シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
.
新垣結衣
『くちびるに歌を』
15歳の頃の自分は「ザ・思春期」!
『くちびるに歌を』新垣結衣 単独インタビュー

取材・文:石塚圭子 写真:尾鷲陽介

長崎県・五島列島の雄大な自然を背景に、東京からやって来た美しい臨時教員と、合唱部の中学生たちの交流を描く『くちびるに歌を』。まさに現代版『二十四の瞳』ともいえる、みずみずしい感動の人間ドラマが完成した。心に傷を抱えた主人公を演じたのは、りんとした美しさと独特の陰を併せ持つ女優・新垣結衣。初の教師役にして、天才ピアニストという難しい役どころに挑戦した彼女が、撮影の裏話や自身の学生時代の思い出を振り返った。

■アンジェラ・アキの名曲の2番に共感

Q:アンジェラ・アキの楽曲「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」をモチーフとした、今回の企画を聞いたときの気持ちは?

一つの曲から、ドキュメンタリー、小説、そして映画化と、こうも形を変えて人に発信されるものって、なかなかないと思いました。最初に台本を読んだときは、王道の青春ストーリーという印象だったんですけど、実際に演じてみると、想像以上に「大人の心に響く」作品でしたね。でも、もちろん現在15歳の人たちや、これから15歳になる人たちには、今すごく美しい時間を過ごしているんだっていうことに気付いてもらえる映画でもあるはず! と思いました。

Q:映画の主題歌でもある「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」に対しては、どのような印象を持っていましたか?

この映画への出演が決まる前に、じっくり歌詞を聴く機会があったんです。わたしは、どちらかというと、大人の自分が15歳の自分に手紙を書いて、励ましている2番の方に共感しました。あぁ、わたしが15歳の自分に手紙を書くなら、こういうことを言ってあげたいなという思いが、そのまま記されていて。それを力強いメロディーとシンプルな言葉に乗せて、ここまで表現できるなんて、すごいなって感動しました。

Q:合唱部の生徒役の皆さんの歌う姿を間近でご覧になっていかがでしたか?

撮影の回数を重ねるごとに、生徒役の皆さんの歌声がどんどん良くなっていくさまを目の当たりにして、すごくうらやましかったですし、気持ち良かったです。特にコンクールのシーンをスクリーンで観たときは感動しました。みんな今まで見たことがないくらい、本当にいい表情をしていて。あのシーンは最後の方に撮ったので、撮影期間中に生徒たちの間で生まれた感情が表れていたのかもしれません。とても美しかったですね。

■ピアノ経験ゼロでピアニスト役に挑戦!

Q:ピアニストという役づくりのためにされた、ピアノのレッスンについて教えてください。

実家にはピアノがありましたが、教室に通って習ったことは一度もなくて。そもそもピアノの鍵盤の前に座ることに慣れていないし、どのくらいのボリュームの音を出すのかさえ、全然自信がなかったんです。練習期間が3か月とはいえ、レッスンは数週間に1回のペースだったので、基本は全て飛ばして、とにかく映画に使われる部分を重点的に。先生にしっかりご指導いただいて、見よう見まねで必死に鍵盤の位置と音を覚えました。

Q:ピアノの練習で一番大変だったことは?

電子ピアノを買って、いつも家で復習していたんですが、求められるスピードになかなか追い付けなくて。あと、一人で練習しているときはうまくいくのに、本番で生徒たちを前にすると、プレッシャーで間違えちゃう。緊張すると指が動かなくなったり、鍵盤の白黒がチカチカして見えたりするんですよ(苦笑)。でも、わたしが演じた柏木ユリも、きっとこの状態は経験したことがあるだろうと思って、それはそれで受け止めて。演奏シーンは、ちょっと泣きそうになりながら、やっていました。

■初の教師役、生徒たちとの交流は自然体で

Q:初めての教師役ということで、意識したことはありますか?

