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やっぱ日本の特撮ヒーロー、アメリカでもアツかった…!?現地に行ってみた

今週のクローズアップ

 今年も特撮ヒーローがアツい夏が来る! 「仮面ライダー」「スーパー戦隊」シリーズ恒例となった夏の劇場版が控え、「仮面ライダー」テレビシリーズは秋に向けてクライマックス。そして今年は「スーパー戦隊」のアメリカ版である映画『パワーレンジャー』が公開される。例年よりにぎやかになりそうな今年の夏を前に、果たしてアツいのは日本のファンだけなのか。そんな疑問を胸に米国・ロサンゼルスに飛び立った……。(編集部・小山美咲)

まったくはしゃいでいるように見えない件

 唐突なる渡米。東映の方からお借りしたハッピを着てハリウッドサインの前ではしゃいでいる間に、ジャパニーズヒーロー好きのアメリカ人・スコットさんが、車をかっ飛ばして待ち合わせ場所に来てくれた。うっかり取材日を勘違いしていたスコットさんだったが、たぐいまれなる臨機応変さでやって来た。しかもでっかいピザをご馳走になってしまった。「僕が日本に行くと日本の友達が僕を歓迎してくれる。同じように僕もアメリカに来てくれた友達をもてなしたいんだ」なんて笑ってる! This is an American nice guy ~!

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お話をうかがったスコットさん

 そんなこんなで取材を引き受けていただいたスコットさんは、おもちゃのコレクターであり、アメリカで2年ごとに開催される「パワーレンジャー」のコンベンション「パワーモーフィコン」や日本の特撮ものを扱う「ジャパン・ワールド・ヒーローズ」などの主催者。あらゆる日本のヒーローを知り、今は日本で放送中の「宇宙戦隊キュウレンジャー」がお気に入りとのこと。これはアメリカの特撮ファンの実態を探れそうだぞ!

車窓から激写した看板。画質よ…

 取材は3月。ちょうど現地では映画『パワーレンジャー』の公開が迫り、街には大きな看板がたくさん。「パワーレンジャー」というのは、「スーパー戦隊」のアメリカ版ローカライズ作品として24年続くシリーズ。「恐竜戦隊ジュウレンジャー」をもとに制作がスタートして以降、日本で放送された戦隊をベースに物語が作られている。それが今回、ハリウッドで映画化。シリーズ1作目のリブートとなり、現代的かつ本格的なアクションヒーローものとして生まれ変わる。

 と、映画サイトらしく紹介してみたものの、ファン心としては“リメイク”とか“キャスト変更”とか完全に不安になる響き。スコットさんに率直な意見を尋ねてみた。「期待しているよ。予告編も観たけどすごくよかった。一部には自分が観ていたシリーズが一番でそれ以降を認めないような、新しいものすべてに偏見を抱くファンもいるけど(笑)。でも、いつでも初めて観たシリーズが自分の思う“パワーレンジャー”になるものだよね」。ぐ、ぐぬぬ。

映画『パワーレンジャー』の戦士たち - (C) 2016 Lionsgate TM & (C) Toei & SCG P.R.

 ではでは、かなり近代的に進化したことはどうだろうか。ほら、スーツとかすっごく変わって、いつアベンジャーズに加わってもおかしくない、あまりにもカッコいい仕上がりになっていることについては……「子供向け番組から劇場フランチャイズ作品にするためには必要なことだったんだ。日本の(戦隊&ライダーの)夏の映画とは違う。僕は大好きだけど、ハリウッドで映画展開するには大きな予算で大規模なものに変えなきゃいけなかった。だから、90年代のものから2000年代的なものにするには、そうした変化は必要だったと思うよ」。カンカンカン!(※ゴング音)

スーパー戦隊&仮面ライダー今夏の劇場版ビジュアル - (C) 劇場版「エグゼイド・キュウレンジャー」製作委員会 (C) 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映 (C) 2017 テレビ朝日・東映 AG・東映

