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『バズ・ライトイヤー』泣けた…!やっぱりピクサー作品は最高

バズ・ライトイヤー

 1995年、たった1作でピクサー・アニメーション・スタジオの名前を世に知らしめた映画『トイ・ストーリー』。以後シリーズを重ねるごとにキャラクターの人気も作品のクオリティーもゆるむことなく、『トイ・ストーリー3』と『トイ・ストーリー4』では日本国内の興行収入が共に100億円を突破したというミラクルを巻き起こしました。

 そんなシリーズでカウボーイ人形のウッディと並ぶメインキャラクターでスペース・レンジャーのおもちゃ、バズ・ライトイヤー。そのバズの原点を描く映画バズ・ライトイヤー』が7月1日より公開されます。舞台はもちろん宇宙! それでいてまるで『トイ・ストーリー』と相似形をなすような友情の物語で、時の流れがもたらす切なさを描き、取り返しのつかない失敗をしてしまった人間が再び力強く立ち上がろうとする感動作でもあるのです。

なぜ、アンディはバズを好きになったの?

バズ・ライトイヤー

 『トイ・ストーリー』は本当にステキな映画でした。「僕らの目が届かないところで、おもちゃたちが自由に動き回ったり、お話していたら?」そんな子ども心から直に生まれたような物語です。カウボーイ人形ウッディらおもちゃにとって大切なのは、その持ち主であるアンディ少年と一緒に遊び、いつもそばにいる事。だから誕生日やクリスマスに、新しいおもちゃが仲間入りすることは自分の存在を危うくするドキドキな日なのです。

 そんなある日、アンディのもとに、大きな宇宙船型の箱に入ってやってきたバズ。当初、バズは自分がおもちゃだなんてさらさら思っていないため、ウッディは「こんなもんプラスチックだ。飛べやしないぜ!」「レーザーだって? 電球が光ってるだけだ!」とその姿にイライラさせられます。バズはおもちゃであるという現実と、自分はスペース・レンジャーだという誇りと、その認識のズレでクスっとした笑いを生む存在です。それでいてアンディにとっての一番のおもちゃの座を奪われそうで、二人の間には険悪なムードが漂うのです。

 ウッディにそれほどの危機感を抱かせる、アンディ少年を夢中にさせる、バズ・ライトイヤー。「アンディがバズ・ライトイヤーを欲しくなったのは、どんな映画を観たからなのだろう?」アンガス・マクレーン監督が抱いた素朴な疑問、それがこの映画の出発点。『バズ・ライトイヤー』はいわば『トイ・ストーリー』のエピソードゼロなのです。

明かされていなかったバズと親友の秘話

バズ・ライトイヤー

 この映画でのバズは有能なスペース・レンジャーで、宇宙を飛び回っています。着ている宇宙服もおもちゃのバズより抑えた色合いですが、例の白地に黄緑や紫の配色。そしてその顔つきは凛々しい眉毛と強い意志を感じさせる目ヂカラのある瞳、がっしりとしたアゴが印象的。見た目はおもちゃとはかなり違うのに、一目であのバズだとわかります。それでいて、なんだか妙にカッコいい!

 バズ役のクリス・エヴァンスの声による演技もそう思わせるのかもしれません。『アベンジャーズ』シリーズでキャプテン・アメリカを演じる、正真正銘のヒーローもののスター。日本語版では鈴木亮平が演じるのも納得です(見た目もピッタリ!)。

 映画の冒頭、バズは致命的なミスを犯します。スペース・レンジャーとして有能であるのを自負するゆえに自分の力を過信し、1,200人もの乗組員と共に危険な惑星に不時着します。責任を、痛いほどに思い知るバズ。遥か彼方にある地球へ乗組員を無事に帰還させるため、命の危険が伴う“ハイパー航行”に何度もチャレンジしていきます。

バズ・ライトイヤー

 そんなバズに寄り添うのが、同じスペース・レンジャーでバズの相棒であるアリーシャ。彼女はしっかり者でスペース・レンジャーとしても優秀、それでいて心優しい女性です。バズが宇宙服の左腕に仕込まれた録音装置に向かって、「バズ・ライトイヤーの航星日誌、宇宙歴3901年。この惑星に不時着して1年……」と何事か吹きこんでいると、「またナレーションしてたの?」とツッコんだりする、気の置けない関係でもあります。

