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【ネタバレ注意】『名探偵コナン 黒鉄の魚影』をもっと楽しむ!トリビアまとめ

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(C) 2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 劇場版『名探偵コナン』の第26作『名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)』が、4月14日に全国の劇場で封切られた。公開初日で観客動員58万人、興行収入8.5億円を突破する大ヒットスタートを記録(シリーズNo.1興収を記録した前作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』の163%)するなど、破竹の勢いを見せる本作。その理由の一つが、今回のストーリーの中核である「灰原哀と黒ずくめの組織」だ。

 黒ずくめの組織とは、「名探偵コナン」の主人公である高校生探偵・工藤新一の姿を小さくし、“江戸川コナン”として活動せざるを得なくさせた巨大な犯罪組織。つまり、コナンの宿敵でもある。そして灰原哀(宮野志保、組織内でのコードネームはシェリー)は、その薬「APTX4869」を生み出した人物(元々は別の用途のために開発されたが、ごくまれに副作用で幼児化が発生)。コナンと同じく幼児化して組織から逃げ出し、いまでは行動を共にする心強い仲間となった。その両者がメインで描かれるということは、「名探偵コナン」シリーズの根幹と本筋に深くかかわる物語が展開することは必至。そのため、公開前からファンの多大な期待が寄せられていたのだ。

 アニメシリーズの劇場版は、原作漫画ないしTVアニメと独立した単独作(物語的にリンクしない)ものも多いが、第2作『名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)』で毛利小五郎の過去が明かされたり、第18作『名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)』で謎の大学院生・沖矢昴の正体がFBI捜査官・赤井秀一であると(先行して)示唆されるなど、“原作勢”においても要チェックな仕掛けが施されている(白鳥警部は劇場版から原作へと輸入されたキャラクター)。原作ファン・TVアニメファン・劇場版ファンといった濃度の異なるファンが全員集結した結果、特大ヒットをたたき出したといえるだろう。

 裏を返せば、『黒鉄の魚影』は『名探偵コナン』シリーズを知れば知るほど面白さが増す“沼構造”の作品。そこで今回は、知っておくとより楽しめるコナンズトリビアをいくつかピックアップしてご紹介しよう。なお、前半では一部わずかなネタバレを含む内容、後半ではネタバレありの内容でお届けする(ご留意いただいたうえで読み進めていただくことをおすすめします)。

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黒ずくめの組織って?

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(C) 2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 まず「黒ずくめの組織」についてだが、今回特筆すべきトピックとしては組織のNo.2であるコードネーム:ラムが満を持して劇場版に初登場することが挙げられる。TVアニメ版では毛利探偵事務所のご近所さんである「いろは寿司」の板前・脇田がラムだったと明かされたばかり。組織のトップである“あの方”に最も近い存在であり、ジンやウォッカといった構成員たちを動かせる権力を有する超重要人物。彼はどんな目的で動いているのか、どのような人物なのかーーその一端が劇中では言及される。

 そして、組織の“規模感”もさらに判明。本作は、ドイツのユーロポール(欧州刑事警察機構)から物語が始まるが、組織が世界中に根を張っていることがより詳細まで描かれる。これまでコナンのほかに組織を追う存在として、日本の公安、アメリカのFBIとCIA、イギリスのMI6といった組織が登場してきたが、ユーロポールも加わった形だ。ちなみに、『黒鉄の魚影』に登場するキャラクターで現在黒ずくめの組織に潜入中なのは、安室透/降谷零(公安警察、組織内のコードネームはバーボン)と水無怜奈/本堂瑛海(CIA、コードネームはキール)。過去には赤井秀一(FBI、コードネームはライ)も潜入していた。ちなみに水無は同じく組織に潜入していた諜報員の父親を目の前で失っている。その辺りの関係性を把握しておくと、各々の行動理念がよりスッと頭に入り込んでくるだろう。

 また、新たな組織のメンバーが登場するのも本作の特徴。これまで第13作『名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)』でアイリッシュ、第20作『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』でキュラソーといった構成員が参戦してきたが、本作ではピンガという謎の人物が新登場する。ジンを敵視するというピンガがどう事件に関わってくるのかにも注目だ。

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押さえておきたい作品・エピソードは?