 「今回の映画は、まったく新しいものとして今の子供たちに向けた作品になっているよ」と世界を照らすような笑顔を向けてくれたスコットさんに歯が立たず、試合終了(何を聞き出そうとしたんだ)。もちろん映画は古参ファンがテンション上がっちゃう演出もありつつ、現代の技術をフルに使った変身&バトルシーンは見もの! 気を取り直して、そんな『パワーレンジャー』のベースになった日本の「スーパー戦隊」については……「アメリカでもどんどん広まっているよ。『パワーレンジャー』のファンになった人が昔のシリーズを観るようになり、日本の『スーパー戦隊』に興味を持つようになるという感じでね。特に10代から大人の『パワーレンジャー』視聴者の多くは『スーパー戦隊』も観ているよ」。

 そして、「スーパー戦隊」シリーズを観たら今度は「仮面ライダー」に、次は「ウルトラマン」に……と広がっていくそう。「気がついたら沼にどっぷりつかっている」ということか。これは日米共通ですね。「スーパー戦隊」で言えば40年以上の歴史! 日本の特撮沼は深いぞ~! 「『スーパー戦隊』『パワーレンジャー』共に歴史のある作品だから、新しいものもあれば古いものもある。現行のシリーズを観ている子供が過去のシリーズにお気に入りを見つけるかもしれない。その歴史こそが人気につながっているとも言えると思うね」。

 スコットさんがあまりに仏すぎるので、「正直、両方観ている立場で『スーパー戦隊』と『パワーレンジャー』どっちの方が好きですか?」とぶしつけな質問をかましてみると、なんとスコットさんが頭を抱えた……悩んでいる! 新しいものを受け入れられない悲しき懐古厨の性についてご意見を頂戴しようとしたときには、仏スマイルでかわされたというのに。おっと、スコットさんが口を開いた。「どちらも好きだけど、今は『キュウレンジャー』の大ファンなんだ。今この瞬間では『キュウレンジャー』が最高だね」とかみしめるように語るスコットさん。「これまでの戦隊と比べて人数が増え、宇宙を舞台にいろいろな種族が登場する。そして悪の帝国、統治に対して戦うんだ。『スター・ウォーズ』みたいだよね。衣装やスーツもすごくいい。アメリカでも親しまれやすい題材で成功すると思うよ」。となると、現在「パワーレンジャー」としては、2つ前の「手裏剣戦隊ニンニンジャー」がベースのシリーズが放送中だが、今後の展開にも期待できる。

スコットさん激推しの宇宙戦隊キュウレンジャーさんがこちら - (C) 2017 テレビ朝日・東映AG・東映

 ちなみに「仮面ライダー」シリーズでは、最近の作品が特に好きで「仮面ライダーオーズ/OOO」にどハマりしたのだとか。そして、アメリカのファンも作品の楽しみ方の一つに玩具収集がある。小さなものから始めて、どんどん大きいものに手を出してく……やっぱり沼! スコットさんが育ったのは日本のおもちゃがアメリカにたくさん入って来た頃で、バンダイ製のロボットやフィギュアに親しみ、「ガンダム」や「ファイブスター物語」にハマったそう。昔のグッズは見つけるのも大変だが、かなりのお宝も集めているという。「クオリティーの違い」から、アメリカのファンもみな日本製のグッズを欲しがる。「お金を多く払ってもクオリティーを求めるよ。塗装や可動など、日本のバンダイのグッズはすごくいい。バンダイ・アメリカは子供向けにしようとするのもあって、もっと安く作ろうとするんだ。だから大人のコレクターは日本製のトイを買うよ」。ウェルカム!

LAにも日本の特撮ヒーローグッズがそろうお店が - 協力:JUNGLEロサンゼルス店
みんな大好き「特命戦隊ゴーバスターズ」のグッズも…これでレッツモーフィンできるぞ! - 協力:JUNGLEロサンゼルス店
書籍もそろう - 協力:JUNGLEロサンゼルス店

 「パワーモーフィコン」の主催者であるスコットさんは、映画の公開により次回の開催ではこれまで以上に多くのファンが集まることを期待していた。実際、日本より一足先に公開を迎えた全米ではヒットを記録。スコットさんの「相乗効果でテレビシリーズの人気も高まるはず」という言葉も現実のものになりそうだ。そしてスコットさん理論でいけば、ゆくゆくは日本の特撮に行きつくのが定め……アメリカの国土のように広いスコットさんの懐に包まれて、自身の幼稚な態度への反省を胸に東京行きの飛行機に乗り込んだ。

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