 『トイ・ストーリー』シリーズを観てきた人間は「ああバズだ、あの仕草!」とひざを打つことになるシーンなのですが、アリーシャはバズを心から信じたまさに親友でした。

ここに泣ける!胸アツなシーン

バズ・ライトイヤー

 この映画の感動ポイントとは? 一言でいうとそれは“時の流れの残酷さ”かもしれません。バズは誰よりも強い責任感から、リスクを伴うハイパー航行のテスト飛行を行うパイロットの役回りを自ら買って出ます。

 光の速さに近いようなスピードで進む宇宙船に乗って移動すると、宇宙船のなかの時間はゆっくりと進むーー。これまで幾多のSF映画で描かれてきた「ウラシマ効果」によって、命懸けの航行を終えて数分で基地に戻ると、そこでは多くの時間が過ぎているのです。

 成功するまで、止めるわけにはいかない。バズは自らの命の危険を顧みることなくテスト飛行に何度も挑み、失敗を繰り返します。基地に戻るたびにアリーシャのオフィスを訪ねると、そこにはきっちりと歳月を刻んだ彼女の姿が。レンジャーとして経験を重ね、スター・コマンドの指揮官にまで上り詰めるアリーシャ。ひとりの女性としても愛するパートナーができ、子どもに恵まれ、家族をつくり、年老いていく。まるで彼女の人生を高速回転で眺めるようです。

バズ・ライトイヤー

 そのときどきで、バズとアリーシャは視線を交わします。充実した確かな人生を送るアリーシャの姿を毎回どこか呆然と見つめるバズと、彼が無事に帰ってきたことを喜びながら、またかけがえのない時間を失ってしまったその悲しみの心に寄り添うアリーシャ。その悲しみは特殊な設定だからこそ際立ち、観る者の心を確実につかんでいくのです。

 時の流れの残酷さがもたらす悲しみーー。よく考えたらそれは『トイ・ストーリー』シリーズの十八番でもあります。おもちゃにとっての至福は、自分を愛してくれる子どもと楽しく遊ぶこと。でも子どもはいつか成長し、大人になり、おもちゃでは遊ばなくなります。毎日毎日あんなに楽しい時間を過ごしたのに、メイクやファッションやスポーツや恋に夢中になって、おもちゃになんて見向きもしなくなるのです。

 その、切なさ。それは今回描かれる十字架を背負ったバズの苦しみとも呼応します。多くの人の人生を変えてしまう失敗をしたバズがいかに立ち上がり、そこからなにを学んで成長するのか? 『バズ・ライトイヤー』はそんな、誰もが共感必至の人間ドラマとしての奥行も備えているのです。

相棒はまさかの猫型の友だちロボット!?

バズ・ライトイヤー

 ハイパー航行を繰り返し、周囲と異なる時間を孤独に生きていたバズの相棒は、アリーシャがプレゼントしてくれた猫型の友だちロボットのソックス。愛らしい上目遣いとネコちゃんらしいカワイイ動きだけですでに癒し効果は絶大。それだけじゃなくてビックリ! な技を備えてもいて、画面に登場するや、鮮やかにその場のすべてをかっさらうのがソックスです。

バズ・ライトイヤー

 そうしてハイパー航行を経た62年以上後の世界で、バズはどこか風変りな仲間たちと出会います。カッコよかったおばあちゃんに憧れて新米チーム「ジュニア・パトロール」の一員となるアリーシャの孫イジーほか、爆弾づくりの名人で仮釈放中のダービー、失敗ばかりで戦闘能力ゼロのモー。彼らを前に「新人の君たちを危険な目に遭わせられない」とこれまでのようにひとりで困難を抱え込もうとしていたバズに、「助けてほしいんじゃないの。仲間になりたいの!」と言い放つイジー。

 彼らとの関わりあいのなか、バズは本当の意味で仲間思いのリーダーへと成長していきます。『トイ・ストーリー』で「私は誰も助けられない……」とうなだれていたおもちゃのバズが、ウッディと力を合わせて困難を乗り越え、絆を結び、仲間思いのリーダーへと成長するように。

バズ・ライトイヤー

 映画にはハラハラどきどきさせる場面が続出。映像表現の美しさに目を奪われ、アクションアドベンチャーとしての見どころも満載です。まるで全編クライマックス! そんな映画を観ながら、われわれはアンディ少年の感動を追体験していくことになります。

 バズのキメ台詞「無限の彼方へ、さあ行くぞ」はいかに生まれるのでしょう? 映画を観終えたころにはバズがよくいう一言もいくつかの癖も、違った響き方をするかも。そしてなにより、おもちゃのバズが欲しくなっちゃうかもしれませんね。(文・山崎麻見)

映画『バズ・ライトイヤー』は7月1日より全国公開
公式サイトはこちら

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