シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
三浦春馬
『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』
三浦春馬が抱えていた不安
『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』三浦春馬 単独インタビュー

取材・文:斉藤由紀子 写真:高野広美

諫山創による人気漫画の実写映画・前編『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』が、いよいよ公開となる。人を捕食する巨人に支配された世界を舞台に、巨大な壁を築いて平和を保っていた人類と、壁内部に侵入した巨人たちが繰り広げる死闘。原作で描かれた衝撃的な世界観を、特撮映画の第一人者・樋口真嗣監督ほか、日本を代表するクリエイター陣が鮮烈に映像化したのが本作だ。巨人にあらがう主人公のエレンを演じた三浦春馬が、作品への熱い思いや撮影時のウラ話を明かした。

■まさかの主役にビックリ仰天!

Q:実写映画『進撃の巨人』の主役に抜てきされたときのお気持ちは?

このお話を頂く1年くらい前から、実写化に向けて動きだしているというウワサを聞いていたんです。もう撮り終わっているんだろうなと思っていたので、マネージャーから台本を渡されたときは、「えっ? まだ撮っていなかったんだ!」という感じでした。本当にビックリしました。それと同時に、僕も原作のファンだったので、空中を自由に飛び回れる立体機動装置(巨人戦用の装置)を実写でどう表現するのか、すごく興味がありました。映像の中で、「早く立体機動装置を駆使して動き回りたい」と思いましたね。

Q:立体機動装置の実写化は、原作ファンなら誰もが気になるところですよね。あの装置を現場で身に着けたときは、いかがでしたか?

立体機動装置本体とワイヤーを入れておく樽(たる)のような装置がありまして、その二つをつなぐベルトをはめるときに「ガチャッ」っていい音がするんです。それが毎回、ちょっとした快感でした。

Q:きっと、「進撃の巨人」の世界をリアルに感じる瞬間だったんでしょうね。

そうですね。でも、撮影の当初は、自分一人で装着することができなかったんです。僕が三浦(貴大・エレンと共に巨人と戦うジャン役)くんの装置を着けてあげたり、逆に三浦くんに着けてもらったり。そういうちょっとしたコミュニケーションが、ごく自然な流れの中で、できていたのも面白い経験でした。役者同士がお互いを思いやれていた瞬間だったと思います。

■過酷なアクション撮影で、共演者から元気をもらった

Q:空を飛び回るワイヤーアクションはいかがでしたか?

本番に入る前に、みっちりワイヤーアクションの練習をさせていただいたんですが、ワイヤーとはいえ空をグルグル飛んでいるという時間が、純粋に楽しかったです。本番では、「立体機動装置の操作で飛び出したワイヤーを壁に突き刺し、それを巻き取りながら飛んでいく」という芝居をしたのですが、その動きがうまくできなくて何度も撮り直しました。あと、ワイヤーのハーネスが緩んでしまったら危険なので、かなりきつく締めるんです。かなり長時間締めているので、タオルのようなものを入れてもやっぱり痛かったです(笑)。

Q:かなり過酷な撮影だったんですね。

練習をしていない動きを突然現場でやることもあって、それにはいつも一瞬ひるみました。だけど、一緒にアクション撮影をやった水原(希子・エレンの幼なじみミカサ役)さんが、「できなかったらもう一度やらせてください」といつも言っていて。水原さんはあんなに細い体なのに、負けず嫌いで頑張り屋なんです。そんな水原さんの様子を現場で見ていて、すごく元気をもらいました。

Q:では、共演者の皆さんで、どうしたら体への負担を軽減できるのか相談することもあったのでしょうか?

それは本郷(奏多・エレンの親友アルミン役)さんが一番うまかったです。「立体機動装置を着けたまま、できるだけ楽な姿勢で椅子に座る」という特技を編み出したんですよ。言葉で説明するのがすごく難しいんですけど、まず膝立ちをしてから、小さな椅子を腰と床の間に入れて座るんです。

Q:三浦さんもその方法を試したんですか?

