思いました。これで成功すれば、多くの方に3DCGの魅力をわかっていただけると思ったので気合が入りましたね!

Q:山本さん、さすが3DCG! というシーンはありましたか?

山本:タケコプターで空を飛んでいるシーンがものすごくリアルでしたよね。のび太くんが思わず、気持ち悪くなっちゃうのがわかるくらいスピード感もあったし、臨場感がすごかったです。あとタイムマシンのデザインがカッコよくなっていてびっくりしました。

八木監督:あのタイムマシンに関しては、原作のアニメに出てくる色合いよりもちょっと渋めの色にしているんです。

山崎監督:家電のデザインって普通シンプルで渋いじゃないですか。だから未来の世界でみんなが車のような感覚で乗っているような感じにしました。

山本:確かにあのデザインだったら買いたくなりますね!

■オリジナルの要素で表現した二人の別れ

Q:今回は映画オリジナルの「成し遂げプログラム」(注:のび太を幸せにしない限り22世紀に戻れないよう、ドラえもんにセットされたプログラム)という要素がのび太とドラえもんの別れをさらに感動的にしていますね。

山本:えっ? 「成し遂げプログラム」ってもともとなかったんですか?

山崎監督:ないんです(笑)。実は原作でドラえもんが未来の世界に帰る理由は、ものすごくぼんやりとしか書かれていないんですよ。なので、今回はもっとドラマチックに、ドラえもんがどうしても帰らなければならなくしたかったんです。

山本:あ、絶対泣かそうと思って作りましたよね! ずるいっ。だって泣いちゃいますよ~。

山崎監督:いえいえ(笑)。最初は反目し合っていた二人がさまざまな困難を乗り越えて、絆が深まった瞬間に別れが訪れるというのはバディ物の原則なんです。なので、最初の「未来に帰りたい!」って言っているドラえもんに「成し遂げプログラム」を付けたことが伏線になっていくんですよね。

■ドラえもんは大切な友達!

Q:皆さんにとってドラえもんはどんな存在ですか?

山本:昔はただ便利な道具をいっぱい出してくれる、というイメージだったんですが、大人になってから観ると、のび太にとって道具を出してくれるということよりも、一人の友達として絶対的に大切な存在なんだなって思うんです。道具なんて要らないから、とにかくそばに居てほしい存在に感じるんですよね。

山崎監督:大人になってから「ドラえもん」を観ると、子供だった自分にとってもかなり大切な友達だったんだなってあらためて思いました。自分で脚本を書いていながら、グッとくることもあったんです。大人になったらドラえもんは居なくなっちゃう、だからこそ頑張らなければいけないってことをこの仕事を通して感じました。

八木監督:僕はまだ大人になり切れていない子供なんです。でもこの映画を作っている間、とにかく楽しかった。僕はのび太のようなところがあるから、いまだにドラえもんに頼りたくなるときがたくさんあります。今、自分にとってのドラえもんは、自分がこういうのが欲しいって言えば必ず作ってくれるスタッフたちですが(笑)。子供のころ、ドラえもんを観ていたときのワクワクした気持ちはもちろん持ち続けていたいですし、でもそれだけじゃなく、あのころ気付くことができなかった藤子先生の未来へのメッセージというものに気付けたことが、自分にとってはとても大きかったですね。

のび太とドラえもんの別れのシーンについて語りながら感極まって涙を浮かべてしまった山本を、「最高の観客ですね」とうれしそうに見ていた山崎監督と八木監督。「のび太がジャイ子でなくしずかちゃんと結婚したら、セワシは生まれてこないのではないか」という山本の疑問から「ドラえもん」談義に花を咲かせる様子からは、藤子・F・不二雄作品への愛がひしひしと伝わってきた。両監督がこの映画を作ることを心から楽しんだからこそ、本作が、大人たちにも子供のころのワクワクした気持ちをよみがえらせ、ドラえもんとの別れを切なく感じさせる作品になったのだろう。

(C) 2014「STAND BY MEドラえもん」製作委員会

映画『STAND BY ME ドラえもん』は8月8日より全国公開

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