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(C) 2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 ちなみに組織内の人物の関係値でいうと、ベルモットの背景は押さえておきたいところ。彼女はかつてニューヨークで工藤新一と毛利蘭に命を救われており、その恩義からかふたりには手を出せない(「工藤新一NYの事件」編)。また、組織の抹殺対象である灰原哀とも複雑な因縁があり、「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」「漆黒の特急(ミステリートレイン)」編あたりを観ておくとより味わいが増すはずだ(蘭と灰原の関係的にも「黒の組織と真っ向勝負」は『黒鉄の魚影』につながっている)。

 また、ほかにカバーしておきたいエピソードとしては、黒ずくめの組織×灰原が描かれるもの。今年1月に劇場公開された特別総集編『名探偵コナン 灰原哀物語~黒鉄のミステリートレイン~』で一気に頭に入れるもよし、初登場の「黒の組織から来た女 大学教授殺人事件」や「黒の組織との再会」編(通称ピスコ編)、「謎めいた乗客」編(通称バスジャック編)などをじっくり追っていくのもよし。『黒鉄の魚影』にも登場する、コナンが灰原にメガネを渡すエピソードは「黒の組織との再会」編、「自分の運命から……逃げるんじゃねーぞ……」は「謎めいた乗客」編とリンクしている。「黒の組織から来た女 大学教授殺人事件」のより詳細なシーンが描かれるのもファンには嬉しいところ。

 ほか細かい部分としては、童謡の「七つの子」。これは黒ずくめの組織のボスのメールアドレスを示すもので、携帯電話のプッシュ音が「七つの子」のメロディーになっているのだ。そのため、七つの子のプッシュ音を聞くとコナンが戦慄するというわけ。組織のメンバーがボスに連絡している現場に遭遇しているからだ。

~以下、ネタバレありでよりディープなトリビアを紹介~ (本編未観賞の方はご注意ください)

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本編に出てきたあの言葉の意味は?

 まずは黒ずくめの組織が所有する潜水艦周りの用語について。魚雷は潜水艦に搭載されたミサイル兵器のことで、目的を追尾するタイプのものがある。それを回避するために使われるのが「デコイ」。囮(おとり)の兵器であり、これを飛ばすことで追尾対象を狂わせ、潜水艦への攻撃を避けるのだ。また岩礁帯とは、水中に隠れていたり海面にわずかに出ている岩が密集しているエリアのこと。船の航行を妨げるため、避けなければ事故につながってしまう。

胸アツな展開

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(C) 2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 劇場版『名探偵コナン』の近作の特徴として、過去作品のセルフオマージュ的な演出を多数盛り込むオールドファンには胸熱な仕掛けが挙げられる。初期作では見せ場となるシーンで必ずと言っていいほど流れていた曲「キミがいれば」が復活したり、コナンの姿に新一が重なり蘭がハッとする演出等々……。さまざまなキャラクターが参入し、コナンワールドが拡大していく中で古参ファンをふるい落とさない心配りが、『黒鉄の魚影』には顕著にみられる(眠りの小五郎の推理ショーもきちんと登場)。

 蘭のバトルシーンは『漆黒の追跡者』とも重なり、蘭が灰原を抱きしめるシーンの構図と「お姉ちゃん……」のセリフは「黒の組織と真っ向勝負」と同じ。ちなみにここでいう「お姉ちゃん」は、蘭に対する言葉と灰原=宮野志保の姉・明美に対する想いが重なっている。組織の一員だった明美はジンに殺されており、そのことが灰原の心に翳りを生んでいるのだ。

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フサエブランドって?

 灰原の細やかな描写も本作の売りで、冒頭に登場するフサエブランドは灰原の推しのファッションブランド。ちなみに創設者のフサエ・キャンベル・木之下は阿笠博士と互いに初恋相手であり、イチョウのモチーフはふたりの思い出から来ている。その阿笠博士がここまで感情を剥き出しにして涙を見せるのも『黒鉄の魚影』の特徴だが、コナンが『異次元の狙撃手』で初登場した阿笠博士の発明品「花火ボール」を駆使し、組織に一矢報いるというホットラインも、ファン心をくすぐる粋な演出だ。

“布石”や“伏線”がスゴい!

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(C) 2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 最後に、『黒鉄の魚影』の重要なネタバレにかかわる部分について。ここにも過去作のセルフオマージュ的なエッセンスが盛り込まれている。

 ひとつは、今回の事件の引き金になった老若認証システム。これは、第5作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』に登場する「10年後の顔を予想する機械」のアップデート版ともいえる。その際は機械がエラーを起こしてコナンと灰原を読み取れず、事なきを得たが、今回は世界中の防犯カメラとリンクしているため、本人がいなくても起動して正体がバレかける……という魅せ方も上手い。同時に、宮野志保と過去に関わりのある人物も登場し……と新展開も盛り込まれ、これまで以上に灰原の過去が把握できるという点でも、必見の内容といえるだろう。

 ちなみに『黒鉄の魚影』のメインの舞台となるパシフィック・ブイは海洋施設で、『14番目の標的』に登場する施設アクアクリスタルとも重なる。そうしたさりげない“布石”や“伏線”も効いている本作だが、今回紹介したトリビアやオマージュはほんの一部。原作理解度の高さとファン心理を完璧に理解した設計はリピーターを呼び込む策にもつながっており、シリーズ初の興収100億円突破にも期待が高まる。(文・SYO)

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