やりました。確かに楽だったんですけど、僕はそこまでしなくても大丈夫かなって思っちゃいました(笑)。

■特撮シーンで味わった緊張感と不安

Q:巨人の捕食シーンなど、特撮の現場は実際にご覧になりましたか?

特撮チームの現場には、時間があるときに行ってごあいさつをさせていただきました。何だか別の作品を撮っているような感じでした。巨人役の出演者の皆さんが、円形に並んだパイプ椅子に座っていて、「お疲れさまでーす」って言いながらコーヒーを飲んでいるという(笑)。

Q:それは意外なエピソードですね。

面白かったです。でも、いざ本番となると皆さん真剣な熱を持っていて、かなり緊張感のある特撮でした。僕は特撮という現場を経験したことがないですし、見学をするのも初めてだったんですけど、こんなにも緊迫した雰囲気でやるんだってことに驚きました。

Q:その巨人のシーンを映像で観てどうでした? 原作よりもホラーっぽいような感じを受けましたが。

そうですね。巨人の肌質だったり、微妙な目の動きだったりとか、ヨダレがしたたり落ちる感じだとか、原作とは少し違った映像ならではのリアリティーが表れているので、その恐怖は強く感じます。

Q:巨人と対峙(たいじ)する場面で叫びまくるエレンが印象的ですが、心理的に追い込まれることはなかったですか?

追い込まれたということはありませんでした。逆に、叫ぶという行為が内側にあるものを解放していくことにもなっていて、芝居をしながらも発散していたような感覚でした。むしろ、僕たちは何もないグリーンバックで想像の巨人と戦う芝居をすることが多かったので、「これが映像になったときに、きちんと成立するのか?」という不安が常にありました。その不安といかに付き合うのか、という点が、今回の少し大変なところではありました。

■原作漫画ともアニメとも違う実写版の面白さ

Q:エレンを演じるにあたって、原作は意識したんですか?

実写版にも原作と重なるエピソードがいくつも出てくるので、漫画やアニメの雰囲気や、この物語が伝えたいことには敏感でいたいと思ったんです。なので、原作と重なりそうなシーンを撮る前は、漫画を読んで、アニメも観させてもらいました。主人公たちがどんなカットでどういう表情をしていて、どんな感情がそこにあったのか、その場面をピックアップして慎重に観ていきました。ただ、面白過ぎてついその先も観ちゃって、「あっ、もう寝る時間だ!」みたいなことも多々ありました(笑)。

Q:そんな原作の面白さを踏襲しつつも、新たな要素が多いことも実写版の見どころですよね。

原作漫画ともアニメとも違うシナリオになっているんです。原作と同じく非現実的な要素が多いのですが、実写版のエレンには普遍的なテーマが少し強く描かれているように思います。それは誰もが感じるであろう、「やりたいことに対して、もっと熱を帯びていたい」という、現在の自分に対する焦りなんですよね。そこからエレンの日常を切り取って成長を描いているところが、多くの方に共感してもらえる要素になっていると思います。大迫力の映像だけでなく、心理描写にも注目してもらいたいです。あと、「自分にとっての巨人、自分にとっての壁とは何なのか」ということも、頭の片隅でいいので感じながら観ていただけると、また違った「進撃の巨人」の楽しみ方ができるのではないかと思います。

インタビュー後に、「あんなに大人数の方々と関わる作品は初めて。現場で本当に戦っていたような感じでした」と言いながら、ホッとしたような表情を浮かべた三浦。これだけの話題作で主役を務めることが、どれほど大きな出来事だったか、推して知るべしだろう。もしかしたら、三浦をはじめとするキャスト・スタッフ陣にとっては、本作を世に出すことこそが、越えなければならない巨大な壁の一つだったのかもしれない。映像化不可能といわれた原作の実写化に挑んだ彼らに、心からの拍手を送りたい。

(C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 (C) 諫山創/講談社

映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』は8月1日より全国公開

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク
  1. 記事
  2. 2015年
  3. 7月
  4. 30日
  5. 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』三浦春馬 単独インタビュー