柏木ユリは臨時教員であり、ピアニストという設定だったので、特に意識はしませんでした。ストーリー的にも、柏木が生徒たちからいろいろ教えてもらうことが多かったので、先輩風を吹かさなくてもいいかなと思って。特に撮影が始まった頃は、生徒役のみんなとは、ほぼしゃべっていないと思います。もちろん話し掛けられたら話しましたし、目が合えばそらすこともありませんでした(笑)。無理をせず、自然にまかせていました。

Q:撮影開始から終了時までの間、生徒役の子供たちとの関係はどのように変わりましたか?

1か月半ほとんど五島に滞在して撮影していたので、島の皆さんやスタッフの皆さんが何回かバーベキュー大会を開催してくれたんです。で、何回目かのバーベキュー大会のとき、ナズナ役の恒松祐里ちゃんに「あ、しゃべっていいんですね」って言われました(笑)。映画では柏木と生徒たちも、わかりやすい言葉や行動で距離感を表していないけれど、合唱を通して、確実に信頼関係が生まれていく。だから、実際に新垣結衣と生徒を演じたみんなも、わかりやすい言葉はそんなに交わしていないけど、そういう言葉ではできない距離感みたいなものを表せたらいいなあと思いました。

■15歳の頃の自分は「ザ・思春期」!

Q:学生時代に出会った中で、印象に残っている先生は?

たくさんいます! でも、一番近い記憶としては、高校3年生のときの担任の先生ですね。英語を教えていたベテランの女性の先生。その頃のわたしは仕事で忙しく、あまり学校に行けなくて、卒業できるかできないかの瀬戸際だったんです。なので時間があるときは毎日居残りをして、レポートを書いていて。でも教室で独り、何か寂しいな……って思いながら、レポートを書いていると、先生がちょこちょこ教室に入ってきては「どう? 進んでる?」って、声を掛けてくださるんですよ。ものすごくすてきな笑顔で。普段授業をしているときは、結構厳しい先生なんですけど。怒るっていうより、お尻をポンとたたいてくれるような感じで見守ってくれて。それを心の支えに、無事卒業しました(笑)。

Q:15歳の頃の自分は、どんな女の子だったと思いますか?

ザ・思春期(笑)。本当に誰もが考えそうなことで悩んで「一人で抱えています!」みたいに思っている時期もあったし。中学1年生から東京に通って仕事をしていたので、仕事自体はすごく楽しかったんですけど、やっぱり一人で上京してストレスがたまっていたのか、家に帰ってくると、家族にあたってしまうこともあって……。今思えば、甘えていたんだなぁと思います。

Q:今から15年後の自分に手紙を書くとしたら、どんなメッセージを送りたいですか?

うーん……。「どんな生活をしているかわからないけれど、今のわたしがずっと目標として掲げている“何事も楽しむ”ということが、ある程度達成できていたら何よりです。ありがとうございます」かな(笑)。

端正な美貌に加え、真面目で落ち着いた雰囲気を感じさせる新垣。「リーガルハイ」などテレビドラマで見るコメディエンヌの彼女もキュートだが、今回のようにクールな大人の女性の役も、実はかなりのハマり役だ。洗練された都会の空気をまとったミステリアスな臨時教師が、島の生徒たちにとって、どれほど特別な存在であったかが、彼女を見ているとリアルに伝わってくる。新垣と合唱部キャストの生み出す珠玉のハーモニーは、世代を超え、観る人に勇気を与えてくれるに違いない。

ヘアメイク:藤尾明日香(Otie)
スタイリスト:道券芳恵

(C) 2015 『くちびるに歌を』製作委員会 (C) 2011 中田永一/小学館

映画『くちびるに歌を』は2月28日より全国公開

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク
  1. 記事
  2. 2015年
  3. 2月
  4. 20日
  5. 『くちびるに歌を』新垣結衣 単独インタビュー