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能年玲奈
『海月姫』
エンドロールにまで詰まった楽しい雰囲気
『海月姫』能年玲奈 単独インタビュー

取材・文:永野寿彦 写真:奥山智明

テレビアニメ化もされた東村アキコの人気漫画「海月姫」が実写映画化。クラゲを愛するオタク女子の夢と恋を、ユニーク極まりない登場人物たちが巻き起こす騒動と共に描くシンデレラストーリーだ。本作でこれまでにないオタク女子という役に挑んだ能年玲奈が、こだわりの役づくりや大好きなコメディー映画だからこその撮影現場の楽しさについて語った。

■クラゲ好きのオタク女子に共感

Q:主演に決まったとき、どう思われましたか?

「コメディーができる!」と思ってワクワクしました。コメディーが大好きなんです。今回はコミックが原作なので、コミックならではのオーバーな表現もリアルに見えるように、お笑い芸人さんたちのコントを見て研究しました。人気のある作品ですから、原作ファンの方は譲れないだろうなというポイントを見つけて、それを大切にしつつ、月海というヒロインのことを考えていきました。

Q:月海という女性をどういう人物だと思いましたか?

月海はクラゲ好きのオタク女子。いわゆる「オシャレ人間」と話すときは目も合わせられず「拒否!」って感じなのに、クラゲに集中すると、そんなことも全部お構いなしになってしまう、切り替わりが面白い女のコだなと思いました。そういう何かを始めると夢中になってしまうところは自分にもあるので、共感できました。

Q:能年さん自身と似ているところがあると?

わたしも何かをやり始めると、やり遂げるまで終わることができないんです。月海が洋服を縫っているときに、目の前の布だけに集中するじゃないですか。ほかの人の声も聞こえず「動かないでください!」と自分勝手になってしまう。わたしもミシンを使って洋服を作ることが好きなので、その気持ちはよくわかりました。ほかはダメダメなのに、一点にだけパワーを発揮するという月海には、すごく魅力を感じました。そんな彼女のナイーブなところを内向させるのではなく、外に放出できるような表現ができたらいいなって思いながら演じました。

■三つ編みの編み方一つにもこだわった役づくり

Q:コミックのイメージが固まっている役を演じるにあたって、難しいところはありますか?

やはりビジュアルがあると難しいですよね。原作ファンの方はそのイメージを大切にしているので。実は、最初はショートヘアのままいこうという案があったんですよ。でも、わたしは原作のイメージが好きなので、衣装合わせのときに「絶対三つ編みがいいです!」って言い張って(笑)。

Q:そこにこだわったんですね。

通していただきました(笑)。それで三つ編みになったんですけど、当初はきちっとした清楚(せいそ)系の編み方だったので「もっとモシャモシャの極太がいいです!」って徹底してこだわっちゃいました。月海の団子みたいな三つ編みがいいなって思っていたので。衣装のスエットもボロボロというか、使い古した感じのものをわざわざ選んで。月海って、最初から穴が開いていても着ちゃいそうな人ですから。

Q:役づくりには徹底するタイプなんですね。

そうですね。撮影に入る前からかなり作り込んでいきます。今回の作品でいうと、わたし自身が共感している部分と、原作ファンがどこを好きなのかというのを考えながら解釈して、役を広げていく。その上で、現場ではモニターで確認しながら、「こういうのはどうだろう?」と常に新しいアイデアを考えて、役を豊かにしたいと思いながら演じていました。特に、コメディーの場合は現場でのリアクションがすごく大事だと思っていて。その役をちゃんと理解していないと、反射的な反応もできないので、すごく気を付けました。

■原作から抜け出てきたようなキャストとの楽しい現場

Q:物語のメインステージとなる天水館の外観、セットも原作通りのイメージでしたね。

原作そのままだったので楽しかったですね。イメージ図を見せていただいたときから、すごいなあと思っていたんですけど、実際セットを前にしてみると和むというか、初めて来たはずなのにすごくなじんじゃいました(笑)。月海の部屋も一面クラゲの絵とか写真とかで埋め尽くされているので「なるほど、こんなところに住んでいるのか」と妙に納得しちゃって、ホントにクラゲだけに集中力を発揮する女のコなんだなと実感が湧きました。

Q:蔵之介役の菅田将暉さん、天水館の住人「尼~ず」の皆さんもまるで原作から抜け出てきたような感じで。

本読みのときから、原作のユニークな登場人物たちが目の前にいたので「自分も頑張らなきゃ!」と刺激を受けました。菅田さんは10キロぐらい痩せたと聞いていたんですけど、実際見てすごかったですね。女装をされるので、お肌のケアもぬかりなくて、女性として見習わなきゃって思いました(笑)。皆さんと一緒にいると、それだけで楽しくてモチベーションが上がりました。

Q:一番印象に残っているシーンは?

「尼~ず」ですき焼きをしているシーンは好きですね。蔵之介に向かって「出て行け!」とののしっているのに、同時に松阪牛やマカロンを奪おうとするせこさが好きで。あと長谷川(博己)さん演じるシュウシュウと熱帯魚店で握手するシーンが好きです。

Q:その楽しい雰囲気は、映画のエンドロールにまで詰まっている感じがしましたね。

カメラが回ると、みんなと一緒に演じていることが楽しくて、監督の存在も忘れてしまうくらいで(笑)。これは監督にはヒミツですけど(笑)。実際には結構長回しをしているシーンもあったのですが、カットされているところもあるんですよ。そんなシーンが、最後にちょっとだけ垣間見えるサービスもあるくらい、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような映画だと思うので、お祭り気分で劇場に来ていただいて、楽しんでもらえたらうれしいですね。

インタビュールームに現れた能年の、劇中から飛び出してきたような、クラゲをモチーフとしたドレス姿のキュートさは、まるでアイドルのよう。しかし撮影を終えた後、インタビューを始めると、静かに熱く役づくりを語る若き女優が目の前にいた。その言葉の一つ一つからは「演技をすることが楽しくて仕方ない」という思いがヒシヒシと伝わってくる。コメディエンヌとしてまた一歩成長を遂げた能年。その魅力は、スクリーンで感じ取ることができるだろう。

ヘアメイク: 平井 寛功
スタイリスト: 岡本 純子

映画『海月姫』は12月27日より全国公開

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